*

英語論文の書き方:英文ライティングの新定番テキスト “The Sense of Style”

公開日: : 最終更新日:2015/07/17 英語

これまで4回連続で紹介してきた、英語アカデミック・ライティングのおすすめテキスト、の続き。

  1. 英文ライティングここから始める必読テキスト4選
  2. よりモダンでクリアな英作文テキスト3選
  3. アカデミック・ライティングの決定版テキスト
  4. スタイルとフォーマットで学ぶアカデミック・ライティング

 

先日出版されたばかりの英文ライティング・テキスト “The Sense of Style” を購入した。著者はハーバード大学心理学部教授の Steven Pinker で、TEDトークにも何度も登場した人気の言語学者だ。そんな彼の新刊 “The Sense of Style” は、以下のように各紙で大きく取り上げられており、英語ライティングの分野でひさびさに登場した注目の一冊と言えよう。

 

medium_3293117576photo credit: jjpacres via photopin cc

 

サブタイトルに “The Thinking Person’s Guide to Writing in the 21st Century” と付されているように、本書 “The Sense of Style” が、ライティングの新たな定番となることを目指して執筆された意欲作であるのは間違いない。

Bad writing can’t be blamed on the Internet, or on ‘the kids today’. Good writing has always been hard: a performance requiring pretense, empathy, and a drive for coherence. In The Sense of Style, cognitive scientist and linguist Steven Pinker uses the latest scientific insights to bring us a style and usage guide for the 21st century. What do skilful writers know about the link between syntax and ideas? How can we overcome the Curse of Knowledge, the difficulty in imagining what it’s like not to know something we do? And can we distinguish the myths and superstitions from rules that enhance clarity and grace? As Pinker shows, everyone can improve their mastery of writing and their appreciation of the art (yes, ‘their’).

 

特に本書は、従来の定番書 “The Elements of Style” (by Strunk and White) にとって代わり得るものである。何しろ Strunk によって1918年に書かれ、その後共著者 White とともに出版されてから既に50年以上が経つ “The Elements of Style” は、”a little dated” どころではないくらいの古典となってしまっているのだ。

Though still revered, “The Elements of Style,” to be honest, is a little dated now, and just plain wrong about some things. Strunk and White are famously clueless, for example, about what constitutes the passive voice.

 

その間、これを代替するライティングのテキストが登場しなかったわけであり、ようやく現れたのが今回の Pinker による本書 “The Sense of Style” というわけだ。もちろんこの書名には、Strunk and White に対するオマージュと、本作を Writing Style の新たな定番にするという意欲の両方が込められているのだろう。

 

New York Times でも “his book is more contemporary and comprehensive than “The Elements of Style,”” と評されているように、Pinker の本作は、よりモダンでより大局的な視点に立ったもの。論文を始め、英語で文章を書く人にとっては必読の、そして僕も今から熟読する一冊だ。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

プレゼンを準備する前に繰り返し読みたいおすすめの一冊『TED TALKS』

話題の一冊『TED TALKS』を読んだ。ご存知いまや圧倒的なプレゼンスを獲得したTEDカンファレン

記事を読む

岩波書店がAmazonで電子書籍Kindle版を配信開始:おすすめは『日本人の英語』

岩波書店がいよいよAmazonでも電子書籍を配信開始、というニュース。岩波文庫や岩波現代文庫そして岩

記事を読む

【おすすめ英語テキスト】あの「語源図鑑」に待望の続編が登場|英単語を語源から根こそぎ理解する

ついに出ましたね、あのベストセラー『英単語の語源図鑑』に第二弾の続編が! これ、ものすごくおススメな

記事を読む

もう一度聞きたい、アメリカの大学卒業式スピーチ5選

アメリカの卒業式シーズンは5月だが、日本でいえば今がまさに大学卒業のピーク・シーズンである。だからこ

記事を読む

writing a research paper

英語論文アカデミック・ライティング絶対おすすめできる18冊

以下のエントリ・シリーズで詳述しているように、これまで僕自身が多種多様の英語ライティングテキストを読

記事を読む

英語アカデミック・ライティングの最高傑作シリーズに翻訳が登場|レター・メール執筆ノウハウ

英語アカデミック・ライティングのおすすめ参考書は、これまで以下のようにいくつもの良書とそれぞれの特徴

記事を読む

新書『英語独習法』が売れている|認知科学者がおしえる思考と学習

岩波新書の今井むつみ『英語独習法』が売れている。僕自身も大変興味深く読んでおり、これは英語学習者にと

記事を読む

new york times building

ニューヨーク・タイムズと朝食を

前回「フィナンシャル・タイムズと昼食を」で紹介した "Lunch with the FT" のインタ

記事を読む

今年もアメリカの大学卒業シーズンがやってきた|おすすめ歴代スピーチ10選

さて、今年もアメリカの大学では卒業シーズンとなった。コロナ禍で大きく様変わりしてしまったとはいえ、卒

記事を読む

writing and editing English

英語論文の書き方:英文ライティングここから始める必読テキスト4選

「あらためて国際大学(IUJ)の紹介:留学生の出身国」で書いたように、国際大学の修士学生の多くは、各

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑