できる研究者の英語プレゼン術|スライド作成からストーリー展開まで
以前に紹介した、ポール・シルヴィア著の『できる研究者の論文生産術』は素晴らしい一冊である。著者は2001年に心理学の分野でPh.D.を取得した若き学者であり、だからこそ現在の研究最先端にいる立場から、後輩たちに優しく語りかけるようにして本書は書かれている。だからこそ、現在の大学院生やポスドクにとっては最適の指南書となっていると言えるのだ。
全米で話題の「How to Write a Lot」待望の邦訳!いかにして多くの本や論文を執筆するかを軽快に解説。雑用に追われている研究者はもちろん、アカデミックポストを目指す大学院生も必読!人生が変わる。
【三中信宏さん推薦!】
本書の原書をたまたま読んで、そこに書かれている「たくさん書く」ためのワザの数々を実際に使ってみたら、驚くなかれ、たった三週間でまる一冊が翻訳できてしまった。【“訳者あとがき”より】
論文の書き方に関する指南書はこれまでも数多く出版されているが、本書が画期的なのは、いかにして論文執筆のモチベーションを上げ、精神的負担を軽くして論文執筆に取り組めるようにするかについて、メンタルな面を含めて冷静に分析し、その解決策を誰にでもわかるように明瞭に提示している点だろう。目次
- 第1章 はじめに
- 第2章 言い訳は禁物 ――書かないことを正当化しない
- 第3章 動機づけは大切 ――書こうという気持ちを持ち続ける
- 第4章 励ましあうのも大事 ――書くためのサポートグループをつくろう
- 第5章 文体について ――最低限のアドバイス
- 第6章 学術論文を書く ――原則を守れば必ず書ける
- 第7章 本を書く ――知っておきたいこと
- 第8章 おわりに ――「まだ書かれていない素敵なことがら」
ちなみに邦訳は原著第1版がもととなっているが、アメリカで売れ行きがよかったために原著は既に第2版を数えている。非常に読みやすい英語で書かれていて、その writing ぶりもまた勉強になるのだから、もし興味があるなら、最初から原著の最新第2版で読むのもおススメだ。
そして、同じ著者ポール・シルヴィアによる次の作品がこちら『できる研究者の論文作成メソッド』である。上記の “How to Write a Lot” (邦訳『できる研究者の論文生産術』)につづく第2弾となる本書は、”Write it Up” のタイトルの通り、論文を書く、そして書き続けるためのテクニックが数々紹介されている。書くことを習慣化するためのルーティンや、集中力を高めるための環境づくりなど、今日から真似できることも数多く、研究者ならばぜひ目を通しておきたい一冊と言えるだろう。
どうすれば「インパクトがある論文」を書けるのか。「本当に使える!」と大好評の『できる研究者の論文生産術』に続く第2弾!
原稿の各種スタイルはもちろん、雑誌の選び方、共著論文執筆のヒント、投稿後の対応など実践ポイントを解説した。爽快でユーモア溢れるシルヴィア節は健在で、初めて英語論文を書く大学院生に有益この上ない!
【三中信宏さん推薦!】
本書は心理学というひとつの研究分野を念頭に置いて書かれているが、その内容は他の多くの科学にもそのまま当てはまるだろう。本書の最後の章で著者は書き続けることこそ研究者が生き延びる道であると高らかに宣言する。そう、研究者人生は一発花火ではない。書け、書くんだ! ―そのための心得と戦略がここにある。【訳者あとがき】
本書は、2014年に出版されたポール・J・シルヴィア(Paul J. Silvia)『Write It Up: Practical Strategies for Writing and Publishing Journal Articles』の邦訳で、同じく2007年に出版された『How to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic Writing』(『できる研究者の論文生産術―どうすれば「たくさん」書けるのか』講談社(2015))の続編ということになる。重点が「ともかく書く」ことにある前書と、「インパクトがある論文を書く具体的手順」にある本書は、2冊で1冊ともいえる関係にあり、どちらを先に読んでも楽しめる。本書の目標は、《インパクトがある論文》を書くことだ。「論文はインパクトが大切だ。ただ発表すればよいというものではない」の一文(6ページ)に示される通りである。そして、そのための具体的な手順―豊富な執筆・査読経験に根ざした具体的なノウハウや匙(さじ)加減―がステップごとに伝授される。一般的手順にとどまらず、なぜ多くの研究者、特に初心者が、《インパクトがある論文》でなく《どんな論文でも出せればいい》という状態に陥ってしまうのかがユーモアを込めて明快に指摘されているので、執筆のモチベーションがあがり、精神的負担が軽くなる。このあたりは、心理学者の面目躍如たるものだろう。目次
- 第1部 計画と準備
- 第1章 投稿する雑誌をいつどうやって選ぶのか
- 第2章 語調と文体
- 第3章 一緒に書く:共著論文執筆のヒント
- 第2部 論文を書く
- 第4章 「序論」を書く
- 第5章 「方法」を書く
- 第6章 「結果」を書く
- 第7章 「考察」を書く
- 第8章 奥義の数々:タイトルから脚注まで
- 第3部 論文を発表する
- 第9章 雑誌とのおつきあい:投稿、再投稿、査読
- 第10章 論文は続けて書く:実績の作り方
こちらも翻訳書でもまったく問題ないのだけれども、前作と同様に非常に分かりやすい英語で書かれているので、原著で読むのもよいと思う。
さて、そんな「できる研究者」シリーズの最新作が、今度はこのプレゼンテーション編なのである。その名も『できる研究者のプレゼン術』だ。前作までとは異なる著者だが、この本の原著”Better Presentations: A Guide for Scholars, Researchers, and Wonks” もベストセラーの一冊であり、だからこそ研究者ならばぜひ本書も同シリーズの最新作として合わせて読んでおきたい内容だ。
アメリカで大好評のプレゼンテーションスキル解説書『Better Presentations: A Guide for Scholars, Researchers, and Wonks』、待望の翻訳! 原書の全訳だけでなく、日本語版オリジナルの内容(日本語でプレゼン資料〈スライド〉をつくるうえでの「文字」についての注意点)を加えた。
分野によらず研究者ならば絶対に避けられない、口頭発表(プレゼン)――スライドをつくり、人前に立ち、研究成果を話すというイベントだ。学生の頃から実践してきたはずだが、スライドの作り方や話し方を教わる機会は少ない。あなたが手本にしてきた先生や先輩たちは、「いいお手本」だっただろうか?
研究の内容で勝負する? もちろん! でも「できる研究者」ならば、研究内容だけでなくプレゼンの方法にもこだわるべきだ(せっかくの魅力的な研究成果を魅力的に伝えられなかったら、プレゼンは失敗だ)。研究だけでなく、あなた自身を売り込み、魅了し、聴衆に行動を促すプレゼンをめざそう。
【おもな内容】
序論
第1部 プレゼンテーションの立案
第1章 理論、計画、デザイン
第2章 色
第3章 文字
第3章補足 日本語プレゼン資料における文字
第2部 プレゼンテーションの制作
第4章 テキストスライド
第5章 データ可視化スライド
第6章 画像スライド
第7章 足場スライド
第3部 プレゼンテーションの実施
第8章 プレゼン本番に向けて
第9章 セッティングの重要ポイント
結論第1部と第2部では、「可視化」「統一」「集中」という3つの指針にしたがって、プレゼン全体の構成から各スライドのデザインまでを改善していく。第3部では、プレゼン会場であわてないための準備や心構え、聴衆を引きつける話術を解説する。
大事なポイントは、
・スライド作成ソフトの言いなりにならない
・自分のためのメモのようなスライドをつくらない
・ほかの人とはひと味ちがったスライドをつくる
・当日、会場で起こりうるトラブルをできるだけ防ぐ
ことだ。もちろん本書は、これらのスローガンを示すだけでなく、具体的なアドバイスをたくさん盛り込んでいる。紹介されているワザはいずれも、特別な技術・ツールを必要としないので、だれでも・いつでも実践できる。
ちなみに、著者 Jonathan Schwabish は、data visualization および presentation design の専門家として大学等でも教えており、その最新作がこの “Better Data Visualization” である。おそらくはこちらもいずれ翻訳されるのではないかと思うが、こうしたプレゼン書籍はもちろん英語の原著で読んでおいて全く損はない。だからこちらも、ぜひ原書にあってみてはどうだろうか。これらシリーズまとめて全ておすすめできる書籍であり、この「できる研究者」シリーズは、非常に優れた選択をしたと思っている。おすすめです。
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