美術アークションに参加してみた|ついに現代アート作品を購入!?
現代アートを買おうと思いたち、ひとめぼれした作品を衝動買いしてしまった、という経験をおもちの方はあまりいないと思う。もちろん、僕もそんなことしたことない。だけれども、そんな風に、もっと気軽にアート作品を買ってみたいと考える人はそれなりの数いると思われる。でなければ、この『現代アートを買おう!』なんて書名の本が出版されることもないのだから。
小遣いではじめる現代アートコレクション入門!
芸術への愛を真摯に貫く姿勢、深い尊敬の念で一杯です。(草間彌生・前衛美術家)
眼前のアートを捕らえる決断と勇気に脱帽!(小山登美男・ギャラリスト)
ごく普通のサラリーマンにもかかわらず、日本を代表する現代アート・コレクターの一人である宮津大輔が、アートの見方、買い方を指南する。その情熱と知識、センスで、海外、日本を問わず、数多くのアーティストやギャラリー、美術館から絶大な支持を得ている宮津が語る現代アートの買い方とは。アートのコレクションはお金持ちでなくても出来る。小遣いでも買え、それをすばらしいコレクションに育てるノウハウの全てを伝える。お金はないけれど好きな作家の作品を買いたい、と漠然と思っている人には、うってつけの一冊。[著者情報]
宮津 大輔(みやつ だいすけ)
一九六三年東京都出身。都内の企業に勤務するサラリーマンである傍ら、九四年より現代アートの収集を始め、ユニークなコレクションや、住居であるドリーム・ハウスが多くのメディアで紹介される。約三〇〇点にのぼる収集作品は、東京オペラシティアートギャラリーや韓国・ソウルのデリム現代美術館等で公開されている。その中には時価評価額が、購入金額の数十倍に達するものも少なくない。美術関係の書き手としても活躍中。
著者の宮津大輔は、サラリーマンとしての給料のかなりの部分を使って、実際に自分の目で見た選んだ現代アート作品を少しずつ揃えていった結果、世界的に知られるコレクションが形づくられ、今ではそのコレクションをもとにした展示会が開かれるまでになった。また、本人は勤めていた企業をその後退職し、横浜美術大学の教授を経て、2020年からは同大学の学長に就任している。こうしたキャリアパスも実にユニークだと思うが、氏の個性は、自分の限られたお金で買える範囲で、しかしアーティストのもっと素晴らしい、マスターピースを購入する、というぶれない方針に表れているといえるだろう。「天才の考えを買う」という喜び。と題された美術手帖のインタビューもぜひご覧頂き、アートに少しでも関心があれば、それは決して金持ちの道楽でもなんでもなく、われわれ一般人でも十分に買えるものなのだ、ということを実感するためにも、宮津の上記著書を読んでみることをおすすめしたい。
ちなみに、このインタビューのなかでも言及されているように、宮津が若いころから知り合っていた蔡國強はいまや現代アートにおける世界的スーパースターとなった。その彼の足跡を追ったのが、以下の『空をゆく巨人』であり、とても素晴らしい本なのである。若き蔡國強が日本に来て、まだ言葉も満足に話せない中、東京の画廊に自分の作品を持って行ってもまったく見向きもされなかった無名時代から物語は始まる。そんな苦労の中で知り合った福島県いわき市の陽気で面倒見のよいおっちゃん、そんなふたりとその周りの仲間たちが起こす騒動と挑戦とその結末には、思わず目頭が熱くなる。この一冊もぜひぜひ、読んでみて欲しい。
●内容紹介
現代美術の世界的スーパースター蔡國強と、世界最大99000本の桜を植える福島の男。夢に挑み続けるふたりの“巨人”の奇跡の実話。福島県いわき市の実業家・志賀忠重と、中国福建省出身の世界的現代美術家、蔡國強。二人は、1980年代にいわきで出会い、数々の驚くべき「作品」を生み出してきた。砂浜に埋もれた木造船を掘り出した作品、海に導火線を置いて走らせた炎……蔡が描いたスケッチを、日頃アートに縁のない志賀らが頭と体を使って形にしていく――いわきは蔡が世界に羽ばたくきっかけとなった。そんな二人の最大の作品が、東日本大震災後に制作した「いわき回廊美術館」だ。美術館周辺の山々では、志賀が、99,000本の桜を250年かけて植樹する「いわき万本桜プロジェクト」を進めている。
原発という「負の遺産」を残したことを激しく悔いて、未来のいわきを世界に誇れる場所にするために。二人の「巨人」の足跡を辿りながら、美術、ひいては「文化」というものの底力を問う。こんな時代だからこそ伝えたい、アートと人間の物語。読み終えたあと、一歩を踏み出す勇気が湧いてくる!第16回開高健ノンフィクション賞受賞作!
【スタジオジブリ 鈴木敏夫氏 絶賛!】
ひとりの人間が出来ることなど、たかだか知れている。しかし、ふたりになると奇跡が起こる。中国福建省出身の蔡國強と福島県いわきの会社経営者志賀忠重。ふたりは、80年代末にいわきで出会い、数々の作品を生み出して来た。そして、蔡國強は、現代美術の世界的なスーパースターになった。ぼくは、この話を他人事として読むことは出来なかった。蔡國強と宮崎駿が折り重なった。ぼくは、この長い物語をたった2日間で一気に読んでしまった。ちなみにぼくは、川内有緖さんの事を子供のころから知っている。恵比寿にある小さなマンションの8階にぼくの一家が、9階に彼女の一家が暮らしていた。ぼくはいまでも彼女のことをこう呼ぶ――あっちゃん、やったね! 開高健賞、おめでとう!
さて、その『現代アートを買おう!』は、もう10年も前の出版であり、僕はこの本を読んで以来、自分でもいつかアート作品を買ってみたいという気持ちが強くなり、国内外のギャラリーやアートフェアを訪れることもあるのだが、まだ購入には至っていない。それでも気持ちは募るばかりであり、だからこそ、ついに、いよいよ、初めてのアート・オークションに参加してきたんです!
結果、ひとことでいうと、めっちゃ興奮したわー。いままでヤフオクでちっぽけなもの買うくらいでしかオークションと縁がなかったわけだから、そりゃあもう現代アートが次から次に競りにかけられる様はまさに圧巻のひとこと。しかも、それが続々と高値で競り合われるヒートアップに、手に汗握る展開。それでも、どうしてもあの作品が欲しい、という参加者の底なしの欲望が、さらに値段を吊り上げ、そしてハンマープライス。次回、詳細をお伝えしたいと思う。
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