将棋王将戦・挑戦者決定リーグが超豪華メンバーでついに開幕
やばい、ヤバい、超やばい。というくらい大興奮なのが、ついに始まった第70期王将戦、挑戦者決定リーグである。予選を突破した将棋棋士7人による総当たり戦で、その勝者が先日ついに新名人に就任した渡辺明に挑戦する、というものだ。
その対局が以下のスケジュールと顔合わせで設定されているのだが、なんとまあ豪華なメンツが揃いも揃ったことよ。全員が、現在もしくは過去のタイトルホルダーである実力者であり、彼らの挑戦を待ち受けるのが現役最強の渡辺明名人である。つまり、いまの将棋界におけるトップ・オブ・トップの8人が揃い踏みとなったのだ。しかも、である。一発勝負があるトーナメント戦ではなく、総当たりでそれぞれ全6対局による戦いだから、実力が如実に反映されるうえ、先手番・後手番もそれぞれ3回ずつとなり極めてフェアである。
そんな大注目のリーグ戦、開幕は藤井聡太二段VS羽生善治九段、というまさにゴールデンカードだったのだ。結果は、後手番の羽生がじわじわと逆転し鮮やかな勝利。藤井はこれまで公式戦で羽生に対し無敗であっただけに、現役にしてレジェンド羽生が一矢を報いた形だ。これで俄然、このリーグの面白さが増した。なにしろ、藤井聡太二段、次の相手は、こんどは藤井がまだ公式戦で一度も勝てていない豊島竜王なのだから。序盤・中盤・終盤、まったくスキがない豊島竜王、まじ強いよね。
というわけで、今度は藤井が、前回の羽生と同様に、いままで勝ったことのない相手に対し、後手番で臨まねばならないのだ。ここで負けて二連敗となると、渡辺明への挑戦どころか、このリーグに残留するのも難しくなる、そんな正念場を早くも迎えているのだ。だから、見なきゃダメだよね、その試合を、生中継で。
こんなにアツい面々が集まり、すでに熱戦が繰り広げられている今年の王将戦だが、唯一のそして最大の不満は、ABEMA等での無料生中継がないってことなんだよね! でも見たいよな。こんな素晴らしい豪華メンバーが揃うなんて、そうそうないって。これを見逃したら、歴史的瞬間をのがすことにもなる。そう思わざるを得ないほどの展開なのだから、だから僕は課金しちゃったよ(笑)。いまや僕は、本線を生中継をしてくれる「将棋プレミアム」の有料ゴールド会員なんだぜ。
以前だったら、わざわざお金を払ってまで将棋を観るなんて、僕自身も考えられなかった。でも、やっぱり今の将棋はむちゃくちゃ面白いんだよ。有料でも見たいと思わせるようなコンテンツになったということで、僕はそれはとても喜ばしいことだと思っている。例えば欧州サッカーだって、WOWOWやDAZNとか、有料放送で観たりするわけだよ。メッシやロナウドのスーパープレイを見るのにお金を払うのと同じように、藤井や羽生や豊島の超絶技巧を有料で観戦するわけだ。ぜひそんなスーパースターがこれからも将棋界で次々と誕生して欲しいし、今後も注目される対局を続けて行って欲しいと願っている。
ところでこの王将リーグは、メディアの盛り上げ方も上手いなあと思っていて、とくに参戦棋士へのインタビューが素晴らしいのである。昨年は「王将リーグ『才能と努力』」特集として棋士ひとりひとりへのロングインタビュー、そして今年は「王将リーグ『棋士とニューノーマル』」特集として2人ずつの対談インタビューという形で、それぞれの思いや考えそして人となりを、とてもうまく引き出しているのだ。もしも生中継で対局を見ないにしても、ぜひこれらのインタビュー記事は読んでみて欲しい。ますます有料会員になりたくなるはずだから(笑)。
そしてもちろん、前回「敗れざる者たち|藤井聡太に失冠したトップ棋士たちの言葉」でも書いたように、爆発的な売り上げを記録した、将棋を大特集したスポーツ雑誌「Number」も改めて読み返して欲しい。今回の王将リーグ、最終節は藤井二冠VS木村九段である。最年長の記録で初タイトルを獲得した木村はしかし、わずか一年で王位を藤井に譲り渡すことになる、しかも四連敗という完敗で。そんな対戦も記憶に新しい両者が、王将リーグ最終節でふたたび相まみえるというのも、今年の王将リーグを歴史的なものとして彩るのに相応しいだろう。というように、見どころ満載の今年の王将リーグ、まずは次の藤井VS豊島の10.5決戦を見逃すな!
Amazon Campaign

関連記事
-
-
将棋・渡辺明と囲碁・井山裕太の名人対談|天才的頭脳とAI的息苦しさ
さて、将棋と囲碁、それぞれの2020年賞金ランキングが以下のように出そろった。 日本将棋マ
-
-
オリンピック女子選手とチームが大活躍
昨日8/6金曜日のオリンピック生中継を見ていた人は、何度も涙がこぼれ落ちそうになったのではないだろう
-
-
なぜ日本の新幹線は世界最高なのか?定刻発車と参勤交代
"Why Japan's high-speed trains are so good" というEco
-
-
マイクロソフト製ワイヤレス・キーボード Sculpt Ergonomic がスゴイ:手首が疲れないおすすめのデザイン
前回「ScanSnapがスゴイ」で書いたように、僕が最近購入した研究室アイテムのうち、ベストは富士通
-
-
英語論文の書き方・直し方|英文校正校閲にはクラウドソーシングがおすすめ
英語アカデミックライティングに必携の英語辞典 「アカデミックライティングにおすすめの英語辞典|コロ
-
-
サッカーW杯:絶対に負けられないファッションブランドの闘い
先日の「絶対に負けられないサッカー・ワールドカップの舞台裏:スポーツブランドのもう一つの闘い」では、
-
-
ゲイツ財団と世界の貧困に関する3つの誤解
今年もビル&メリンダ・ゲイツ財団の年次書簡が発表される時期がやってきた。「ビル・ゲイツからの手紙と
-
-
夏本番。今年はぜひ美味しいクラフトビールを飲もう!
アメリカのビールと言えばバドワイザー。そのイメージは正しい。なにしろ下図が示すように、市場シェアで圧
-
-
グランドスラム初優勝を目指す錦織圭の全仏オープンテニスを、SlamTracker でデータ分析しながら応援しよう
グランドスラムでのベスト8進出が、もはや驚きではないということ自体に驚かされる錦織圭のテニス。現コー
-
-
美女と稲刈り:魚沼産コシヒカリ、新米できました
さてさて収獲の秋、味覚の秋、そして食欲の秋。今年も魚沼産のコシヒカリの新米ができましたよっ!以前に「