データで考える|史上最高の男子テニスプレイヤーは誰だ?
今年の全豪オープンテニスはジョコビッチの優勝で幕を閉じた。錦織にはもう少し上まで行って欲しかったが、さすがに世界トップレベルで勝つのは大変なことなのだと改めて思わざるをえない。逆に言えば、ここまでランキングを上げてきた彼がいかに驚異的かということだろう。

photo credit: Kei Nishikori via photopin (license)
そんな中、先日 Financial Times 紙に掲載された特集 “The greatest men’s tennis player ever” が興味深い。1973年からという長期のデータで、どの選手が史上最高のテニスプレイヤーなのかを視覚化している。例えば以下のグラフは、現在世界最高峰のプレイヤーであるジョコビッチと、往年の名選手ジミー・コナーズの累積勝率を比較したもの。これを見るとコナーズの強さが際立っているのが分かる(ただしコナーズのプロ1年目のデータは欠落)。

続いては、同時代のライバルとして鎬を削る、ジョコビッチとフェデラーを比べた下図を見てみよう。今度は横軸に試合数をとっているが、これを見ると、プロになってからの最初の数年間はジョコビッチの勝率の方が明らかに高い。逆に言うと、最初からスタープレイヤーだったわけではなく、数年を経てから驚異的なペースで勝ち始めたフェデラーの力強さを見ることができる。

もう一つ、個人的に興味深く見たのが、錦織圭とそのコーチ、マイケル・チャンの比較だ。下図では年齢を横軸にとっているが、これを見ると何となく似たパターンを辿っているように思えるのではないだろうか?それもチャンが一回り上のレベルで。そんな意味でも、錦織は自分にあった良いコーチを見つけたと言えるのかも知れない。

いずれにしろ、自分の気になる選手をピックアップしてその戦績を視覚化してみるというのは大変に興味深い。眺めているだけでも面白いので、 “The greatest men’s tennis player ever” でぜひ遊んでみて。
Amazon Campaign
関連記事
-
-
日本代表はなぜ負け続けるのか|サッカー・データ革命はどこに?
サッカー・ロシアW杯出場を賭けたアジア最終予選が始まった。と思った矢先に、対UAE戦にホームで敗れる
-
-
正月の風物詩・箱根駅伝が今年もおもしろい
新年明けましておめでとうございます。新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、ステイホームの継続と静かな
-
-
若き研究者フィギュアスケート町田樹のスポーツ文化論
2022年の冬季北京五輪の開幕も近づいてきた。ウィンタースポーツの代表例のひとつが、フィギュアスケー
-
-
全仏オープンテニス2019|グランドスラム初制覇を目指す錦織圭の戦い
錦織圭、昨日のベスト16の試合では、雨天順延2日間に渡るフルセットの末に地元フランスのペールを破り、
-
-
お正月に見た映画『スラムダンク』にやっぱり涙と鼻水が止まらない
今年の正月には、あの伝説的人気漫画『スラムダンク』が映画化された『The First Slam Du
-
-
プロテニスプレイヤーの憂鬱|男女格差と上下格差の歴史と現状
ウィンブルドンテニスで今年も熱戦を繰り広げられるなか、Financial Times の記事 "Do
-
-
年収は「住むところ」で決まる: The New Geography of Jobs
"How Professional Salaries Vary Around the Country
-
-
スポーツの統計学|データ・サイエンティストたちのゲーム分析
スポーツ界に広がるデータ革命 これまで何度か書いてきたように、スポーツとデータというのはとても相性
-
-
欧州サッカー・マネーリーグ|今年も首位のバルセロナだけれども
毎年、この時期に楽しみなのが、「デロイトフットボールマネーリーグ」である。世界的な監査法人デロイトが
-
-
サッカー・データ革命の時代に読んでおくべきこの5冊
データ革命が加速する世界最先端の現代サッカー 「ワールドカップの閉幕、そしてデータドリブン・サッカ
