「もっとヘンな論文」がついに登場|アカデミック・エンターテインメントの最高峰
NHK Eテレの番組「ろんぶ~ん」をご存知だろうか?ロンブー淳が司会を務める、アカデミック・エンターテインメントなのだが、これが実に面白かったのである。もし再放送のタイミングがあればぜひともご覧頂きたい。
小難しくてとっつきにくいイメージがある「論文」。しかし丁寧に読み解いていくとそこには知的好奇心を刺激してくれる「知の結晶」が詰まっている。この番組は、研究者が人生をかけて生み出した「論文」を“ロンブー”田村淳とともに楽しむ知的エンターテインメントショーである。今回のテーマは“ハゲ”。プレゼンターのトレンディエンジェルが歴史・医学・社会学…など“ハゲ”にまつわる古今東西の論文を紹介する。
このように真面目に書かれた学術論文を、おもしろおかしく視聴者に紹介するこの番組を見て思い出したのが、サンキュータツオ著『ヘンな論文』である。しかし、そもそも、この著者サンキュータツオ氏をご存知だろうか?彼は、以前に「サンキュータツオの名著『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』が待望の文庫化」でも紹介した、当代きってのアカデミック芸人にして、名作中の名作『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』の著者なのである。もしもまだ読んでいないのなら、今すぐにヨメ、というくらいの傑作なのだ。
そんな学者肌の芸人サンキュータツオ氏が続けて放った話題作がこの『ヘンな論文』だったのである。学問を愛するがゆえに珍論文にも同様の熱量で接するサンキュータツオ。「『ヘンな論文』を書き続ける動機と勇気」でも紹介した一冊だが、確かにこれは今まで誰も歩いたことのない道を切り拓く、勇気あるそしてときに常軌を逸した本格派研究者たちの情熱の結晶なのである。
珍論文ハンターのサンキュータツオが、人生の貴重な時間の多くを一見無駄な研究に費やしている研究者たちの大まじめな珍論文を、芸人の嗅覚で突っ込みながら解説する、知的エンターテインメント本!おっぱいの揺れ、不倫男の頭の中、古今東西の湯たんぽ、猫カフェの効果…なかなか見る機会のない研究論文。さがしてみれば仰天のタイトルがざくざく…。こんなことに人生の貴重な時間を割いている人がいるなんて!
しかしながら、そんな珍論文など決して数多く存在しない、だからこそ希少価値があるのだ、そう思っていたのに、なんと、なんと、このたび『ヘンな論文2』が出版されちゃいました!世界は思っていた以上に、ずっと広いんだな・・・。
研究の面白さをたっぷりと味わう!珍論文ハンターのサンキュータツオが、人生の貴重な時間の多くを一見無駄な研究に費やしている研究者たちの大まじめな珍論文を、芸人の嗅覚で突っ込みながら解説する、知的エンターテインメント本。
というわけで、この世界にまだ触れたこともない人がいるならば、ぜひこの機会に怖いもの見たさでも構わないから、こうした研究者の姿を垣間見てはどうだろうか?そんな風になりたいとは思わないかもしれないが、こんな生き方もあるのかと衝撃を受けるのではないだろうか。おすすめです、ぜひどうぞ。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
アメリカ連邦最高裁、49年前の判断を覆す|今こそ憲法で読むアメリカ史
すでに日本においてもニュースや新聞を始めとする各種メディアで報道・解説されている通り、アメリカ連邦最
-
-
世界を変えた密約と帳簿・会計の世界史
Amazon Kindle の「文春の翻訳本・政治経済編」キャンペーンでは、おすすめ書籍が期間限定で
-
-
英語論文の書き方:よりモダンでクリアな英作文テキスト3選
「英文ライティングここから始める」で書いたように、そこで紹介したテキスト4冊は英文ライティングのため
-
-
聖の青春|天才・羽生善治を追いつめた伝説の怪童・村山聖
日本の将棋史上最高のプロ棋士・羽生善治の名前を知らぬ人は少ないだろう。だが、「東の羽生、西の村山」と
-
-
日本語の誤用をとことんを考える『明鏡国語辞典』が10年ぶりに大刷新|新しい「問題な日本語」
今年も国語辞典の話題が多かったが、最新のトピックとして最も注目すべきなのは、やはりこちら、『明鏡国語
-
-
林業男子と林業女子:Wood Jobs!
「少年よ、大木を抱け。WOOD JOB!」で書いたように、『舟を編む』の著者三浦しをんによる『神去な
-
-
「われ敗れたり」:完敗だったが名勝負もあった第3回将棋・電王戦
今夜11時放送のTBS「情熱大陸」は、将棋・電王戦。 将棋のプロ棋士とコンピューター将棋ソフトが
-
-
科研費に応募する3|研究種目をどう選ぶか?
それでは今年の科研費に応募するときにまず考えるのが、実際に研究計画を提出する「研究種目」である。この
-
-
数学者たちの異常な日常|世にも美しき最後の秘境
以前に「あたなの知らない、世にも美しき数学者たちの日常」でも紹介した、二宮敦人著『世にも美しき数学者
-
-
日本将棋マネーリーグ|今年も賞金ランク首位は豊島将之竜王、藤井二冠は?
先日は毎年恒例の「欧州サッカー・マネーリーグ」が発表され、今年もスペインのFCバルセロナが収入ランキ