卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り
公開日:
:
オススメ書籍
今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春はいつだって新しい旅立ちのときである。そんな新たな門出に相応しいプレゼントもまた、古くから国語辞典が人気だった。
新中学生となりバスや電車が大人料金になったときに感じる大人への仲間入り、その気分は恐らくは本格的な国語辞典を入学祝いとしてもらったときに感じたものと同じ類のものだ。もちろん人生のなかではその後も、大学入学や新社会人として巣立った時など、多くの出発を見送り、新しい旅の手元にいたのもまた、国語辞典ではないだろうか。
そうした新しい気持ちを胸に、ぜひ自分だけの国語辞典を選んでみて欲しい。とくに、辞書というと一見どれも同じように感じるかも知れないが、その編集・編纂方針には驚くほどの違いがあり、それが各辞書の個性を際立たせているのだ。詳しくは以前にも、「国語辞典を選ぶならこの4冊がおすすめ:現代語に強い三省堂・豊かな語釈の新明解・安定と安心の岩波・誤用を正す明鏡」のなかで丁寧に解説したので、ぜひ参考にしてみて欲しい。
そして、上記4冊の国語辞典はどれもおすすめだし、出来るならば全部揃えて欲しいのだが、まずは1冊をお探しの方には、ぜひとも三省堂「新明解国語辞典」を推薦したいと思う。なぜなら、新明解は今年その前身である明解から数えて誕生80周年を迎え、公式サイトで様々な歴史が披露されている他、各種キャンペーンも豊富なのだから、今年のイチオシはこの新明解で間違いない。
『明解国語辞典』とは?
(新明解国語辞典公式サイト)
1943(昭和18)年、「簡明適切」で現代的な辞書をめざして『明解国語辞典』は誕生しました。歴史的仮名遣いによる見出し、文語による語釈文という旧来の国語辞書の体裁を脱し、見出しは引きやすい表音式仮名遣い、語釈文は口語体、そして外来語を含む新語の積極的な採録に加え、アクセントも備えて、第一に引きやすく、第二に分かりやすく、第三に現代的なこと、という三つの根本方針に基づく新しい国語辞典が世に出ることとなりました。
ちなみに、以下の紹介にもあるように、 見坊豪紀と山田忠雄のコンビニよって生まれたこの明解国語辞典ではあるものの、この二人はその後仲たがいをし、見坊が三省堂国語辞典を、そして山田が三省堂新明解国語辞典をそれぞれ世に送り出すというのは、あまりにもドラマティックな物語と言えよう。その結末はぜひ傑作ノンフィクション『 辞書になった男 ケンボー先生と山田先生 』にて、
ご自身の目で 確認して欲しい。
誕生
遡ること4年前の1939(昭和14)年、三省堂から語釈を口語文にする国語辞典の編集を依頼された金田一京助は、教え子でもあった見坊豪紀にその作業を託します。 見坊はさらに具体的な構想を提案し、その方針のもと、東京帝国大学同窓の山田忠雄に協力を、金田一春彦にアクセントの作業を依頼し、編集執筆作業に没頭、1年あまりで原稿を完成させ、校正期間を経て完成にこぎつけます。その序文には「簡明適切な国語辞典の必要はいつの代にも感ぜられることながら、今日ほど切実なことは曽てない」とあります。 戦時下で物資が不足する中、『明解国語辞典』はその新しさ、使いやすさから、「簡明適切」な辞書を求める人びとに、大好評をもって受け入れられました。
(新明解国語辞典公式サイト)
Amazon Campaign
関連記事
-
プロフェッショナルのコンテナ物語
昨晩ひさしぶりにNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀 』を見た。「港のエース、ガンマンの絆」と題
-
日本語の誤用をとことんを考える『明鏡国語辞典』が10年ぶりに大刷新|新しい「問題な日本語」
今年も国語辞典の話題が多かったが、最新のトピックとして最も注目すべきなのは、やはりこちら、『明鏡国語
-
連邦最高裁判事9人が形づくるアメリカの歴史
下の写真がアメリカ連邦最高裁判所だ。各種ニュース等での報道の通り、今回はこの最高裁が、これまで人工妊
-
「もっとヘンな論文」がついに登場|アカデミック・エンターテインメントの最高峰
NHK Eテレの番組「ろんぶ~ん」をご存知だろうか?ロンブー淳が司会を務める、アカデミック・エンター
-
【超おすすめ】サンキュータツオの名著『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』がキャンペーン中
あのサンキュータツオをご存知だろうか?早稲田大学大学院文学研究科の博士課程に学び、一橋大学で非常勤講
-
華麗な王者モハメド・アリと、そのアリになれなかった男|沢木耕太郎の名著『敗れざる者たち』と『一瞬の夏』を再読する
2016年6月4日、プロボクシングの元世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリが74歳の人生に幕を閉
-
NHK「最後の講義」物理学者・村山斉を見逃すな
先日のNHK「最後の講義」みうらじゅんが圧倒的に面白かったのは既にお伝えの通りだが、2/20(水)放
-
囲碁マネーリーグ|井山裕太五冠が11年連続の賞金王そして1億円越え
囲碁棋士の2021年賞金ランキングが発表され、棋聖、名人、本因坊を防衛し王座、碁聖を奪取した井山裕太
-
綻びゆくアメリカと繁栄から取り残された白人たち
2014年に翻訳出版された『綻びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語』に今また注目が集まって
-
チェス界のモーツァルト、天才ボビー・フィッシャーの生涯が待望の文庫化
伝説的なチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの生涯を記録した傑作ノンフィクション『完全なるチェス』