裸の男衆がつくる厳寒の異空間|越後浦佐毘沙門堂裸押合大祭に行ってきた
公開日:
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最終更新日:2015/03/17
南魚沼・新潟
ご存じの方は皆無だと思うが、越後浦佐毘沙門堂裸押合大祭という祭りがある。上半身裸の男衆が「サンヨ!」の掛け声とともに押し合うという「奇祭」なのだが、それがなんとここ南魚沼で1200年以上も前から続いている伝統ある行事だというではないか(にいがた観光ナビ)。
昨年はタイミングが合わず残念ながら見送りとなってしまったので、今年は僕も張り切って行ってきました。何しろ本学の留学生も揃って参戦するというではないか。だったら僕も行かないワケにはいくまい。ま、もちろん、安全なところから服を来て写真を撮りに行ってきたですけどね。だって寒いでしょ、冬に裸になるなんて。
毎年3月3日に開催されるということで、本年はちょうど2週間前の火曜日がそのメインインベントの日となった。日も沈み闇が周囲を包んだのを見計らうかのように登場した数多の裸の男衆。彼らはまずは池の水に頭まで浸かり身体を清める。そして今度は巨大なロウソクを取り出し、本堂へと続く道を照らし始めた。
続いて登場したのが、騎馬戦のような格好で隊列を組む男衆。上に乗った人たちが大声で叫びながら、その隊列は本堂へ向かってゆっくりと歩みを進めていく。ここだけ魔物や物怪が存在するかのような異世界がそこに広がっていた。
その本堂で待ち受けるのが、またもや別の裸男衆。しかも今度はロウソクを持って本堂上段に構え、そこから下々を睥睨しているではないか。このあと一体どう展開するのか全く予想できず、オレも身ぐるみ剥がされるんじゃないかしらと、思わずこちらも身構えてしまうではないか。
そして今度はまた別のところから別の裸男集団が本堂へと駆け込んでくる。そして始まった掛け声と押し合い。下の者が上段へあがろうとするとも、上の者から蹴り落とされるなど、もはや闘争の様相を帯びてきた。オレも巻き添え食ったり、しないよね・・・?
そして何と、最後に本堂へ殴りこんできたのが、先ほどのロウソク裸男衆。まじかよっ!ここ木造建築ですよ!しかも万が一にも、文化財が消失しちゃったらどうしてくれるんですか!という僕の不安の叫びが全く届かないほどの狂喜乱舞。よくよく見るとこの人達の多くは目がすわっている。しかも酒臭い。寒さを感じぬよう酒をしこたま飲んでから祭りを始めているみたいなのだが、こんな酔っぱらいばっかりだったら、本当に焼けちゃいますって!
しかも、ロウが溶けてそれがどんどん流れ落ちているんだけど、周囲の観衆にまでロウがかかってくるじゃねえか。ロウソク裸男が本堂場内を走り、それに押し出されるように観客ももみくちゃにされ、オレにもロウがかかってまじ熱かったって!
というわけで僕は、最初は安全なところから眺めているだけのつもりだったのに、思いがけず最前線に陣取ってしまったばかりにものすごい迫力でこの祭りを目撃することとなったのである。しかしそのおかげで、老いも若きも日本人も外国人もが、この狂気の異空間にエキサイトする様子を間近で見て取ることができたのである。やはり来年は僕も一肌脱いで新規参戦せねばなるまいか、とは思わなかったけどね。
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