効果抜群おすすめ英単語超学習法|語源から理解して飛躍的に語彙を広げる
今年5月に出版された『英単語の語源図鑑』が、すでに20万部も売れているようだ。英語関連書としてベストセラーになる本の中には優れた良書もあればそうでないものもあったりし、日本人の英語コンプレックスを刺激するだけで売れたりすることもある。
しかしこの『英単語の語源図鑑』においては、そんな心配も杞憂だ。なにしろ着眼点がよい。英単語に接頭語や接尾語があることはよく知られているし、それを手がかりとして単語を覚えることもよくある勉強法だ。それでも、本書くらい網羅的に重要単語をリストアップし、かつ印象に残りやすいイラストとともにイメージとして記憶に定着させる英単語帳は、これまでなかったのではないだろうか。
例えば、import という英単語は im と port の部分に分けられ、im は何かを「入れる」、port は「港」、だから港にものを運び込むという点で「輸入する」という意味になるのだ。ここまでは誰でも知っているもので、とくに目新しい点はない。しかし本書はこれだけにとどまらず、むしろここからさらに派生語まで展開させることに素晴らしさがあるのだ。具体的には、export や transport といった比較的想像しやすい関連語だけではなく、support や opportunity といった、「port = 港」からちょっと遠ざかったところまで手を伸ばすのだ。そしてこれらの英単語をまとめて「port」を語源とするグループとして理解し、記憶しようと提唱する。どうだろうか、個別の単語をひとつずつ覚えるのに比べて、はるかに印象深く記憶に残りやすく、すなわち効果的な学習法と言えるのではないだろうか。

こうしたファミリー単語が本書ではいくつも紹介されている。例えば、prospect を pro + spect に分解し、そこから次のような spect を語源とするファミリー単語を紹介する。いずれも重要な英単語であり、だからこそこうした学習法が効いてくるだろう。

このように、数多くある英単語だが、「接頭辞」と「語根」に分解してしまえば、それぞれの掛け算で個々の単語が構成されていることが分かる。こうした英語の根本に立ち返って学習することで、無味乾燥な英単語記憶法から、基礎にのっとりイメージで理解する英単語学習を提案しているのが、本書『英単語の語源図鑑』の実にユニークな視点なのである。

英単語学習テキストというと、どうしても受験生向けという先入観があるだろう。しかし本書は受験生だけでなく、もういちど英語を勉強し直す社会人の人たちにとっても有用だ。英語で読み書きし、そして聞き話すには、一定数の英単語を覚えることは基本中の基本である。それをもっとも効率的に、すなわち時間をかけずに、それでいてしっかりと記憶に定着させるには、こうした語源に遡った理解は極めて重要だ。本書は「図鑑」と銘打っているように、眺めているだけでも学びの多い、そして今後はこのやり方でどんどん学んでいってみようという気にさせる、きわめて優れた一冊なのである。ベストセラーとなるのも納得の本書、すべての英語学習者に強くおすすめできる内容だ。
<<大反響! たちまち20万部突破!>>
1単語につき1イラスト! ページをめくるたびに重要単語が頭に飛び込んでくる‼ 本書は、「語源」を学び、超効率的に英単語を覚える本です。「語源」とは、漢字でいう、偏(へん)・旁(つくり)・などにあたるもので、たいていの英単語は、次の3つの「語源」に分解されます。
【例】 injection(注射する)
⇒in(中に;接頭辞)+ject(投げる;語根)+ion(もの;接尾辞)
これらの「語根」「接頭辞」「接尾辞」をまとめて「語源」といいます。ject(投げる)というイメージがつかめると・・・
・projectは pro(前に)+ject(投げる)⇒映し出す
・rejectは re(後ろに)+ject(投げる)⇒拒絶する
・ejectは e(外に)+ject(投げる)⇒排出する などなど芋づる式に語彙が広がります。このように重要単語を語源に沿って分解し、語源の知識と語彙をイラストを見ながら身につけていきます。一見、遠回りに思われる学習法かもしれませんが、語源の力によって1万語レベルの語彙が身につくことは、すでに語源研究によって実証されています。
Amazon Campaign
関連記事
-
-
国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?
僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる「作者の意図は?」といった問い
-
-
日本人の氏名はなぜこんなにも多種多様にして複雑怪奇なのか?
日本人はなぜにこんなにも自分の名前や家族のルーツに興味津々なのだろうか? NHKの番組だけ取り上げて
-
-
機械 vs 人間:チェス、予測、ヒューリスティック
今回もサッカー・ワールドカップ予想をしている、毎度注目の統計家ネイト・シルバー。その彼の著書『シグナ
-
-
岡崎所属のレスターシティ奇跡の優勝と、これからのサッカー・データ革命
プレミアリーグ大番狂わせのレスターシティ優勝 ご存知のように、今年の英国プレミアリーグでは、岡崎が
-
-
人の想いこそが永遠に不滅|キャラクター論で読み解く『鬼滅の刃』
漫画発行部数は一億冊を優に超え、まさに国民的ドラマとなった『鬼滅の刃』。その原作自体は23巻をもって
-
-
人はなぜ走るのか?を問う『Born to Run~走るために生まれた』は、米国ランナーのバイブル
米国で異例のベストセラーとなり、何度目かのランニング・ブームを引き起こした一冊『Born to Ru
-
-
東京五輪と同時開催していた「数学オリンピック」でも日本代表がゴールドメダル|この漫画がスゴい
東京オリンピックが閉会した。日本代表選手が獲得したメダルの数や色に一喜一憂するのは当然かも知れないが
-
-
英文法再入門|高校の先生がこの本を読んでいれば
中公新書の『英文法再入門』は、直接的なタイトルに見られるように、英語学習者向けに文法を学ぶポイントを
-
-
ニッポンの国宝と景観を守る:外国人だけが知っている美しい日本
昨日書いた「キューバに行くなら今が最後のチャンス」の中で、この国の文化と歴史が色濃く残っているうちに
-
-
町山智浩の『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』と、ハズレのない現代米国社会批評シリーズ
「教科書に載っていないし、知ってても全く偉くもないUSA語録」でも紹介したように、町山智浩のエッセイ

