【おすすめ書籍】ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす恋愛ビッグデータの残酷な現実
アメリカでベストセラーとなった一冊 “Dataclysm” がようやく翻訳出版された。これは人気出会いサイト OK Cupid を立ち上げたハーバード数学科卒の起業家による一冊である。僕自身は本書が出版された当時にとても面白く読んだのを思い出すが、この本がユニークなのは、その出会い系サイトのデータを用いていくつもの興味深い行動を教えてくれるからである。
例えば、恋愛対象について「どんな相手が好きか?」という事前の自己認識と、実際にサイト内でアプローチする相手がどれだけ乖離していることか!より具体的には、相手の女性の年齢は気にしないと紳士的発言をしていたはずの男性陣が、揃いも揃って若い女の子にばかり声をかけているとかね(笑)。
さらには、人種に対してどれだけ偏った行動をしているのかをデータを用いて丸裸にする。アメリカ社会が抱えるタブーを、数字を使ってこれでもかと抉り出すという点で、社会的にもインパクトの大きな内容である。こうしたデータ分析の数々は、OK Cupid のスピンオフサイト OK Trends でも報告されてきたものなので、興味がある人はこちらの原サイトも合わせて読んでみてはどうだろうか。いずれにしろ、データがあぶりだす人間行動の隠された実態は、こんなにも興味深いのである。
秘めた願望、恋愛、性的指向、容姿、偏見、アイデンティティ……
世界最大級の出会いサイトの男女関係データが語りだす!著者は、ハーバード大学の数学科を卒業後、4人の仲間といっしょに出会いサイトを創業。10年後、世界最大級の出会いサイトとなったサービスから生み出された膨大なデータの分析に、著者は満を持して取り組み、書かれたのが本書です。本書は男女関係のビッグデータから見えてくる、普段は目にすることができない人間の本質をあぶり出すことを目的に書かれました。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
誰も教えてくれない、科研費に採択されるコツを公開|研究費獲得に向けた戦略的視点2019年版
今年もまた、科学研究費助成事業(科研費)の締切が近づいてきた。自然科学系の研究者にとってはもちろんの
-
-
大人になったら国語辞典|ことし成人式を迎える人への最高の贈り物
コロナ感染の再拡大による、全国で成人式の中止や延期が発表されるなど、大変厳しい新年を迎えている。本来
-
-
2020年、本ブログで最も売れたこの1冊
さて、2020年、本ブログ経由でもっとも購入数が多かったのは、なんと、なんと、新明解国語辞典でした!
-
-
【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名
先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」でも紹介していたように、 宇宙
-
-
統計学と経済学をまる裸にする
ついにあの "Naked Statistics" に、待望の翻訳が登場。そしてあの "Naked E
-
-
今年のクリスマスもまたアメリカ現代社会の象徴「メガチャーチ」を思い出す
今年もいよいよクリスマス。そしてこの時期、毎年のように思い出すのがアメリカのメガチャーチである。「現
-
-
夏休みに素敵な1冊を探そう|知的好奇心旺盛な10代のための読書地図
いまどき新聞なんてほとんど読まない、そんな人が増えてきた現代である。しかしながら、書評欄を楽しみに週
-
-
アスリートとお金|有望産業としてのプロスポーツビジネス
いよいよ東京五輪が始まり、改めて注目されるのが今後のスポーツとお金の関係だ。とくにプロスポーツビジネ
-
-
スノーピーク初のグランピング施設が三浦半島にオープン
いよいよ夏が近づき、今年はまたキャンプにでも行こうかという話があちこちで聞こえそうなこの時期を狙って
-
-
ニューノーマルなバレンタイン|恋と愛とチョコレートの経済学
バレンタインな週末がやってきましたね。諸兄の皆様方に置かれましては、ニューノーマルな暮らしの中におい