難敵アンディ・マレーをフルセットで倒した錦織が準決勝進出|データで見る全米オープンテニス
思わず早朝からWOWOWで生中継を見てしまった本日の全米オープンテニス。ついに錦織がやってくれて大興奮。これまで苦手としてきた強敵アンディ・マレーをフルセットの末に撃破したこの準々決勝は、この先非常に大きな意味を持つ。次の準決勝の相手はワウリンカ、そして決勝ではジョコビッチが待ち構えていると予想されるが、ぜひとも、今年こそは、そんな強豪さえも打ち負かし、初のグランドスラム優勝を勝ち取ってほしい!
そんな大熱戦となった準々決勝マレー戦をデータで振り返ってみよう。もちろん利用するのはいつもの通り、IBM の SlamTracker である。この試合をWOWOWで生放送を見ていた方なら分かるだろうが、錦織が要所要所で決めたネットポイント、ここぞという好機に掴んだブレイクポイント、そして目の覚めるようなリターンエースで勝ち取ったレシーブポイント、それらがこの試合の中でもとくに印象に残ったプレイなのではないだろうか。
まさにそうした視聴者の感覚を裏付けているのが、以下のデータである。この試合全体のサマリーを眺めても明らかなように、ネット、ブレイク、レシーブの各指標がマレーを上回っていることが分かる。そして、とくにそれが顕著だったのが、6-1というスコアで圧倒した第4ゲーム、続いて良い流れのまま始まり7-5で競り勝った最終第5セットであった。もちろん SlamTracker からはセット別の結果をより詳細なデータとして見ることもできるので、ぜひこのシステムを使って様々な角度から結果を眺めて頂きたい。
さらには、サーブ/レシーブ別に両選手の指標を確認してみると、まさにそのリターンエースが錦織の大きな武器となっていたことが以下の図からも分かるだろう。とくにこれをセット別で見ると、8つのリターンエースのうち4つを第4セットで、3つを第5セットで獲得しているように、試合後半における錦織のリターンの強さが際立っていた試合だった。
もう一つの勝因は、錦織自身が試合後のインタビューで答えていたように、絶妙のタイミングで決めたドロップショットの数々だろう。以下の図が示すように、フォアで6つ、バックで1つ、合計7本のドロップショットが全て決まり、それがときにマレーを走らせ、ときに彼の足を止める重要なショットとなったのである。
というように、フルセットの死闘の末、見事に強敵を倒した錦織のプレイをデータで確認するというのは、大変おもしろい作業である。次の準決勝ワウリンカ戦でも、ぜひとも今日のような素晴らしいショットを続けてほしい。そしていよいよ見えてきたグランドスラム優勝という栄冠。もちろんそこに至る道はまだ険しいが、ぜひ輝く頂点を目指し、勝利を勝ち取って欲しいと願っている。我々はそんな錦織の挑戦と歴史的瞬間を、WOWOW での生放送で目撃し、そして SlamTracker というデータ分析ツールを用いて彼の一挙手一投足を見守ろう。あと2試合、がんばれ錦織!
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