人はなぜ走るのか?を問う『Born to Run~走るために生まれた』は、米国ランナーのバイブル
米国で異例のベストセラーとなり、何度目かのランニング・ブームを引き起こした一冊『Born to Run~走るために生まれた』。翻訳されたあとは日本でも大ヒットした本書は、ランナーにとってのバイブルともいえる一冊であり、もしもまだ読んでいないのなら、現在大幅値引下げされている電子書籍でぜひどうぞ。走ることに対する考え方が大きく変わる、そんな一冊と言えるだろう。
ちなみに、以前にも書いたように「Kindle電子書籍は、iPhone でも iPad でも Android(スマホ/タブレット)でも読める」んです。Amazon のキンドル端末がないと読めないと思っている人はまだ多いのだが、決してそんなことはない。手元にあるスマホ/タブレットですぐに読めるのだから、価格競争力のある電子書籍を選ばない理由はもはやほとんどないと言える。(僕自身も以前は、本を読むなら絶対に紙でしょ派だったのだが、あっという間に寝返りました(笑)。それくらい電子書籍はもう様々な点で快適なんです)
この冒険は、たったひとつの疑問からはじまった。「どうして私の足は走ると痛むのか?」その答えを探すなかでクリストファー・マクドゥーガルは世界でもっとも偉大な長距離ランナー、タラウマラ族に行きつく。その過程でわかったこと―わたしたちがランニングについて知っていることはどれもすべてまちがいだ―メキシコの秘境を彷徨う謎の白馬、現代社会と隔絶して暮らす“走る民族”、素足で峡谷を走り抜けるベアフット・ランナー、数時間走り続けて獲物を狩る現代のランニングマン、過酷な地形を24時間走り続けるウルトラランナーたち、そして、世界が見逃した史上最高のウルトラレース…全米20万人の走りを変えた、ニューヨークタイムズ・ベストセラー。
photo credit: nadineheidrich via photopin cc
この本を僕が読んだのは、今を遡ること数年前。ちょうどアメリカでフルマラソンを走ることになり、その機会に読んだものだったのだが、出走を前に本書を読み、大いにモチベートされたのを思い出す。それくらい、人間が走ることの根源的な意味を追求した傑作ノンフィクションなのである。どうやったらフルマラソンを4時間でゴールできるかという技術論はここにはない、もちろん精神論もない。そうではなく本書にあるのは、ある民族に密着し、人類の歴史を振り返りながら、なぜ我々は走るのかというより根源的な問いに対する探究なのである。
また、先日「愉しく美味しく走ろう!南魚沼グルメマラソンを応援してきた」でも紹介したように、本書の著者クリストファー・マクドゥーガルは、TEDトークにも登場しちゃうような米国のスーパースターなのである。以下の動画も合わせてどうぞ。
そんなマクドゥーガルがリスペクトして止まないのが、これまたクレイジーなランナーのスコット・ジュレクだ。彼の著書『EAT & RUN』からは文字通り、世界各地を走ることの楽しさと、その地ならではの料理と食事を愉しむ様子が伝わってきて、とてもユニークで素敵なランニング本に仕上がっている。
一方で、海外のクレイジーなランナーたちとは一線を画し、走ること走り続ける意味を淡々と綴ったのが、村上春樹の名エッセイ集『走ることについて語るときに僕の語ること』だ。村上春樹の小説が好きではない人にとっても、村上が走る意味を語った本書は非常に興味深く読めるのではないだろうか。日本人には上記2冊よりも、やっぱりこっちの方が読みやすくかつ共感しやすいものと思うが、それぞれを読み比べてみると、いずれのランナーも強烈な個性を持っており、それが各書の最大の魅力となっているのは間違いない。読めば今すぐにでも走りたくなる、そんな本たちなのだ。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
ブラックホールを初めて写真撮影|いまこそ宇宙論がおもしろい
さて先日は、人類史上初めてブラックホールの撮影に成功したという記者会見が世界中で話題となった。「ブラ
-
-
現代アメリカ社会の象徴:メガチャーチの誕生と新たなコミュニティの創造
毎年クリスマスを迎えるたびに思い出すことがある。それは若い頃の甘酸っぱいデートの記憶、ではもちろんな
-
-
米ソ冷戦に翻弄された天才チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの生涯
日曜日夜にNHK-BSで放送された「天才ボビー・フィッシャーの闘い~チェス盤上の米ソ冷戦~」をとても
-
-
国語辞典を選ぶならこの4冊がおすすめ:現代語に強い三省堂・豊かな語釈の新明解・安定と安心の岩波・誤用を正す明鏡
目的と用途に合わせてベストの国語辞典を見つけよう 卒業・入学シーズンを前に、そのお祝いとして国語辞
-
-
アイデアと問題解決につづく第3弾『独学大全』ついに登場|一家に一冊、学びの百科事典として
さてさて、あの『独学大全』もう読みましたか? 人生100年時代、つねに学び続けアップデートし続けねば
-
-
マラソンランナー大迫傑という生き方|東京五輪で引退する「愚か者」
オリンピック最終日に開催され、最も注目されるともいってよい種目が、男子マラソンである。そして今年の東
-
-
綻びゆくアメリカと繁栄から取り残された白人たち
2014年に翻訳出版された『綻びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語』に今また注目が集まって
-
-
【おすすめ英語テキスト】英語を英語で理解する、上級英単語集が半額以下のセール
現在実施中の、Amazon Kindle【40%OFF以上】高額書籍フェア には、ちょっとお値段が高
-
-
世界で最も成功したスポーツビジネス:アメフトNFLとスーパーボウル
米国で最も盛り上がるスポーツイベントと言えば、アメフトのスーパーボウル。個人的にはいまだにアメフトの
-
-
年収は「住むところ」で決まる: The New Geography of Jobs
"How Professional Salaries Vary Around the Country