*

WOWOWドラマだけが圧倒的に面白い理由|視聴者こそがスポンサー

公開日: : 最終更新日:2018/09/04 オススメ, オススメ番組・映画・ドラマ

現代ビジネスの記事「真田丸、沈まぬ太陽…NHKとWOWOWだけが圧倒的に面白い理由」を大変興味深く読んだ。そして思った、ようやく本当のところを語る人が出てきたかと。

「大人が鑑賞できるドラマがない」という理由で、地上波のドラマはNHKしか見ないという人が多くなった。ドラマ好きはWOWOWのドラマをチェックしている。なぜそうなるか、理由がある。

 

そうなんです、いまや圧倒的なクオリティの大人向けドラマは、WOWOWの中にしか存在しないのである。地上波民放ドラマがことごとく壊滅するような惨状の中、なぜWOWOWだけがそんなこと出来るのかと疑問に思うだろうか?しかし、これはもう当たり前としか言いようのない構造なのだが、CM収入を当てにするためスポンサーの顔色を常に伺っている民放と、視聴者が直接支払う契約料に支えられているWOWOW、どちらが視聴者が見たいと思っているドラマを作れますか?ということなのである。

民放の連ドラは、3ヵ月クールで全10話の枠に固執する。これもスポンサーのためだ。「企業側が春夏秋冬で宣伝戦略を考えているので、テレビ局側の都合で変えるわけにはいかないんです」(前出・スタッフ)

 

CMが入るドラマの場合、それを計算に入れて作るので、中身がバラエティ番組のように分断されている。ドラマ好きの視聴者は地上波から離れて、NHKとWOWOWに流れています

 

 

wowow-drama-1511

 

 

翻ってWOWOWは「挑戦するドラマ。」と銘打ち、実に見ごたえのある作品を相次いで制作しており、演出家でTBSテレビ相談役の鴨下信一氏も手放しで絶賛する。

「いまよく観られているドラマは、ほとんどが犯罪モノ。TBSの『半沢直樹』も経済事犯がテーマです。その点、WOWOWはスポンサーの顔色を見なくちゃいけない民放よりも犯罪ドラマを作りやすい。この3年、WOWOWのドラマはとてもいい。たとえば、『震える牛』(’13年)は本当に大胆。食肉の偽装問題を扱うなんて、地上波ではできません。全5回というのもちょうどいい。犯罪モノはそう長く引っ張れる題材じゃありません。WOWOWは役者もいい。柴田恭兵や三上博史などが再評価される場にもなった。犯罪者も、捜査側も、ギリギリの人間性が出る犯罪モノは、実力のある役者が腕を見せるんです。WOWOWには役者が能力を発揮できる作品が揃っています」

 

まさにその通りで、これは僕自身も以前に「WOWOW『連続ドラマW』これまでのおすすめ作品:このドラマがすごい」で解説した通り、WOWOWドラマのスゴさの秘密は、第一になんといってもドラマの題材。死刑判決、地熱発電、臓器移植、癌特効薬、遺伝子組換食物、学術研究捏造等々、極めて現代的なテーマをずらりと揃え、大人のための本格的社会派ドラマを確立させたことだ。第二のスゴさが、スピーディでスリリングなストーリー展開。全5話で完結する構成は「起・承・転・転・結」と一切の無駄がない。もちろんWOWOWだからCMも挿入されない。これに慣れると中だるみのまま10週も続く民放ドラマにはもう耐えられなくなるだろう。そして第三に、実力派俳優を揃えたキャスティングの妙。視るものを唸らせるほどの迫力ある芝居に毎回くぎ付けになる。

 

というように、見れば分かる、見終えれば必ず唸る、それくらいの圧倒的クオリティのドラマはもうWOWOWでしか制作できないのである。とくにそれが顕著なのが企業不祥事ものだ。先に紹介した『震える牛』では食肉偽装問題を、傑作『空飛ぶタイヤ』では大手自動車メーカーのリコール隠しを、そして今年WOWOWが全力で企画制作したのが、あの『沈まぬ太陽』なのである。日航機墜落事故をテーマとした本作は、そのJALが民放の大スポンサーであるために「絶対に地上波では制作できない」そういう作品なのである。だからこそ、腐り切った会社、周辺業者や政治家との癒着、そして組織的犯罪を徹底的に描き切ることができ、そこに(チープな民放ドラマでは実現できない)迫力あるリアリティが宿るのである。

 

wowow-shizumanu

 

 

通常5回連続で完結する作品が多い中、今回の『沈まぬ太陽』に限っては全20話というのも、それだけWOWOWが力を入れている証拠である。「新規加入者に何が目的で入ったかと聞く調査では、通常のドラマの20倍くらいの回答数で『沈まぬ太陽』を見るためだと答えていただいています」という結果が出ているように、視聴者の期待を集めた本作も、いよいよ次回で最終回となった。原作を読んだ人にとっても、上川隆也と渡部篤郎の熱演には思わず惹き込まれ、目頭を熱くする場面も多く、期待を越えるほど重厚なドラマとなっている。

 

これまでのストーリーを見逃してしまった人はぜひ今からでもWOWOWオンラインで視聴してみて欲しい。なにしろこの大作『沈まぬ太陽』から前出の『震える牛』に『空飛ぶタイヤ』、そしてそれ以外の数多の傑作ドラマがすべて、いつでも視聴可能なのだから。今、大人のための本格的社会派ドラマ WOWOW「連続ドラマW」シリーズがものすごく面白いんです。

 



 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

確定申告の強い味方|クラウド会計が圧倒的に超便利

さて今年も確定申告の時期がやってきた。大学教員を含めサラリーマンであれば、この申告をしなくて済むこと

記事を読む

英国一家、最後に日本を食べる&お正月スペシャル

コアな人気を博していたNHK深夜アニメ「英国一家、日本を食べる」。ベストセラーとなった原作も素晴らし

記事を読む

NHK「プロフェッショナル」東北魂サンドウィッチマンスペシャル

先日は「ついに完結エヴァンゲリオン|ありがとうを君に」で書いたように、監督庵野秀明に4年間も密着した

記事を読む

今年もアメリカの大学卒業シーズンがやってきた|おすすめ歴代スピーチ10選

さて、今年もアメリカの大学では卒業シーズンとなった。コロナ禍で大きく様変わりしてしまったとはいえ、卒

記事を読む

電子書籍市場の急拡大:2018年には米国と英国で紙書籍を追い抜くか

今年は、電子書籍がより一層勢いを増して拡大した一年だったと振り返ることが出来るだろう。2013年の始

記事を読む

新潟県内最大級のイベント「新潟淡麗にいがた酒の陣」本日開幕

北陸新幹線の開業に沸く本日3月14日。新潟で今年もいよいよ始まりましたよ、酒の陣!これは10万人以上

記事を読む

WOWOW「連続ドラマW」傑作揃いの医療ドラマ|移植手術をめぐるサスペンスとヒューマン

新作医療サスペンス『死の臓器』 先日「WOWOW「連続ドラマW」今月の新作・医療サスペンス『死の臓

記事を読む

3年に一度のアートの祭典|越後妻有アートトリエンナーレ「大地の芸術祭」は今週末まで

「今年の夏は「大地の芸術祭」越後妻有アートトリエンナーレへようこそ!」でも紹介したように、今年は三年

記事を読む

kuzushi shougi

初タイトル目指す藤井聡太七段の連勝と、将棋棋士の獲得賞金・対局料

先日も書いたけど、いま将棋がめちゃくちゃ面白いね。コロナ禍で約2ヵ月間の対局中止が終わり、6月からは

記事を読む

食肉偽装とWOWOW連続ドラマW『震える牛』のリアル

中国の工場で発生した期限切れ鶏肉の事件だが、これは別に、同工場もしくは同国の衛生管理技術の水準が低か

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑