*

人はなぜ走るのか?を問う『Born to Run~走るために生まれた』は、米国ランナーのバイブル

公開日: : 最終更新日:2017/12/01 アメリカ, オススメ書籍

米国で異例のベストセラーとなり、何度目かのランニング・ブームを引き起こした一冊『Born to Run~走るために生まれた』。翻訳されたあとは日本でも大ヒットした本書は、ランナーにとってのバイブルともいえる一冊であり、もしもまだ読んでいないのなら、現在大幅値引下げされている電子書籍でぜひどうぞ。走ることに対する考え方が大きく変わる、そんな一冊と言えるだろう。

 

ちなみに、以前にも書いたように「Kindle電子書籍は、iPhone でも iPad でも Android(スマホ/タブレット)でも読める」んです。Amazon のキンドル端末がないと読めないと思っている人はまだ多いのだが、決してそんなことはない。手元にあるスマホ/タブレットですぐに読めるのだから、価格競争力のある電子書籍を選ばない理由はもはやほとんどないと言える。(僕自身も以前は、本を読むなら絶対に紙でしょ派だったのだが、あっという間に寝返りました(笑)。それくらい電子書籍はもう様々な点で快適なんです)

 

この冒険は、たったひとつの疑問からはじまった。「どうして私の足は走ると痛むのか?」その答えを探すなかでクリストファー・マクドゥーガルは世界でもっとも偉大な長距離ランナー、タラウマラ族に行きつく。その過程でわかったこと―わたしたちがランニングについて知っていることはどれもすべてまちがいだ―メキシコの秘境を彷徨う謎の白馬、現代社会と隔絶して暮らす“走る民族”、素足で峡谷を走り抜けるベアフット・ランナー、数時間走り続けて獲物を狩る現代のランニングマン、過酷な地形を24時間走り続けるウルトラランナーたち、そして、世界が見逃した史上最高のウルトラレース…全米20万人の走りを変えた、ニューヨークタイムズ・ベストセラー。

 

medium_12154391735photo credit: nadineheidrich via photopin cc

 

この本を僕が読んだのは、今を遡ること数年前。ちょうどアメリカでフルマラソンを走ることになり、その機会に読んだものだったのだが、出走を前に本書を読み、大いにモチベートされたのを思い出す。それくらい、人間が走ることの根源的な意味を追求した傑作ノンフィクションなのである。どうやったらフルマラソンを4時間でゴールできるかという技術論はここにはない、もちろん精神論もない。そうではなく本書にあるのは、ある民族に密着し、人類の歴史を振り返りながら、なぜ我々は走るのかというより根源的な問いに対する探究なのである。

 

また、先日「愉しく美味しく走ろう!南魚沼グルメマラソンを応援してきた」でも紹介したように、本書の著者クリストファー・マクドゥーガルは、TEDトークにも登場しちゃうような米国のスーパースターなのである。以下の動画も合わせてどうぞ。

 

 

 

そんなマクドゥーガルがリスペクトして止まないのが、これまたクレイジーなランナーのスコット・ジュレクだ。彼の著書『EAT & RUN』からは文字通り、世界各地を走ることの楽しさと、その地ならではの料理と食事を愉しむ様子が伝わってきて、とてもユニークで素敵なランニング本に仕上がっている。

 

 

一方で、海外のクレイジーなランナーたちとは一線を画し、走ること走り続ける意味を淡々と綴ったのが、村上春樹の名エッセイ集『走ることについて語るときに僕の語ること』だ。村上春樹の小説が好きではない人にとっても、村上が走る意味を語った本書は非常に興味深く読めるのではないだろうか。日本人には上記2冊よりも、やっぱりこっちの方が読みやすくかつ共感しやすいものと思うが、それぞれを読み比べてみると、いずれのランナーも強烈な個性を持っており、それが各書の最大の魅力となっているのは間違いない。読めば今すぐにでも走りたくなる、そんな本たちなのだ。

 


 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

艶やかに美しく|魅惑の文房具ガラスペンの世界

ガラスペンってご存知ですか? 僕自身つい最近まで知らなかったし、ましてや使ったことはおろか、触ったこ

記事を読む

今年のノーベル経済学賞はアメリカの労働経済学者3名が共同受賞

今年のノーベル賞受賞者が発表されるなか、いよいよ経済学賞の受賞者が明らかとなった。それは、「『自然実

記事を読む

今年度から科研費の締切が早まる|公募スケジュールの前倒しに注意

現在、科学研究費助成事業(科研費)の主な種目については、前年の9月に公募を開始し、翌年4月1日付けで

記事を読む

現代アメリカ社会の象徴:メガチャーチの誕生と新たなコミュニティの創造

毎年クリスマスを迎えるたびに思い出すことがある。それは若い頃の甘酸っぱいデートの記憶、ではもちろんな

記事を読む

あなたの知らない、世にも美しき数学者たちの日常

「日本に残る最後の秘境へようこそ|東京藝術大学のアートでカオスな毎日」でおすすめした、二宮敦人の『最

記事を読む

統計学と経済学をまる裸にする

ついにあの "Naked Statistics" に、待望の翻訳が登場。そしてあの "Naked E

記事を読む

「伊藤若冲と京の美術」展を観に行ってきた:奇想の画家が発見された背景

相変わらずの伊藤若冲の人気ぶりと言えよう。先日は新潟県立万代島美術館まで「伊藤若冲と京の美術」展を観

記事を読む

言葉にできない、そんな夜。|その気持ち、言葉のプロならどう表現する?

気持ちが揺れ動いたあの瞬間。表現したいのにボキャブラリーが追いつかない!言葉のプロの脳内を通したら、

記事を読む

綻びゆくアメリカと繁栄から取り残された白人たち

2014年に翻訳出版された『綻びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語』に今また注目が集まって

記事を読む

都立浅草高校国語教師・神林先生が愛してやまない飲み屋と呑み助と大将と女将

自宅や実家での新年気分も終わり、今週末あたりから町の飲み屋に繰り出すか、という人も多いかも知れない。

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑