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越後妻有アートトリエンナーレ「大地の芸術祭」|おすすめの読むべき4冊と訪れるべき5ヶ所

公開日: : 最終更新日:2015/08/23 アート, オススメ書籍, 南魚沼・新潟

「今年の夏は「大地の芸術祭」越後妻有アートトリエンナーレへようこそ!」で紹介したように、今年は3年に一度の芸術祭の年。新潟県十日町市周辺の「越後妻有」エリアでは、地元里山を舞台にして、国内外の数多くのアーティストの新作が並べられる。美術館で鑑賞するのではなく、その場所に行って、その地域が背景に持つ歴史や文化や営みといったもの、それを作品化しているからこそ、その場所に行く意味があるのである。

 

読むべき1冊目:芸術祭の『公式ガイドブック』

まず最初のおすすめの一冊は、言うまでもないが『公式ガイドブック』。今回並べられたアート作品の数々が解説され、いくつかの巡回ルートが提案されている。僕はもう何度もこの地域を訪れているのでよく分かるのだが、芸術祭が開催されているいるエリアは実に広大なのである。車で廻ったって時間がかかるのだから、ましてやバスや自転車や徒歩で見て回ろうと考えている人は、ぜひとも時間に余裕のあるプランづくりを。

 

「大地の芸術祭」を巡る必携の一冊!   全域を巡るアートマップ付!新潟県の十日町市、津南町を舞台に3年に1度開催される、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」がこの夏いよいよ第6回目を迎えます。本書は、広大な地域を舞台に約370のアート作品が点在する「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」をめぐるには必携のガイドブックです。

回りやすいルート別に10のエリアに分けて全作品を写真やドローイング付きで紹介。絶対に見逃せない2015年の見どころや、アーティストのインタビュー、回り方やお食事処、宿泊、お土産情報のほか、交通手段や時刻表で「大地の芸術祭」を巡る旅には必須の一冊です。これまで現地でしか手に入らなかった、全域を網羅したアート作品マップ付きなので、これさえあれば、すぐに越後妻有へ出発することができるのです!

 

 

読むべき2冊目:芸術祭ディレクターが語る『ひらく美術: 地域と人間のつながりを取り戻す』

続けて読んでおきたいのが、先月出版されたばかりの『ひらく美術: 地域と人間のつながりを取り戻す』だ。これは、大地の芸術祭をそもそも初回から企画している総合アートディレクターの北川フラムによる一冊である。新潟県出身でもある北川にとっても、妻有地域は縁遠い場所だった。それがふとしたきっかけでこんなにも深くこの地域に関わるようになり、そんな地域に根ざした芸術がベネッセ福武總一郎の共感を呼び、そして2012年から始まった瀬戸内・直島を中心とした瀬戸内国際芸術祭へと展開していったのである。

 

その北川が本書で語る、行政からの予算獲得から地元住民の理解醸成まで、初回「大地の芸術祭」開催に至るまでの数々の困難。一方では芸術祭が評価されるようになってから陥った怠慢とマンネリを反省し、地域に根ざした芸術祭の意味をもう一度考えなおしたプロセスなど、読みどころの多い一冊となっている。個人的には、「アートは赤ちゃんのように、泣き叫ぶ、言うことを聞かない、手間がかかるものです。生産性は無論ない。しかし面白い。だから周りの人同士が互いに助けあうのです」という一文がとても印象に残った。できれば芸術祭に行く前に、しかし行った後にだって、そもそもどういうコンセプトでこの「大地の芸術祭」が成り立っているのかを理解するためにも、ぜひとも読んで欲しい一冊だ。

 

世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。新潟県の里山を舞台に、美術による地域再生を目指して、3年に1度開かれている。本書は、その総合ディレクターによる地域文化論である。文化による地域活性化とはどのようなものか。人と人、人と自然、地方と都市が交わるためにはどうすればいいのか。さまざまな現場での実践をもとに、地域再生の切り札を明かす。

 

 

読むべき3冊目:ビジュアルで読む芸術祭コンセプトブック『美術は地域をひらく: 大地の芸術祭10の思想』

上記の新書『ひらく美術: 地域と人間のつながりを取り戻す』は先月の出版と内容が新しく手軽に読めるのがいい。しかし、芸術祭のコンセプトを語るには、やはりカラーで作品を解説しながらの方が相応しいだろう。その意味でぜひこちらの一冊も読んで欲しいと思っているのだ。前回の第5回「大地の芸術祭」までの記録をまとめた公式コンセプトブックであり、アート作品の解説はもちろんのこと、初回から第5回までの入場者数や事業支出・収入といったデータも掲載されており、芸術祭がどのように事業運営されてきたのかを物語る内容ともなっている。上記新書と合わせて読んで欲しい一冊だ。

 

壮大な「アートによる地域づくり」プロジェクトの全貌を、構想の仕掛け人が縦横無尽に語り尽くす。アート作品のヴィジュアルも満載。頁をめくるごとに「大地の芸術祭」の世界が立ち現れる!

 

 

行くべき1ヶ所目:オープンしたばかりのモダンな温泉旅館「里山十帖」

さて続いては、この「大地の芸術祭」を訪れる人に向けて、僕が超おすすめするこの地域で絶対行っておくべき5ヶ所を紹介しよう。最初にお伝えしたように、この越後妻有地域は実に広大で、その広いエリアに数多くのアート作品がぽつんぽつんと点在している。来訪者はその一つ一つを時間をかけて訪ね歩かねばならず、その様はまさに巡礼とも言えるだろう。つまり、東京を始め県外から来る人達にとっては、最低でも一泊、できれば2-3泊しないと十分にアートを楽しめないということでもあるのだ。

 

というわけで、誰しもが考えるであろう、どこに泊まるかという問題。そこで僕のいちおしは、モダンな温泉旅館「里山十帖」なのである。ここは本当に素敵なところ。雑誌『自遊人』をご存知の方は多いだろうが、その編集部が実は東京から南魚沼に移転してきているというのを知っている人はそう多くはない。そんな自遊人編集部が、なんと昨年、旅館を立ち上げたのである。それがこの「里山十帖」だ。自慢の絶景露天風呂や、地域の食材をふんだんに使った料理、そして周辺の里山散策等々、ここでしか体験できないことが沢山ある、そんな魅力いっぱいの宿なのである。

 

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読むべき4冊目:旅館「里山十帖」の誕生物語『里山を創生する「デザイン的思考」』

そんなイチオシの温泉旅館「里山十帖」が、どのようにして生まれたのか、それをまとめたのがこの一冊である。雑誌『自遊人』の編集長・岩佐十良はある日、大沢温泉に佇む旅館を買い取らないかという提案を受ける。最初は躊躇したものの、温泉の質の素晴らしさと抜群の見晴らし、そして豊かな里山と、この地域の魅力に惹かれた岩佐は、銀行等からの大反対を押し切って旅館を買い取り、リノベーションして現在の「里山十帖」を誕生させた。

 

宿泊施設で初めてのグッドデザイン賞を受賞するなど、大きな話題となったこの「里山十帖」は、大地の芸術祭が開かれるこの地域のもう一つのアート作品と言ってもよいのではないだろうか。地方創生と大上段に構えるのではなく、こうした事例からこそ見えてくることが沢山あるように思う。もちろんビジネス書としても読むことができ、そのユニークなアプローチは多方面で活かすことができるだろう。

 

●「従来のデータでは、宿の成功は100%あり得ない」という地域に、開業後わずか3か月で客室稼働率9割を超えた成功事例を、経営者が語る実践書。
●「自遊人」が14年6月に新潟県大沢山に開業したライフスタイル提案型の宿泊施設「里山十帖」は、開業3か月で客室稼働率9割を超え、グッドデザイン賞ベスト100・ものづくり大賞をW受賞するなど快進撃を遂げている。オーナー兼クリエイティブディレクターであり地方創生のキーパーソンとしても注目される著者が、開業1年の軌跡と、イノベーションの秘訣を語る。
●常識を超えたイノベーションを生む、事業計画書では語られない、「デザイン的思考」という新たな思考法を紹介。
●地方創生への具体的な道筋とヒントがわかる、エピソード満載の実践書。

 

 

行くべき2ヶ所目:美しく残る棚田「星峠」

十日町からさらに奥の松代地域。ここには実にすてきな場所が多く、僕にとってもお気に入りのドライブコースとなっているのだ。そのハイライトがこの「星峠」だ。山間の狭い土地を利用して稲作する知恵は、棚田という美しい景観を生み出した。とくにこの「星峠」は、全国有数の棚田として知られ、そのベストショットを撮影しようと多数のプロ・アマカメラマンが集う人気スポットでもある。

 

カレンダー等でもお馴染みの、夕日や夜景、そして春の田植えから秋の収獲そしてこの豪雪地帯ならではの冬の雪景色まで、四季折々の魅力にあふれたこの棚田を、ぜひとも見てもらいたいものだ。「大地の芸術祭」会場の中では、もっともはずれに位置するが、周辺には「脱皮する家」等のアート作品も点在しているので、時間がある人はぜひここまで足を運んでみて欲しい。ため息が漏れるほど美しい棚田の景色が見られますよ。

 

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行くべき3ヶ所目:孤独のグルメ「峠の茶屋 蔵」

「大地の芸術祭」に来て、地元料理をどこで味わったら良いか、それは先ほど紹介した『公式ガイドブック』にグルメ案内もあるので、そちらを参考にするのがいいだろう。というわけで僕がここでオススメしたのは、そういう由緒正しい地域グルメではなく、むしろB級グルメと呼ぶべき、しかしそれゆえに愛されし料理の逸品なのである。それがこちらの「峠の茶屋 蔵」だ。

 

ドラマ「孤独のグルメ」シーズン3で取り上げられたお店といえば、分かる方には分かるだろうか。五郎さんが飛び込んだのが、上記の棚田「星峠」からもそう遠くないところにあるドライブイン「峠の茶屋 蔵」だった。そこで注文したのが、牛肉の煮込みと五目釜めし。もちろん僕も孤独のグルメ巡礼の一環として、この店を訪問し同じ料理を両方とも味わってきたのは言うまでもなかろう。もしもあなたも「孤独のグルメ」ファンであるならば、大地の芸術祭と合わせて絶対に訪れておきたい場所なのである。

 

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行くべき4ヶ所目:最高に気持ち良い薬湯・松之山温泉

新潟といえば、そりゃもう温泉でしょう!県内にはそれこそ数多の温泉があるのだが、せっかく「大地の芸術祭」に来たのなら、ぜひとも訪れて欲しいのがこの松之山温泉なのである。日本三大薬湯の一つで、その他の2つは群馬県の草津温泉に兵庫県の有馬温泉。これら二つの超有名温泉地と比べて知名度で圧倒的に劣る松之山だが、その温泉の品質はものすごく素晴らしい。

 

例えば「ひなの宿ちとせ」。こちらは伝統的な日本旅館だが、リニューアルオープンして間もないということで、館内がとても綺麗。そして何よりも日帰り温泉もできるということで、ぜひ立ち寄りをおすすめしたいスポットなのである。薬湯と言われるだけあって、松之山の湯の温度は高い。それは、湯浴みを終えたあとの体のぽかぽかが止まらないほどなのである。松之山に宿泊するのもおすすめだが、そうでなかったとしても、芸術祭の合間に、歩き疲れた体を癒やす意味でも、ぜひこの薬湯を満喫してきて欲しいところだ。

 

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行くべき5ヶ所目:越後湯沢駅構内の日本酒天国「ぽんしゅ館」

新潟といえば、もちろん温泉もそうなのだが、やっぱり忘れちゃいけないのが日本酒でしょう。県内約100の蔵元があるのは全国一。それが一堂に介しているのが、新幹線・越後湯沢駅構内にあるこちらの「ぽんしゅ館」なのである。大地の芸術祭に、上越新幹線で来る人の多くは、この越後湯沢駅で乗降することだろう。であるならば、ぜひとも時間をつくってこちらを訪れてみてはどうでしょうか?

 

この「ぽんしゅ館」ではなんと、県内の蔵元すべてのお酒を試飲することができちゃうんです!たった500円で5杯まで試せるというこのお得感、日本酒好きならはずせませんね。多種多様なお酒が並んでいるので、ぜひいろいろと試飲しながら、自分好みの一本を見つけてもらいたい。そして次回は是非、毎年3月に開催される一大イベント「酒の陣」にも行ってみてはどうだろうか。

 

僕自身は昨年初めてこの日本酒イベントに参加してきたのだが、「日本酒の一大イベント「にいがた酒の陣」に行ってきた」にも書いた通り、そりゃあもうえらい盛り上がりようだった。というわけで、淡麗辛口の上品な新潟の日本酒を試すなら、この「ぽんしゅ館」が一番のおすすめですよ。もしもどれを選ぶか迷ったならば、新潟県産おすすめの日本酒でオススメしたこの辺りから飲んでみてはいかが?

 

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というように、「大地の芸術祭」はもちろんこと、越後妻有とその周辺にはすてきな魅力に溢れた場所がとても多いので、それらも忘れずに楽しんできて下さい。芸術祭は9/13(日)まで。Enjoy!

 

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