*

岸田奈美のエッセイが好きだ

公開日: : オススメ書籍

普段は見ていなくとも、12月6日の「サンデーステーション(テレビ朝日)」だけは見た方がよいかも、そう感じたのはひとえに、岸田奈美への取材が放送されるからだ。

 

note のエッセイで人気を博し、初の著書『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』を出版した彼女は、その後も勢いそのままに、ものすごい行動力と決断力で、つぎつぎと新しいエピソードをぶちこんでくる。それがまた、素敵な話ばかりなのである。例えば、note の最新エッセイがこちらの「全財産を使って外車買ったら、えらいことになった」なのだが、こんなにおもしろおかしく、それでいて心あたたまる家族のストーリーを描ける人、いままでいました? っていうくらい、前のめりになるほどの姿勢で一気に読ませる力が、いつも彼女の物語にはある。

 

そんな話がいっぱいつまった本書、ぜひ読んでみて欲しい。僕はあえて電子書籍ではなく、紙の本として購入した。それは彼女の弟が書いた数字が書籍のページ番号を飾っているからだ。これはデジタルにはできない工夫であり、編集者のひとたちが頑張って通常ではない作り方をしてくれた心意気からだという、これまた素敵な物語がここには隠されているのだ。彼女の家族を想う熱量が周囲にも伝染し、多くの人たちの協力を得ながら物事をなしとげる、世の中にはこんなにも好意と希望があふれているんだと嬉しくなる一冊なのだ。

 

笑えて泣ける岸田家の日々のこと

車いすユーザーの母、ダウン症で知的障害のある弟、ベンチャー起業家で急逝した父――

文筆家・岸田奈美がつづる、「楽しい」や「悲しい」など一言では説明ができない情報過多な日々の出来事。笑えて泣けて、考えさせられて、心がじんわりあたたかくなる自伝的エッセイです。

もくじより
◎弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった
◎どん底まで落ちたら、世界規模で輝いた
◎グーグル検索では、見つからなかった旅
◎先見の明を持ちすぎる父がくれたもの
◎忘れるという才能

【編集担当からのおすすめ情報】
noteやTwitterで話題となっている岸田奈美さん。岸田さんの文章は、人の感情をゆさぶる力があります。岸田さん節が炸裂するギャグに爆笑した次の瞬間、涙があふれてきます。私など、読んだ後、見える世界の景色がきっと美しく清々しいものになるはず。ぜひ体験してみてください。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

『ヤバい統計学』他で学ぶ数字のセンス|統計リテラシー入門におすすめの4冊

以前にも「『ヤバい統計学』とテーマパーク優先パスの価格付け」で紹介したように、カイザー・ファング著『

記事を読む

聖の青春|天才・羽生善治を追いつめた伝説の怪童・村山聖

日本の将棋史上最高のプロ棋士・羽生善治の名前を知らぬ人は少ないだろう。だが、「東の羽生、西の村山」と

記事を読む

いま国語辞典がおもしろい|10年ぶりの大幅改訂による最新版あいつぐ

さて、「2020年、本ブログで最も売れたこの1冊」でも紹介したように、昨年の一年間でもっとも売れたの

記事を読む

華麗な王者モハメド・アリと、そのアリになれなかった男|沢木耕太郎の名著『敗れざる者たち』と『一瞬の夏』を再読する

2016年6月4日、プロボクシングの元世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリが74歳の人生に幕を閉

記事を読む

待望のシリーズ最新刊|『英熟語図鑑』で学ぶ基本動詞を使った自然で豊かな英語表現

以前に「効果抜群おすすめ英単語超学習法|語源から理解して飛躍的に語彙を広げる」でもおススメした、『英

記事を読む

イェール大学出版局 リトル・ヒストリー|若い読者のための「アメリカ史」のすすめ

以前にも紹介したことのある、「イェール大学出版局 リトル・ヒストリー」のシリーズ。いまのところ5冊が

記事を読む

NHKの異色数学番組『笑わない数学』第2回は「無限」の魅力と魔力に迫る

さて、初回が放送されたばかりのNHK『笑わない数学』、ご覧になりましたか? 第1回では「素数」の謎に

記事を読む

アカデミアへの転身と、アカデミアからの転身

日本テレビの桝太一アナウンサーが、16年間在籍した同局を今年3月で退社し、4月からは同志社大学ハリス

記事を読む

箱根駅伝「幻の区間賞」と関東学連チーム出場の是非

来年もまた正月から箱根駅伝にくぎ付けとなってしまう、そんな人も多くいることだろう。二日間に渡るこれだ

記事を読む

いまこそ本当の宇宙兄弟を目指す|13年ぶりの宇宙飛行士選抜試験いよいよ始まる

大ヒット漫画『宇宙兄弟』を挙げるまでもなく、僕らはみな子供の頃から宇宙が大好きだった。そして、あの頃

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑