*

2020年全豪オープンテニス|ジョコビッチが逆転の粘り勝ちで連続優勝

公開日: : 最終更新日:2020/02/05 スポーツ, データ

実にシビレル試合だった。今年の全豪オープンテニス決勝戦である。ジョコビッチの相手は、若手実力派のドミニク・ティーム。決勝まで勝ち上がるなかで、第1シードのナダルを倒し、同じ若手ライバルのズベレフを退け、初めて辿り着いた決勝の舞台だ。そんな勢いのあるティームに対し、まずは第1セットを取ったジョコビッチだったが、その後2セット連続で落とし後がない。しかし、そこからの粘りと巻き返しが物凄かったワケなのである。生放送にくぎ付けにされた人、多かったよね。そんな二人の激闘は、こちらの試合データ詳細からも伺えるので、ぜひ両者のパフォーマンスを比較してみて欲しい。

 

 

 

そんな激戦を制したジョコビッチは、2年連続の全豪チャンピオンに輝くとともに、世界ランキングも1位に浮上し、文句なしのナンバーワン選手と返り咲いた。グランドスラムの獲得総数も17となり、ナダルの19、そして最多のフェデラー20も、もはや時間の問題と思えるほどの射程圏内だ。

 

しかし、それにしても、このBIG3と呼ばれる3選手のなんと強いことよ。以下の表で過去10年間のグランドスラム歴代優勝を数えても、ジョコビッチが15、ナダルが13、フェデラーが5、そしてマレー3にワウリンカ3、という配分だ。次世代とか若手とか呼ばれる選手の付け入るスキが全くないとは恐れ入る。

 

 

そして、2020年となり最初のグランドスラムの全豪を制したのも、このジョコビッチだったわけだ。彼の活躍はまだまだ続きそうだし、どんなに劣勢でも決してあきらめないあの粘りと食らいつきがある限り、そう簡単に若手の台頭を許すことはなさそうだ。であるならばなおさら、この先もまた、とくにナダルとの頂上決戦と名勝負が期待できそうで、今からワクワクするじゃないか。今年もテニスが面白い。

 

ちなみに、テニスの世界も他のスポーツと同様に、現代においては当然のごとくデータ分析が欠かせない。そんな最先端のトレンドは以前に「スポーツの統計学|データ・サイエンティストたちのゲーム分析」で紹介した通りであり、大変に興味深い取り組みが進んでいる。そのなかにあってテニスは、まだまだデータ分析が遅れているのが現状であり、関連書も以下の “Analyzing Wimbledon” くらいしか見当たらない。だがそれは、逆に言えばこれからのポテンシャルが極めて大きいということでもあり、各選手のこれからのデータ活用が今後のグランドスラムの勝敗も大きく左右するのかも知れない。ぜひそんな観点からもテニスを見て頂きたい。

 

 

The game of tennis raises many questions that are of interest to a statistician. Is it true that beginning to serve in a set gives an advantage? Are new balls an advantage? Is the seventh game in a set particularly important? Are top players more stable than other players? Do real champions win the big points? These and many other questions are formulated as “hypotheses” and tested statistically.

Analyzing Wimbledon also discusses how the outcome of a match can be predicted (even while the match is in progress), which points are important and which are not, how to choose an optimal service strategy, and whether “winning mood” actually exists in tennis. Aimed at readers with some knowledge of mathematics and statistics, the book uses tennis (Wimbledon in particular) as a vehicle to illustrate the power and beauty of statistical reasoning.

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

2023年第99回箱根駅伝・記憶に残るが記録に残らない激走|関東学連・新田颯の名勝負

今年の箱根駅伝は、駒沢大学の三冠達成にくわえ、古豪・中央大学の復活、そして東京国際大学ヴィンセントの

記事を読む

海をわたって不可能を可能に|大谷翔平メジャーリーグMVP

大谷翔平、満場一致で最高栄誉のMVPを獲得。投打の二刀流で大活躍のシーズンを見せた大谷、ほんとに漫画

記事を読む

The 2015 Daily chart Advent calendar by The Economist

Economist 誌が毎年行っている恒例の "Daily chart Advent calenda

記事を読む

錦織圭の死闘|全豪オープンテニスが面白い

今年の全豪オープンテニスがめちゃくちゃ盛り上がってますね。観ましたか、錦織の4回戦、5時間を超える壮

記事を読む

Amazon Student 大学別会員数ランキングが引き続き興味深い

秋の新学期開始に合わせた、Amazon Student のキャンペーンが、かなり手厚くて羨ましい(笑

記事を読む

ワールドカップの閉幕、そしてデータドリブン・サッカーの開幕

ドイツ優勝で幕を閉じたサッカー・ワールドカップ。7-1という大差でブラジルを撃破した準決勝の試合に象

記事を読む

欧州サッカー・チャンピオンズリーグはここからが面白い|WOWOWの超おすすめ目玉コンテンツ

コロナ禍にあっても少しずつこれまで同様のスポーツ大会が開催されるようになってきた。先月のテニス全豪オ

記事を読む

ゲーマーとお金|さらなる有望産業 eスポーツビジネス

ご存知のとおり今回の東京五輪からは、スケートボードや、サーフィン、そしてスポーツクライミングといった

記事を読む

メジャーリーグ新時代|アストロズ優勝が示す鮮やか過ぎるデータ革命

先日 NHK-BS で放送された「アストロズ革命~MLBデータ新時代~」がめちゃくちゃ面白かったのだ

記事を読む

football studium

フットボールの経営学:欧州サッカー・マネーリーグ2014

以前「フットボール・マネーリーグ2013」で紹介した、"Deloitte Football Mone

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑