*

アメリカのクラフトビールは実は美味しいんです

公開日: : 最終更新日:2014/11/17 アメリカ

先日ちょうど同じようなタイミングで、New York Times と Financial Times と朝日新聞が、米国のクラフトビール革命について取り上げていたのを見かけた。

 

New York Times の方は、この革命を綴ったノンフィクションの新刊の紹介 “Craft Brewers, Finding a Better Seat at the Bar” という記事。一方の Financial Times は、“Hop prices soar as US craft beer boom takes off” と題した、ホップ価格上昇に関する記事だ。

 

 

アメリカの食事で何が美味しいかと聞かれたら、何もないというのが定番の答えであろうし、そもそもそんな質問をする人すら少ないかも知れない。だがしかし、ビールに限っては日本に比べてアメリカの方が圧倒的に旨いんです!安いのはもちろん種類も豊富、それも味や香りのバラエティが実に多種多様なのだ。キリン一番搾りよりも、サントリー・プレミアムモルツの方が美味しいよねとかいう、ちっちゃい違いではないのだ。

 

そんなアメリカの美味いビールを牽引するのが「クラフトビール」であり、日本でいうところの地ビール。その中心となっているのがこのオレゴン州であり、IPA(Indian Pale Ale)と呼ばれる種類のビールだ。朝日新聞の記事の中でも、「クラフトビールが起こした地殻変動」そして「クラフトビールの醸造所を訪ねて・アメリカ編」で詳しく紹介されている。

 

 

そんなオレゴンと麦酒醸造所は、僕にとって絶対に行かねばならない場所でもあった。だから以前に「オレゴン州の小さな町ベンドに酔いしれる」で紹介したように、僕もオレゴンの旅に出る前には、“The Audacity of Hops” を読んで予習していったわけである。これもアメリカのクラフトビール革命について綴ったもの。もちろん本のタイトルは、オバマ大統領の自叙伝 “The Audacity of Hope” のぱくりだ(笑)。

 

それにしても、ベンドの麦酒醸造所めぐりと工場ツアーそしてお楽しみの試飲タイムは実に楽しいひとときだった。あまりにも数多くの醸造所がありそのごく一部しか行けなかっただけに、次にまた訪れてみたいと強く思わせる町だった。全米に約2,400ある地麦酒醸造所(クラフトビール)だが、MAPPING THE RISE OF CRAFT BEERでもデータで解説されているように、オレゴン州がいまもっとも勢いがあり、州都ポートランドとともに聖地となっているのがこのベンドなのである。酒好きはもちろん、そうでない人にとっても過ごしやすい、小さくも可愛らしい町であり、ぜひおすすめしたい場所なのである。

 

Bend8_tns

 

 

翻って日本のビール市場では今も大手による寡占が続いている。なかなかクラフトビールが育たないのが残念でならないが、たぶんアメリカのクラフトビール(とくにIPA)を飲んだら、ビールってこんなにも美味しいの!?って思うこと間違いなし。「とりあえずビール」なんてもう言えなくなると思うよ。そんなアメリカのクラフトビールをぜひ味わって頂きたいし、ぜひ今後日本でももっと新しい独自のクラフトビールが生まれてくることを期待したい。この夏は美味いビールを飲もう!

 



 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

Amazon.com の勢いが止まらない|サイバーマンデーで過去最高売上を記録

株価上昇が続くアメリカ経済の中でも、Amazon.com の勢いはひときわ目を引く。下のグラフを見れ

記事を読む

us job map

年収は「住むところ」で決まる: The New Geography of Jobs

"How Professional Salaries Vary Around the Country

記事を読む

町山智浩『知ってても偉くないUSA語録』は秀逸な現代アメリカ社会批評

映画評論家の町山智浩をご存知だろうか?そして、彼の秀逸な現代アメリカ観察記をご存知だろうか?そんな週

記事を読む

連邦最高裁判事9人が形づくるアメリカの歴史

下の写真がアメリカ連邦最高裁判所だ。各種ニュース等での報道の通り、今回はこの最高裁が、これまで人工妊

記事を読む

イェール大学出版局 リトル・ヒストリー|若い読者のための「アメリカ史」のすすめ

以前にも紹介したことのある、「イェール大学出版局 リトル・ヒストリー」のシリーズ。いまのところ5冊が

記事を読む

人はなぜ走るのか?を問う『Born to Run~走るために生まれた』は、米国ランナーのバイブル

米国で異例のベストセラーとなり、何度目かのランニング・ブームを引き起こした一冊『Born to Ru

記事を読む

gated community 1

アメリカ地方自治体の分断:富裕層による独立運動

先日のNHKクローズアップ現代を興味深く視た。「“独立”する富裕層 ~アメリカ 深まる社会の分断~」

記事を読む

『ゼロ・トゥ・ワン』のティールと米国社会の変容『綻びゆくアメリカ』

米国の著名投資家ピーター・ティールが著した『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』が、「今

記事を読む

町山智浩の『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』と、ハズレのない現代米国社会批評シリーズ

「教科書に載っていないし、知ってても全く偉くもないUSA語録」でも紹介したように、町山智浩のエッセイ

記事を読む

今年のクリスマスもまたアメリカ現代社会の象徴「メガチャーチ」を思い出す

今年もいよいよクリスマス。そしてこの時期、毎年のように思い出すのがアメリカのメガチャーチである。「現

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑