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中央アジア訪問記:天然資源に恵まれた大国カザフスタン

公開日: : 海外

先日の安倍首相の訪問に続いて、米国ケリー国務長官も同地域を訪れるなど、「中央アジアで新たなパワーゲーム」(NHKニュース)が展開されている。

天然ガスやウランなど、豊富な資源に恵まれた中央アジアは、資源をもたない日本としては、戦略的な観点からも、結びつきを強めておきたい地域です。このため、今回の訪問は、この地域の国々との経済関係を強化することが目的のひとつで、日本からは、商社や銀行、大学など50もの企業や団体の幹部が同行し、各国で、現地の政府高官を招いての、ビジネスフォーラムなどが開かれました。
中央アジアの5か国はいずれも、旧ソビエト連邦を構成していた国々で、1991年に独立を果たしましたが、今も、ロシアの影響力が色濃く残ります。また、中国の北西に位置し、地政学的にみると、中国にとっては、いわば「裏庭」ともいえる地域です。ユーラシア大陸の東西を陸と海上で結ぶ壮大な計画、「一帯一路」構想を掲げる中国は、陸上ルートの中継地点にあたるこの中央アジアを重視していて、企業の進出や投資を活発化させるなど、経済的な攻勢を強めています。こうした背景から、今回の安倍総理大臣の訪問には、中央アジアの国々が、中国やロシアに依存しすぎることがないよう、日本として、いわば「くさびを打ち込む」ねらいもありました。

 

さて、そんな地政学的な重要性が増している中央アジアだが、そう一括りにできるほど5ヶ国は似通っているわけではない。「シルクロードの要衝ウズベキスタン」および「遊牧民の末裔キルギス」で書いたように、当たり前だがこの二ヶ国だけでもずいぶんと異なる。

 

それでは最後に僕が訪れたカザフスタンについても簡単に紹介しておきたい。まずは再度、場所の確認を。

centralasiamap2

 

カザフスタンを地図で見て一目で分かるのが、この国土の広さだろう。山岳地帯が9割を占めるキルギスはもちろん、人口230万人の大都市タシケントを抱えるウズベキスタンと比べても、カザフスタンの国土は格段に広い。加えて、外務省の解説にもあるように、この広大な大地は天然資源にも恵まれ、その結果として中央アジア5ヵ国の中では群を抜く豊かさを手に入れた。首都はアスタナ(人口83万人)だが、それは1997年に遷都されてからのことであり、経済の中心地は今も旧首都だったアルマトイ(人口153万人)である。

 

カザフスタンの近年の経済成長はめざましく、それを反映するかのように国際スポーツ大会の開催にいくつも名乗りをあげた。2011年には冬季アジア大会を開催しただけでなく、2022年の冬季オリンピックにも中央アジア初の開催を目指して立候補していた。結果的には中国・北京との一騎打ちに敗れはしたが、近い将来のオリンピック開催も十分にあり得るだろう。

 

それでは、そんなカザフスタンの旧首都アルマトイを写真で紹介してみたい。まず最初に以下の写真はカザフスタンの国鉄中央駅。国の英雄を銅像とするのは、この国をはじめ中央アジア各国でも見られた風景だ。

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さすが人口150万人を擁する大都市だけあって、小国キルギスの中央駅よりも遥かに大きい。ちなみに中央アジアで地下鉄が走っているのは今のところ、ウズベキスタンの首都タシケントと、ここカザフスタンの経済都市アルマトイのみとなっている。

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官公庁街には立派な建物が並び、その正面には広大な公園が整備されている。

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そして公園にはもちろん、過去に勇敢に戦った兵士たちの銅像が。

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こちらはいかにもロシアらしいゼンコフ正教会だ。

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少し街はずれにあるこの建物はカザフスタン国立博物館。カザフスタンと中央アジア一帯の歴史や自然が数多く展示されている。

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そして何といっても、海外の町では欠かせない市場めぐり。まずは露天商がずらりと立ち並ぶ一角へ。

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屋内市場は食品売り場となっており、色とりどりの果物から、

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がっつり精肉と、

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そして中央アジアでは欠かせないドライフルーツに、

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チーズに卵と、どこも売り場は大賑わいだ。

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アルマトイの中心地をぶらぶらと歩いていると、レストランかカフェらしい看板。

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公衆電話もいたるところにあるが、この国でも携帯電話保有率が極めて高いなか、こうした町中の電話を使っている人はもう見かけないね。

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こちらはアルマトイ最大のショッピング・ストリート。写真手前にZARA、奥にGAPが見えるように、こうした世界的ブランドはカザフスタンの経済成長を視野に、もうとっくにこの国に進出していたようだ。

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ちなみに「遊牧民の末裔キルギス」でも書いたように、中央アジア諸国は歴史的に韓国との結びつきが強い。だから、ショッピングゾーンに立てられた大きな看板はLGだし、携帯はSamsung のGalaxy が一番人気だ。

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そしてこちらが、現在もっとも建設ラッシュが進んでいるビジネス地区。古びた建物ばかりの中心街とはがらりと雰囲気が変わり、なにもかもがピカピカ。オフィスビルもまだ建設中だったりこれから入居だったりと、今はまだ人の気配を感じないエリアではあるが、これも数年後にはビジネスパーソンでごった返す活気ある一帯となるのだろう。

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最後に食事の写真を。これがプロフと呼ばれる炒め飯で、イタリア風に言うとピラフである。ニンニクたっぷり肉たっぷりで、たいへんに美味しくお腹いっぱい食べた。

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もちろんビールも忘れずに。こちらはカザフスタン国産のプレミアム・ラガーだ。じつに味わい深い。

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そんなカザフスタンを知ることができる書籍は、残念ながらやはり極めて限られている。だが数少ない中にも、白水社から出版されている以下の新書2冊、そしていつもの通り『知るための60章』は大いに参考になる。とくに、中央アジアの中でも最も豊かで、天然資源に恵まれたカザフスタンはこれから日本にとっての重要な経済パートナーとなるだろう。安倍首相の訪問でも、原子力発電所の建設実現に向け、協力関係を強化することでも合意した(NHKニュース)。この国の名前は、今後様々な報道でより多く目にすることになるのではないだろうか。

 

 

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