米国トランプ次期大統領が決まった今こそ読みたい現代アメリカ社会批評
アメリカ大統領選挙の結果、ヒラリー・クリントンが破れ、ドナルド・トランプが次期大統領に決まった、というショックが世界を駆け抜けてから早数日。それぞれの国がこの新大統領との、そしてこの大国とのこれからの付き合い方を考えねばならない時期であり、だからこそ僕らもまた、今この国で何が起こっているのかをよりよく知る必要があるのだろうか。
米国社会を論じた書籍などいくらでも存在する中にあって、僕が圧倒的にお勧めするのが、町山智浩の珠玉のエッセイである。「町山智浩最新作『言霊USA2016』は、シリーズ最高の現代アメリカ社会批評だ」でも詳しく書いたように、こんなにも面白おかしく、そして舌鋒鋭く米国社会を批評できる人など、現代においてこの町山だけといってよいだろう。この機会にぜひともそんな町山ワールドを味わって頂きたい。それでは以下、順番に紹介していこう。
まずは人気エッセイが書籍化された第一弾『教科書に載ってないUSA語録』だ。町山ワールドを覗いてみるならこの一冊からぜひどうぞ。
「週刊文春」人気コラムを1冊に。新聞、テレビ、ウェブでは分からない超大国アメリカの素顔とは。現地在住の著者が、「日本人の知らないアメリカ語」ともいうべき名言、失言、流行語から読み解きます。イーストウッド監督の「今、アメリカはハーフタイムなんだ」との言葉に、自信を失ったアメリカ国民はみな涙を流したとか。連載でおなじみの澤井健さんによるギャグセンスあふれるイラストも収録。まさに町山ワールド全開ともいうべき、1級のアメリカ批評本です。
続いては人気連載の書籍化第二弾『アメリカ人もキラキラ★ネームがお好き USA語録2』だ(単行本『知ってても偉くないUSA語録』が文庫化にあたって改題)。前回大統領選挙を戦ったロムニーがなぜ負けたのか、その裏話にも迫る。
週刊文春大人気連載シリーズ第2弾!M・ロムニーは、たった二つの失言で、20億ドルを注ぎ込んだ大統領選をしくじった。言葉を制する者はアメリカを制す。言葉を知ればアメリカがわかる。マンスプレイン、ドーマ、メサイア……日々、かの国で生まれる新語・名言・迷言を現地から毎週レポート。解説 モーリー・ロバートソン。
続けて第三弾の『マリファナも銃もバカもOKの国 言霊USA2015』でも町山節は絶好調だ。
辛口批評と痛快ギャグで日本人の知らない最新アメリカ事情をメッタ斬り。週刊文春の人気連載が一冊に。これであなたも米国通!?アメリカ人も困る驚くべき実態を緊急レポート!澤井健の超美麗&爆笑イラストも完全収録。週刊文春人気シリーズの第三弾が待望の単行本化!!
続けて紹介したいのが『アメリカは今日も「炎上」中』だ。これは上記の三作品を再編集したものであり、だからこそ町山エッセイが初めての人にはうってつけの一冊となっているのだ。
電子オリジナル! 週刊文春で好評連載中の「言霊USA」をまとめた「教科書に載ってないUSA語録」「知ってても偉くないUSA語録」「マリファナも銃もバカもOKの国」の三冊を「炎上」「ネット犯罪」「SNS」などのジャンルごとに、再編集した特別版。Catfish(ネットで正体を隠して別人になりすましている人)、Troll(インターネット上の“釣り”)、Guccifer(グッチファー。謎のハッカー)など、広くて深いアメリカのネット世界を辛口批評と痛烈ギャグでメッタ切り! 抱腹絶倒のコラム33本を収録。
シリーズ第四弾『トランプがローリングストーンズでやってきた 言霊USA2016』ではいよいよトランプが登場。
世界のバカはアメリカをめざす!過激で“使えない”新語・失言がてんこ盛り!サブカルから政治まで、マッドなアメリカがほとばしる、週刊文春の人気連載「言霊USA」単行本化、いよいよ第四弾に突入!アメリカ在住映画評論家の町山智浩さんが、いまアメリカで起きているおバカな出来事、日本では考えられないハチャメチャなニュースを、現地で流行ったスラング、失言、名言をもとに面白おかしく、かつ歴史的な背景も絡めながら解説します。今回は大統領選やフランスのテロ、スターウォーズの新作映画(『フォースの覚醒』)や移民排斥問題など、ホットな話題が満載。また、ショーン・ペンのメキシコ麻薬王訪問の舞台裏や、知る人ぞ知るテキサスの「おっぱいレストラン」、ハッパでキメながら大統領選に立候補宣言したカニエ・ウェストなど、サブカルから政治まで、町山さんの幅広さと持ち味、ユーモアが存分に詰まった、ファン必読の一冊となっています。シリーズ本第四弾にして、町山さんの鋭い毒舌、切れ味抜群のギャグが、よりいっそう過激に炸裂しています!澤井健氏の爆笑イラストもあわせて、ぜひお見逃しなく!
もう一冊『「言霊USA」特別LIVE アメリカ大統領選2016』は、普段のエッセイとは別に実施したトークライブを収録したもの。ここでのテーマももちろん今年の大統領選挙である。
2016年アメリカ大統領選を読み解く!2016年5月24日に渋谷ユーロライブで行われたトークショーの内容を基に構成・加筆した、電子書籍オリジナル。アメリカ在住の町山氏が、アメリカ現代政治史と大統領選のポイントを解説。映画ネタ、ゴシップネタも満載で、楽しみながらアメリカの今がわかる!
【主な内容】
・元々人種差別主義者ではなかったトランプ。では、一体なぜ、数々の暴言を繰り返すようになったのか?
・今回の大統領選の経緯を分析すると、二大政党制の崩壊のきざし、白人人口の減少、宗教票と共和党の結びつきの変化といった、急速に変わりつつあるアメリカの姿が浮かび上がる。
・結党時、支持層は正反対だった!? 民主党と共和党のねじくれた歴史に迫る。
・トランプだけではない! ポピュリズムによって名を馳せた、歴代のトンデモ政治家をご紹介。
町山の最新作『さらば白人国家アメリカ』も引き続き大統領選挙に焦点を当てた旬の一作だ。アメリカの大統領選挙史上もっとも嫌われた二人の戦い、最後まで盛り上がることなく終わった戦い、この後の超大国はどこを目指すのか?
「二大政党の将来がどうなるかはわからない。ただ言えるのは、アメリカが白い肌に青い目で英語を話す人々の国だった時代は、確実に終わるということだ」――トランプ対ヒラリー、史上最悪の大統領選が暴いた大国の黄昏。在米の人気コラムニスト町山智浩氏が、党大会、演説集会をはじめ各地の「現場」で体感したサイレント・マジョリティの叫び!
最後にもう一冊紹介したいのが『トランプ』である。トランプの経歴に迫り、世界超大国のトップにこの男が就くことのリスクを改めてさらした作品であり、アメリカでも物議を醸した一冊だ。
◆初めて明かされる国盗り物語の全貌◆
これまで数々のスクープで世界中に衝撃を与えつづけてきたワシントン・ポスト紙が、3か月にわたって20人以上の記者を投入し、これまで1度も選挙の洗礼を受けていないトランプの全人生を徹底取材!発売直後、英ガーディアン紙をはじめ、欧米の各紙が一斉に取り上げる一方、
トランプ氏本人は本書について「Don’t buy, boring!(買うな、退屈な本だ!)」と、自身のTwitterで不買運動を呼びかけた。・マンション群に黒人を入居させなかったとして「人種差別罪」で訴追されている。
・マライア・キャリーやダイアナ妃と「やりたい」「自分ならやれた」とラジオで公言。
・3度目の結婚の際にヒラリー・クリントンを招待、ヒラリーは最前列で出席。
・1999年から2012年まで7回、党籍を変える。民主党、共和党、改革党。
・トランプは100億ドル以上の純資産を持つと主張するが、実際には10分の1以下。――など、数々の知られざる事実が明らかになる!
いまほどこの超大国アメリカの新たなリーダーとそのリーダーシップに注目(そして不安)が集まったことは歴史的にもなかったであろう。同時代を生きるものとして、その発言のひとことひとこと、一挙手一投足に注視していく必要があるのではないだろうか。
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