*

美貌格差:ビジンとイケメンと生まれつき不平等の経済学

公開日: : 最終更新日:2018/09/19 オススメ書籍, 経済学・統計学

労働経済学者 Daniel Hamermesh による一般向け書籍 “Beauty Pays: Why Attractive People Are More Successful” がようやく翻訳出版されたようだ。翻訳はお馴染みの望月衛、タイトルは『美貌格差: 生まれつき不平等の経済学』。

美形のお得度を真面目に測った史上初の本

見た目で生涯年収の差は2700万円?!
ブサイクな人は保護されるべき?
人の美しさをどう測る?
美しさは収入にどう影響するか?
美形効果が女性の間では小さいのはなぜか?
美形は利益にどう影響するか?
CEOがイケてるほうが業績はいい?
美しい子どもの市場なんてありえるんだろうか?
借金するにも美形はお得?
ブサイクは救えるか?
ブサイクを守らないなんて筋が通るか?
美形だったら人生バラ色?
未来の美形はどうなるか?
ブサイクなあなたに何ができる?

意外にも、着るものや化粧、整形手術に効果はない。
美形かどうかは、会社の業績、選挙の結果、融資の条件、寄付金集めにも影響する。
労働経済学の権威が20年かけて解明した「衝撃の真実」

 

 

本書は、「美容と整形の経済学」でも紹介した一冊であり、ビジン/イケメンだとそうでない人と比べてどれだけお得な人生を歩めるのかを分析したもの。上記にあるような本書の章立てを読むと身も蓋もなく聞こえるかもしれないが、著者の一連の研究は ウェブサイト(Beauty pays research papers)でも公開されているように、経済学の一流学術誌に掲載されたものがベースとなっている。こういうテーマにも関心がある人にとっては、非常におもしろく読める一冊だと言えるだろう。

 

credit: 毅 霍 via FindCC

credit: 毅 霍 via FindCC

 

 

またこれらのテーマに関して他に日本語で読める類書としては、以下の2冊が挙げられる。それぞれ社会学・法学研究者の手によるものであり、上記の経済学研究と合わせ、「美」というものが実は幅広く真面目に研究されていることが分かる。

 

 

美の基準はその時代時代で変われども、美に対するワレワレの関心と執心は、整形手術というテクノロジーを手にした現在、ますます強くなっているのかも知れない。以下は以前の Economist 誌の記事で紹介されていた世界の整形事情。2011年時点で韓国・ギリシャ・イタリアがトップ3ヶ国だが、日本も年々ランクアップし現在第7位となっているのである。世界中どこでも、美しさの追求に終わりはなさそうだ。

 

20130202_woc880_1

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

進化心理学と行動ゲーム理論入門|『最後通牒ゲームの謎』がおもしろい

第64回(2021年度)日経・経済図書文化賞を受賞した、小林佳世子著『最後通牒ゲームの謎』が面白い(

記事を読む

若き研究者フィギュアスケート町田樹のスポーツ文化論

2022年の冬季北京五輪の開幕も近づいてきた。ウィンタースポーツの代表例のひとつが、フィギュアスケー

記事を読む

いま国語辞典がおもしろい|10年ぶりの大幅改訂による最新版あいつぐ

さて、「2020年、本ブログで最も売れたこの1冊」でも紹介したように、昨年の一年間でもっとも売れたの

記事を読む

できる研究者の英語プレゼン術|スライド作成からストーリー展開まで

以前に紹介した、ポール・シルヴィア著の『できる研究者の論文生産術』は素晴らしい一冊である。著者は20

記事を読む

心を打つ名言、心を挫く駄言|絶版を目指した出版「駄言辞典」がおもしろい

今年出版された「駄言辞典」をご存知ですか?こんな本、知らなくてよいのかも知れない。なぜなら、最初から

記事を読む

経済学と歴史学そして自然実験

2010年に出版されていた "Natural Experiments of History" がよう

記事を読む

【おすすめ経営書】ゼロ・トゥ・ワン:君はゼロから何を生み出せるか

話題の経営書『ゼロ・トゥ・ワン:君はゼロから何を生み出せるか』を、とても興味深く読んだ。著者はピータ

記事を読む

行動経済学者ダン・アリエリー|お金と感情と意思決定の白熱教室

NHK『お金と感情と意思決定の白熱教室』再放送決定 先日放送されたNHK『数学ミステリー白熱教室』

記事を読む

アメリカ大統領選挙まであと数日|敗者の演説で振り返るステーツマンシップ

ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの、泥仕合のまま迎えることとなりそうな米国大統領選挙。8年前

記事を読む

科学と度量衡の歴史|キログラムの定義が130年ぶりに変更

さて、先日のニュースでも大きく報道された通り、来年から「キログラム」の定義が変更されることとなった。

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑