藤井聡太・新棋聖誕生|史上最年少タイトル獲得の瞬間を目撃したか?
公開日:
:
最終更新日:2020/07/17
ニュース
藤井聡太七段、渡辺明棋聖を3勝1敗で下し、史上最年少で初タイトルを奪取した(時事通信社)。僕らは今、ものすごい歴史的瞬間に立ち会っているのだと思うと、その興奮冷めやらない。だって、若き天才棋士なんて、長い将棋の世界においても、ごく数人しかいないのだ。以下の表を見ても明らかなように、おばけ屋敷に、新たな歴史を常に気づいてきた羽生、そして今回の棋聖戦の相手・三冠の渡辺、そしてレジェンド中原と、錚々たる面々なのである。そんな重鎮を差し置いて、そしてコロナ禍やその他災難に見舞われながら、そして全国の期待を集めるプレッシャーの中、すばらしい戦いだったと思う。改めて、おめでとうございます!

もちろんそれは、棋聖タイトル獲得を決めた第四局における、中盤のせめぎ合いからのズバリの一指しだけではない。4戦すべてにおいて、現役最強とうたわれる渡辺明に対し、真正面からぶつかり、そして3勝をもぎとった。いずれも見ごたえのある試合であり、新たな歴史がつくられるまさにその場に居合わせるという興奮で、僕も最後まで目が釘付けになっていた。いまの渡辺と4回戦って3回勝てるなんて、もはやスーパールーキーの枠を超えて、一気にトップ・オブ・トップ棋士に躍進したと言えるだろう。師匠もいつも以上に嬉しそうで、感無量の表情が記者会見でも印象的だった。
いまの将棋界は過渡期にあると言えるだろう。AIが人類の頭脳を越えたと考えられるいま、将棋の指し方、戦い方、そして見方や楽しみ方まで大きく変わった。しかし、ひょっとすると今が一番、将棋が面白い時期なのかもしれない。そんな新しい時代の幕開けになると信じられる、藤井聡太の盤上の宇宙をこれからも見続けられる、そんな強い思いを新たにした。
藤井・新棋聖の次なる戦いは現在進行中の王位戦だ。ここでも二連勝と幸先良いスタートを切ったほか、竜王戦トーナメントも控えている。まだまだ藤井聡太に対する熱視線はとどまることを知らないだろう。いかにしてこんなにも若い天才が生まれ育ったのか、それを知りたい人、将棋教室に子供を通わせようという親御さんたち、そして新たに奨励会の門をくぐる挑戦者たちが続々と生まれてくることだろう。それだけ藤井聡太の功績は大きい。だけどしかし、ぜひ彼の初タイトル奪取の相手が、あの渡辺明だったと忘れないで欲しい。だって、あの渡辺だよ、竜王戦で羽生を相手に3連敗からの4連勝を成し遂げたアノ渡辺である、そして名作『勝負心』を著しただけでなく、奥様がもっと面白い『将棋の渡辺くん』を描いちゃうようなアノ渡辺明なのである。藤井聡太・新棋聖誕生をおめでとうと祝うと同時に、最強の相手・渡辺明にも改めてありがとうと言いたい。記憶にも記録にも残るような歴史的な熱戦に、本当に感動したよ。
Amazon Campaign
関連記事
-
-
サンフランシスコ発の口コミ情報サイト「Yelp」が日本上陸
米国の口コミ情報サイト「Yelp」(イェルプ)が日本でサービスを開始したというニュース(日経新聞)。
-
-
2014年の囲碁賞金王・井山裕太|盤上の宇宙と独創の一手
囲碁の2014年獲得賞金ランキングが確定したというニュース(朝日新聞)。 2014年の囲碁棋士の賞
-
-
米国Amazonの第2本社候補地選びがついに決着
1年以上に渡って注目を集めてきた、米国アマゾンの第2本社候補地選び。5万人以上の雇用を生むというこの
-
-
日本将棋マネーリーグ|今年も賞金ランク首位は豊島将之竜王、藤井二冠は?
先日は毎年恒例の「欧州サッカー・マネーリーグ」が発表され、今年もスペインのFCバルセロナが収入ランキ
-
-
史上最年少プロ棋士・藤井聡太の初勝利と『将棋の子』たち
史上最年少のプロ棋士が誕生したと話題となったのが2016年9月のこと。それから3か月が経ち、今度は若
-
-
錦織圭のウィンブルドンテニス2019|好調を維持したままベスト8進出
錦織圭が今年もウィンブルドンでベストエイト進出を決めた。しかも、これまでの試合で失ったセットは一つの
-
-
2022年将棋賞金ランキング発表|藤井聡太5冠が1億円超で堂々の首位
将棋連盟から2022年の獲得賞金・対局料ベスト10が発表されましたね。毎年この時期の恒例であり、名
-
-
クラウド会計「freee」が大型上場|確定申告と研究費管理に役立つ画期的サービス
先日は、クラウド会計サービスを手がける freee (フリー) が東証マザーズに上場し、その規模が今
-
-
3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ
先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が3年ぶりのフル開催となった。じ
-
-
ニューヨーク・タイムズが選ぶ、今年絶対に行きたい世界52ヶ所:2016年版
さて今年もこのシーズンがやってきましたね。ニューヨーク・タイムズ紙が発表する「今年絶対に行きたい世界
