アカデミックライティングにおすすめの英語辞典|コロケーションとシソーラスも一緒に学ぶ
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最終更新日:2016/08/29
英語
本記事の目次
Oxford Learner’s Dictionary of Academic English がおすすめ
昨年出版されたこちらの辞典 “Oxford Learner’s Dictionary of Academic English” が素晴らしく使いやすいので、ここで紹介しておきたい。
辞書の名前にあるように、これは Academic English のための一冊である。ありそうでなかった英語辞典であり、だからこそ本書が出版されたことを大変ありがたく感じる。
The only learner’s dictionary to focus exclusively on academic English, the Oxford Learner’s Dictionary of Academic English is specifically designed for learners studying, or preparing to study, academic subjects on English-medium university courses. Based on the 85-million-word Oxford Corpus of Academic English, it provides all the tools students need to develop their academic writing skills.
さて、それではこの英語辞典が他と比べて何が異なっているのか、その特徴は以下の通りである。
Academic Writing に合わせた単語収録
まず初めに、この英語辞典を使う人を Academic writing の学習者と想定しているからこそ、その人たちにとって必要な単語を選定しているのが大きなポイントだろう。具体的には、Academic vocabulary が (1) ordinary general English vocabulary, (2) specialist subject vocabulary, (3) subtechnical (general academic) vocabulary の3つに分類できることを説明し、この辞典では一般的すぎる第一の単語や、逆に専門的すぎる第二の単語ではなく、分野を問わず必要になる第三の単語に焦点を当てると解説する。その割り切り方に是非はあろうが、僕は個人的にこうした特徴を強く押し出した辞典を好ましいと思う。使う辞書は一つではないのだから、そういうクセを理解したうえで、状況に応じて使い分ければよいだろう。
掲載されている例文もアカデミックなものが中心
続く特徴としては、例文もアカデミックな文章で、論文でお目にかかることが多いようなものが多い。これもこの辞典の編集視点を考えればまったく自然なことであろうが、これが大変役立つのである。例えば同じオックスフォードの『現代英英辞典』のような通常の辞書では、あまりにも日常会話的な例文が掲載されていることも多々あり、もちろんそういう文章も大事なのだが、はっきり言って論文執筆には必要ない。アカデミックに「使える」単語の「使える」書き方を学ぶためには、この Academic Writing 辞典の方が圧倒的に役に立ってくれるのだ。
重要単語と同時にコロケーションを学ぶ
英語のアカデミック・ライティングで何が難しいかと言えば、(もちろん全部難しいのだけれども…)その一つにコロケーションを挙げることができるだろう。コロケーションとは単語と単語の相性の良い組み合わせのことであり、例えば heavy rain and strong winds とは言うけど、strong rain and heavy winds とは言わない、といったもの。これは単純な例だが、それではよりアカデミックな重要単語のコロケーションはどうなっているのか?これが難題なのである。もちろん同じくオックスフォードからは “Collocations Dictionary” が出版されているため、必要に応じてこのコロケーション辞典で調べるのが王道であろう。ただ、二つの辞書で同じ単語を調べるという手間を省いてくれるのも、今回のこの Academic Writing 辞典の優れた特徴と言えるだろう。一度使うと分かるが、これがとても便利なのである。
重要単語と同時にシソーラスを学ぶ
文章を書く際に同じ単語を繰り返し使うわけにはいかない。だから日本語でも英語でも、同義語(や反意語)をなるべく多くものにして、状況に応じて使い分けることが非常に重要になってくる。そしてもちろんその際には、やはりオックスフォードを初めとする各出版社が出している “Thesaurus” が大いに役立つ。だけれども、同じ単語を通常の辞書で調べて、コロケーションで再び調べて、シソーラスで三度調べるというのは、ちょっと億劫になるのが普通であろう。だからこそ、この Academic Writing 辞典なのである。一つのアカデミック重要単語を調べたときには、同時にコロケーションだけでなくシソーラスも学び、その場でボキャブラリー・ビルディングしようという仕掛けが素晴らしい。
というように、論文執筆等のアカデミックライティングの際には、ぜひ手元に置いておくべきとお勧めしたいこの辞典、ここでいくつかの単語を実際に紹介したい。それではまずは evidence を取り上げてみよう。なぜこの単語なのかと疑問に感じる人に対しては、経済学の論文タイトルで最も頻繁に登場する単語だから、と答えておこう。
例1:Evidence
さて、この Academic Writing 辞典、その evidence が載っているページがこちらだ。左ページ半分と右ページ半分がこの一単語に割かれており、その分量からも重要なアカデミック単語だと分かる。さらに、左ページには “Language bank” としてこの単語をどう使いこなすかという詳しい説明、加えて “Thesaurus” として proof や support との類似/相違が解説されている。右ページに目を移せば、コロケーションとして相性のよい単語が多々掲載されている。もちろんそれぞれの例文もアカデミックで納得するものばかりだ。
例2:Effect
続いては経済学論文タイトル頻出単語第2位の effect という単語を見てみよう。ちょうどページの切れ目なので以下の写真2枚で示したいところだが、まずもってこちらも解説量が非常に多い重要単語だと分かるだろう。コロケーションの豊富な解説に加え、この単語では “Which word?” として、名詞の effect、動詞の effect、名詞の affect、動詞の affect と、間違えやすい使い分けについても詳しく述べており、大変役立つ。
例3:Provide
最後にもう一つ、今度は動詞として provide を見てみよう。これは provide evidence というフレーズを論文でよく見かけるように、上記 evidence のコロケーションとして相性のいい動詞でもある。これを今回紹介した Academic Writing 辞典で調べてみると、次のようなページとなる。こちらも分量多く解説されているのが分かるだろう。
ちなみに、この provide を同じオックスフォードの『現代英英辞典』で調べてみると(左ページ右側下)、ちょっとショボイ程度の解説しかない。
さらにこの provide をやはりオックスフォードの “Collocations Dictionary” で見てみると(右ページ左側下)、やはりごくわずかの掲載しかない。
であるならば、いちいち別の辞典で少しずつ学んでいくよりも、この Academic Writing 辞典でまとめて吸収しボキャブラリー・ビルディングしていく方が、はるかに効率的であり効果的であると実感できるだろう。その意味でも、非常におすすめの英語辞典となっているのである。
これまで過去数回にわたって、英語アカデミック・ライティングのおすすめテキストを紹介してきたが、その際に手元に用意しておきたいのがこのアカデミック・イングリッシュ用の英語辞典なのだ。英語で論文を書く研究者および学生にとっては必携とも言える、強くおすすめしたい新たな辞書の登場である。
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