*

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

公開日: : 最終更新日:2023/02/09 オススメ書籍, オススメ漫画

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる「作者の意図は?」といった問いが。だいたい、なんでお前(問題作成者)が勝手に作者の気持ちを代弁してんねん!? という反発に始まり、設定された「正解」だって、それ作者に許可とったんかい!?という怒りも含め、もうなにからなにまで、相性が合わないんである、あの設問形式に。

長いことそう思っていたんだけど、ついに納得いく理由を見つけたよ!それがこの岸田奈美「難関中学の入試問題の原作者になったけど設問が解けない理由を考えて、編集者にたどり着いた」だ。受験界最難関の筑波大学附属駒場中学校 の入試で自分のエッセイが採用された岸田奈美が、その問いに答えたところ見事に全滅し、なぜこんなことが起きたのを探る実体験が生々しく響く。

しかし、いつものとおり軽妙洒脱に書かれた岸田奈美のこのエントリだが、ここには実に深い教訓が隠されていると思う。とくに今回の結論と言ってよい、「そうか。国語の問題で本当に問われているのは、作者の意図なんかではないのだ。編集者の視点だ。」というメッセージは、こうした国語の問いにまさに向き合う受験生たちこそが知っておくべきことであり、恐らくはほとんどが知らない事実なのではないだろうか。だって、そんなん、僕が受験生だったあの昔に教えて欲しかったわ~、というものなのだから。

いずれにしろ、相変わらず岸田奈美の文章はおもしろい。明るく軽くユーモアに溢れ、それでいて真面目な話題や重たいテーマも自由自在に扱える。さらには、こんなにも気持ちの良い(ときどきライトな大阪弁が入る)文章というのもなかなかないように思う。前にもおすすめしたけど、改めて声を大にして言いたい、僕は岸田奈美の奔放でヤンチャで愛情に満ちた文章が大好きなんだよ!

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

艶やかに美しく|魅惑の文房具ガラスペンの世界

ガラスペンってご存知ですか? 僕自身つい最近まで知らなかったし、ましてや使ったことはおろか、触ったこ

記事を読む

箱根駅伝「幻の区間賞」と関東学連チーム出場の是非

来年もまた正月から箱根駅伝にくぎ付けとなってしまう、そんな人も多くいることだろう。二日間に渡るこれだ

記事を読む

イェール大学出版局 リトル・ヒストリー|若い読者のための「アメリカ史」のすすめ

以前にも紹介したことのある、「イェール大学出版局 リトル・ヒストリー」のシリーズ。いまのところ5冊が

記事を読む

アカデミアへの転身と、アカデミアからの転身

日本テレビの桝太一アナウンサーが、16年間在籍した同局を今年3月で退社し、4月からは同志社大学ハリス

記事を読む

進化心理学と行動ゲーム理論入門|『最後通牒ゲームの謎』がおもしろい

第64回(2021年度)日経・経済図書文化賞を受賞した、小林佳世子著『最後通牒ゲームの謎』が面白い(

記事を読む

将棋の子|奨励会年齢制限と脱サラ棋士のプロ編入という奇跡の実話

映画『泣き虫しょったんの奇跡』が公開されている。まだ観ていないのだが、もちろんこの実話はとてつもなく

記事を読む

ブラックホールを初めて写真撮影|いまこそ宇宙論がおもしろい

さて先日は、人類史上初めてブラックホールの撮影に成功したという記者会見が世界中で話題となった。「ブラ

記事を読む

心を打つ名言、心を挫く駄言|絶版を目指した出版「駄言辞典」がおもしろい

今年出版された「駄言辞典」をご存知ですか?こんな本、知らなくてよいのかも知れない。なぜなら、最初から

記事を読む

ソーシャルディスタンスのいま最も濃密な人間関係|プロ将棋棋士の師弟愛と絆

この年末年始なにが盛り上がっているかと言えば、もちろん紅白歌合戦に箱根駅伝、ではないですよね。今年は

記事を読む

クラウドソーシングの衝撃:世界最大手Freelancer.comの上場と業界再編

「クラウドソーシング・サービスの使い方: 世界最大の Freelancer.com が早くて安くて素

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑