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アメリカの歴史をつくる9人の連邦最高裁判事

公開日: : 最終更新日:2017/02/07 アメリカ, ニュース

就任以来すでにいくつもの声明を発表し、そのたびに世界が最大限の注目を払ってきた米国トランプ大統領が、またひとつ大きな決断を下した。それが今回、連邦最高裁判事にニール・ゴーサッチ氏を指名したことである。

 

BBCニュース)ドナルド・トランプ米大統領は31日、空席となっていた最高裁判所の判事にニール・ゴーサッチ連邦高裁判事(49)を指名した。ゴーサッチ氏は2006年以降、コロラド州デンバーの第10連邦巡回控訴裁(高裁)の判事を務める。定員9人の最高裁では、昨年2月に保守派だったアントニン・スカリア判事が急死して以来、保守派とリベラル派が4人ずつの拮抗した状態になっている。

 

この連邦最高裁判事9人の職位は終身制であり、本人が死去または自ら引退するまでその地位が保証されている。つまり、新たな大統領になったとしても、新たな判事を指名できるかどうかは時の運にもかかっているということだ。だからこそオバマ前大統領は、自分が大統領であるうちに、よりリベラルな判事を指名していたのだが、共和党の激しい抵抗にあい、承認される前にその職を去らねばならなかったのである。

 

BBCニュース)バラク・オバマ前大統領は昨年、スカリア判事の死去を受けてワシントン連邦高裁のメリック・ガーランド判事を指名したが、共和党は大統領選が近付いていることを理由に承認手続きの開始を拒否し、民主党は苦汁を飲んだ。

 

 

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それにしてもなぜ、連邦最高裁判事の指名がこれほどまでに重要なのか?それはひとえに、この最高裁の判決がアメリカの歴史をつくり、そしてこれからもつくり続けるからである。もちろん、米国大統領の影響力は極めて大きい。しかし、その大統領の判断にお墨付きを与えるのが連邦最高裁であることを考えるならば、この存在感の大きさが実感できるはずだ。

 

例えば、歴史を遡れば黒人差別について違憲判決を下したのも、そして近年ではオバマケアや同性愛結婚に合憲判決を下したのも、この連邦最高裁である。このように、アメリカ国内において大きく意見が分かれるイシューに対し、それが憲法に当てはめて合憲なのか違憲なのかを一つ一つ慎重に議論し、そして最終判断を国民に提示するのが最高裁の役割であり、9人の判事の責務なのである。

 

NHKニュース)アメリカの連邦最高裁判所は、人工妊娠中絶や同性婚の是非、銃規制など、社会を二分する問題で重要な判断を下すことから社会に与える影響が大きく、新たな判事の任命は国民の高い関心を集めます。

 

 

つまり、アメリカの歴史とは、最高裁判決の歴史とも言うべきものなのだ。そして、このような視点から執筆されたアメリカ現代史の名著が、以前に書いた「最高裁判決で読む、もう一つのアメリカ史」の中でも紹介した、阿川尚之『憲法で読むアメリカ史』である。この国を形作ってきた最高裁判決をひもとき、アメリカ建国の原理と精神に迫る本作は、トランプ大統領の誕生で新時代を迎えた超大国をよりよく理解するためにも、今一度読み返されるべき一冊と言えよう。とくに、移民規制に関する大統領令を発表したトランプ大統領の決定が、違憲ではないかと議論を呼ぶ中、今後の最高裁の動向が一層注目されることは間違いなく、それを読み解く意味でも今おすすめしたい書籍なのである。しかも電子書籍版なら現在の「教養は楽しい!フェア」で大幅セール中とお買い得となっている。

 

建国から二百数十年、自由と民主主義の理念を体現し、唯一の超大国として世界に関与しつづけるアメリカ合衆国。その歴史をひもとくと、各時代の危機を常に「憲法問題」として乗り越えてきた、この国の特異性が見て取れる。憲法という視点を抜きに、アメリカの真の姿を理解するのは難しい。建国当初の連邦と州の権限争い、南北戦争と奴隷解放、二度の世界大戦、大恐慌とニューディール、冷戦と言論の自由、公民権運動―。アメリカは、最高裁の判決を通じて、こうした困難にどう対峙してきたのか。その歩みを、憲法を糸口にしてあざやかに物語る。第6回読売・吉野作造賞受賞作の完全版。

 

 

 

そして、これほどまでの圧倒的な権力を持つ最高裁で最終判断を下す9人の判事たち。そんな彼らの人物像に迫ったのが、この『ザ・ナインーアメリカ連邦最高裁の素顔』である。終身制であるため新たな判事指名に立ち会う機会は少なく、それゆえに秘密のベールに包まれているとも言える最高裁判事たち。しかし、判事もまた人間であり、その一人一人の人間性に着目しつつ、最終判断に至る経緯を描写する本書は、稀有で貴重なノンフィクションであり、トランプ大統領の指名により新たな判事が誕生しようという今だからこそ、やはり一読をおすすめしたい書籍なのである。

 

保守派の台頭と9人の最高裁判事(ザ・ナイン)。人種、性、妊娠中絶、福音派、大統領選挙など、巨大国家の行方を定める判事たちの知られざる闘いを追った傑作法廷ノンフィクション。ニューヨーク・タイムズ年間最優秀図書。

 

 

なぜ、アメリカ国民は選挙運動中も暴言や失言が続いたトランプを大統領候補として支持し続けたのか?その一つの答えもまたこの最高裁判事指名に大きく関係があるのだ。アメリカ大統領が任期4年であるのに比べ、先に触れたように最高裁判事は終身制である。つまり、より長期間にわたってアメリカという国づくりに影響力を行使しようと考えるならば、最高裁判事の指名こそが重要であり、だからこそ、自分たちが望む判事を指名してくれる大統領を選ぼうと結論付けるわけだ。連邦最高裁判事の指名権という視点から米国大統領選挙を振り返ってみても、この最高裁判所の存在の大きさと重さをひしと感じざるを得ない。

 

BBCニュース解説)トランプ氏が選挙期間中に犯した失敗や醸した物議、政治的な背教行為にもかかわらず、福音派や伝統的な保守主義の有権者はトランプ氏を支持し続けた。その人たちにとってゴーサッチ氏は、我慢したかいがある夢の最高裁判事候補だ。ヒラリー・クリントン候補が勝てば、自分たちの気に入る判事にはならないと、保守派は承知していた。トランプ氏が勝てば、ゴーサッチ氏のような人物が選ばれるかもしれないというのが、保守派の期待だった。

 

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