*

NHKの異色数学番組『笑わない数学』第2回は「無限」の魅力と魔力に迫る

さて、初回が放送されたばかりのNHK『笑わない数学』、ご覧になりましたか? 第1回では「素数」の謎に迫りながらも、専門外の視聴者になにがどうスゴイのかを熱く伝えようとする姿勢が印象に残ったのではないだろうか。なにしろ、その「気の毒になるほど熱い思い」こそが、パンサー尾形がこの番組に抜擢されたずばりの理由なのだから。

 

 

パンサー尾形貴弘が難解な数学の世界を大真面目に解説する異色の知的エンターテインメント番組!

「リーマン予想」「フェルマーの最終定理」「連続体仮説」「四色問題」「ガロア理論」「abc 予想」「確率論」「P対NP問題」「カオス理論」「ポアンカレ予想」「暗号理論」「虚数」…。

天才数学者をも苦しめてきた数々の難問、そして美しくも不思議な知の世界を、1回30分1テーマでわかりやすく掘り下げます。ギャグ封印で、数学に取り組む尾形さんの姿とは?

 

さて、そんな注目の異色作、7/20水曜に放送予定の第2回では、今度は「無限」に斬り込む。僕は以前の試験的放送のときにすでに視聴したのだけれども、この回もじつに面白いのだ。無限というのは、なんとなくのイメージしか持っていないことがほとんどだろうが、その無限さえ一種類ではないとか、さらにはこの難問に一生を捧げた天才数学者たちがそれゆえに翻弄された運命だとか。実に多くのドラマが待っているのが、この「無限」というテーマなのである。

パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。今回のテーマは「無限」。どこまで行っても終わりがない「神の領域」に挑んだ、ある数学者の物語。 1,2,3,4,5…と無限に続く「自然数」。2,4,6,8,10…とこちらも無限に続く「偶数」。もし、それぞれの「個数」をすべて数え上げることができたとしたら、どちらの方が大きいだろうか?「有理数」なら?「実数」なら? 考えれば考えるほど、迷宮に迷い込み、“人知を超えた領域“と言われた「無限」の世界に、たった1人で踏み入った天才数学者の物語。「自由の精神」を武器に戦いを挑み、たどり着いた先とは…。

 

もちろんこの番組で初めて「無限」について知ることになる、という人も多いだろう。でも、もしもちょっとでも事前に予備知識を得ておこうと思ったら、おすすめの一冊がまさにこの『「無限」に魅入られた天才数学者たち』である。本書もまた、NHKの番組と同様に、数学の細かい内容というよりも、どれほど大きくそして解くのが難しい問題なのかという全体像と、それに果敢に挑戦した天才たちの人物像を追いかけたものとなっている。そういう意味では、サイエンスというよりも、ヒューマンドキュメンタリーといった方が合っているのかも知れない。いずれにしろ、本番組や本書で、これまでに人類がどれほどの知的好奇心でもって世界の理解を目指してきたのか、そんな熱い思いが伝わればと期待している。

 

数学に無限は付きもののように思えるが、では無限は数なのか? 数だと言うならどのくらい大きい? 実は無限を実在の「モノ」として扱ったのは19世紀のG・カントールが初めてだった。彼はそのために異端のレッテルを張られて苦しみ、無限に関する超難問を考え詰め精神を病んでしまう・・・・常識が通用しない無限のミステリアスな性質と、それに果敢に挑んだ数学者群像を描く傑作科学解説。

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

ミャンマーの歴史と地政学|アジアの超大国・中国とインドをつなぐ十字路

ミャンマーがいま政治的に揺れている。日本との歴史的関係も長いこの国は、僕自身も何度か訪れたことがある

記事を読む

新中学生・高校生から新社会人にまでおすすめする国語辞典4選|辞書それぞれの個性を理解して選ぼう

中学生・高校生から新社会人まで必須アイテムとしての国語辞典 春から新たに中学校・高校・大学に入学す

記事を読む

日本に残る最後の秘境へようこそ|東京藝術大学のアートでカオスな毎日

いよいよこの書籍が文庫化されましたね。そう、2016年に出版され大きな話題となった一冊『最後の秘境

記事を読む

事実は小説より奇なり|大人が味わうノンフィクション

先日おすすめした『10代のための読書地図』と同じブックガイドでありながら、そのテイストが大幅に異なる

記事を読む

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春はいつだって新しい旅立ちのときで

記事を読む

NHK-ETV特集 将棋電王戦:棋士vsコンピュータの激闘5番勝負

先週末に放送されたNHK-ETV特集の「棋士VS将棋ソフト 激闘5番勝負」をご覧になっただろうか?面

記事を読む

アイデアと問題解決につづく第3弾『独学大全』ついに登場|一家に一冊、学びの百科事典として

さてさて、あの『独学大全』もう読みましたか? 人生100年時代、つねに学び続けアップデートし続けねば

記事を読む

japanese dictionaries 1

赤瀬川原平『新解さんの謎』と『辞書になった男』:いま日本で最も売れている「新明解国語辞典」の誕生秘話

これまで何度か、各種おすすめ国語辞典のそれぞれの個性について書いてきたが、その中でも最も「個性的」な

記事を読む

野村克也の頭脳とデータ|戦後初の三冠王そして名監督としての実績と名声

日本のプロ野球界に燦然と輝く実績と名声。戦後初の三冠王の栄誉を手にした名キャッチャーにして、監督とし

記事を読む

論文捏造はなぜ繰り返されるのか?科学者の楽園と、背信の科学者たち

先週は、小保方晴子氏の論文「学位取り消しに当たらず」(NHK)との報道が新たな議論を引き起こしている

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑