*

米国大統領選挙2020を前に|憲法でふりかえるアメリカ近現代史

公開日: : Kindle, アメリカ, オススメ書籍

コロナ禍もあって史上もっとも盛り上がらないと言われている今年のアメリカ大統領選挙だが、副大統領候補が発表され、そして党大会が開催され、徐々にではあるが11月の選挙当日が近づいてくる気配が感じられるようだ。そんなタイミングだからこそおすすめしたいのが本書『憲法で読むアメリカ史』だ。現在、Kindle月替わりセールのおかげで大幅に値下げしている本書、ぜひこの機会に読んで頂きたい。

 

移民の国アメリカは、それぞれ異なるバックグラウンドの人たちが集まってできた国であるだけに、日本のような阿吽の呼吸とか空気を読むとか、そういうものとはものすごく縁遠い。それゆえに、多様な人々の意見や価値観がぶつかり合うことはしょっちゅうであり、その争いや諍いの多さゆえに訴訟大国であり、あれだけの数の弁護士がそこかしこで仕事できるのだ。

 

そしてまた、アメリカという国そのものを形作ってきたのも法律である。とくに、憲法の解釈と修正は、それそのものがアメリカの歴史であり、だからこそ「アメリカの歴史をつくる9人の連邦最高裁判事」にも書いたように、連邦最高裁の判事9人はアメリカの今後を左右する極めて重要な地位にいるのだ。そして、だからこそ、この判事指名権は、世界でもっとも大きなパワーを持つアメリカ大統領のもつ力の中でも、最大のものと言われたりするわけである。

 

 

 

 

そんなアメリカ憲法をめぐり、これまでどのような議論が交わされてきたのか、そして憲法修正がその後のアメリカ社会をどのように変えたのか、といったユニークな視点から描かれたアメリカ史が、この『憲法で読むアメリカ史』なのである。著者の阿川尚之は、アメリカ滞在の長いロイヤーであり、そして憲法政治学者である。そんな彼がまさに自分の得意とする分野で、非常に鋭い視点でまとめた本書は、その後の続編として『現代史』が出版されるほどに注目されたものだ。2020年のアメリカ大統領選挙は、未曽有のコロナ禍、そしてかつてないほど冷めた米中関係、香港と台湾そして北朝鮮を含めた東アジアの安全保障、そしてイスラエルを巡る中東問題と、世界中をこれまで以上の緊張と不安が覆う中での実施となる。どのような選挙結果となり、それが今後の10年そして100年をつくっていくのかを考えるその前に、アメリカという国が、建国以来、どのように憲法と向き合いながら国づくりを進めてきたのか、本書シリーズでそれを学ぶのに、これほどよいタイミングはないのではなかろうか。月替わりセールでお買い得のこの機会に、ぜひ読んでみて頂きたい。

 

 

建国から二百数十年、自由と民主主義の理念を体現し、唯一の超大国として世界に関与しつづけるアメリカ合衆国。その歴史をひもとくと、各時代の危機を常に「憲法問題」として乗り越えてきた、この国の特異性が見て取れる。憲法という視点を抜きに、アメリカの真の姿を理解するのは難しい。建国当初の連邦と州の権限争い、南北戦争と奴隷解放、二度の世界大戦、大恐慌とニューディール、冷戦と言論の自由、公民権運動―。アメリカは、最高裁の判決を通じて、こうした困難にどう対峙してきたのか。その歩みを、憲法を糸口にしてあざやかに物語る。第6回読売・吉野作造賞受賞作の完全版!

 

アメリカ建国以来、200数十年にわたり、政治や社会のあり方に関し、憲法に基づく判断を示してきた合衆国最高裁判所。その判決は米国のあり方をどう変えてきたか?ロイヤーにして憲法政治学の第一人者が膨大な資料を精緻に読み込み、レーガン政権以降の憲法問題をめぐる大統領と最高裁の関係から捉えた手に汗握るもうひとつの〈アメリカ現代史〉。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

これは面白いピタゴラス的発想!|「解きたくなる数学」をビジュアルで考える

以前に「クリエイター佐藤雅彦が好きだ|最新著『ベンチの足』にみるユニークな視点」でも書いたように、僕

記事を読む

【おすすめ英語テキスト】あの「語源図鑑」に待望の続編が登場|英単語を語源から根こそぎ理解する

ついに出ましたね、あのベストセラー『英単語の語源図鑑』に第二弾の続編が! これ、ものすごくおススメな

記事を読む

Wall Street Journal 125周年と、アメリカ現代史

ちょうど昨年、「フィナンシャル・タイムズ(FT)とウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」で書い

記事を読む

日本人の氏名はなぜこんなにも多種多様にして複雑怪奇なのか?

日本人はなぜにこんなにも自分の名前や家族のルーツに興味津々なのだろうか? NHKの番組だけ取り上げて

記事を読む

新しい Kindle Paperwhite を4,000円オフのキャンペーン価格で買った|電子書籍専用リーダーはやっぱり快適

長いこと愛用してきた Kindle Paperwhite だが、ついに先月新製品が発売され、しかもそ

記事を読む

chess board

機械 vs 人間:チェス、予測、ヒューリスティック

今回もサッカー・ワールドカップ予想をしている、毎度注目の統計家ネイト・シルバー。その彼の著書『シグナ

記事を読む

「もっとヘンな論文」がついに登場|アカデミック・エンターテインメントの最高峰

NHK Eテレの番組「ろんぶ~ん」をご存知だろうか?ロンブー淳が司会を務める、アカデミック・エンター

記事を読む

大学入試数学 不朽の名問100|大人のための「数学腕試し」

世に数多といる数学のファンと猛者のみなさま、この1冊はもうすでに読みましたか? 科学もので知られる人

記事を読む

行動経済学者ダン・アリエリー|お金と感情と意思決定の白熱教室

NHK『お金と感情と意思決定の白熱教室』再放送決定 先日放送されたNHK『数学ミステリー白熱教室』

記事を読む

30万部突破のベストセラー『英語は3語で伝わります』他に学ぶパワフル動詞の使い方

中山裕木子著の『会話もメールも英語は3語で伝わります』を、とても興味深く読んだ。出版から2年で30万

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑