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ニッポンの国宝と景観を守る:外国人だけが知っている美しい日本

公開日: : 最終更新日:2018/09/19 オススメ書籍, 日本

昨日書いた「キューバに行くなら今が最後のチャンス」の中で、この国の文化と歴史が色濃く残っているうちに訪れねばならないと書いた。しかしひょっとすると、それとおなじ感覚を外国人は日本に対して持っているのかも知れない。それを強く感じさせる本を最近二冊読んだばかりだったのだ。

 

credit: ehnmark via FindCC

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最初の一冊は『イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る』である。日本在住が既に25年に及ぶ著者デービッド・アトキンソンは、以下のように裏千家茶道を嗜む等々ユニークな経歴を持つ。

1965年、イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。アンダーセンコンサルティング、ソロモンブラザーズを経て、1992年にゴールドマンサックス入社。日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。98年に同社managing director(取締役)、06年にpartner(共同出資者)となるが、マネーゲームを達観するに至り、07年に退社。同社での活動中、99年に裏千家に入門。日本の伝統文化に親しみ、06年には茶名「宗真」を拝受する。09年、創立300年の国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、取締役に就任。10年に代表取締役会長、11年に同会長兼社長に就任し、日本の伝統文化を守りつつ、旧習の縮図である伝統文化財をめぐる行政や業界の改革への提言を続けている。

 

そんな彼が日本経済のポテンシャルについて、とくに文化と観光の面から論じたのが本書『イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る』である。長年日本企業とくに銀行業界についてレポートを書き続けた外国人アナリストの目から見た日本という点で、興味深く読めた一冊である。

 

とくに文化面および観光面での提言が印象の残った。現在訪日外国人が急増しているが、日本の伝統文化を理解しそこにお金を払ってもよいと思っている観光客は少ないという指摘だ。個人的にちょっと意外だと感じたデータは、世界的に見ればオーストラリア、ドイツ、カナダの3カ国が、旅行先での支出額ランキングの上位にあるのだということ。

 

つまり現在の訪日外国人として多数を占めるアメリカや中国は、残念ながら旅先での経験にお金を落とす割合は低いというのだ。それではいかにして、伝統文化に関心ある層を呼びこむのか、そのための「おもてなし」のあり方に日本人の大きな誤解があるのではないか、という指摘にも耳を傾ける価値があるだろう。25年の日本在住は長く、金融界から文化財保護業界まで、著者のネットワークも広い。非常に日本を知っている人物が、これからの日本の文化と観光について語った本書は、実にユニークな一冊に仕上がっている。

 

 

 

credit: Kotaro Takahashi via FindCC

credit: Kotaro Takahashi via FindCC

 

もう一冊、関連して僕が読んだのがアレックス・カーの『ニッポン景観論』だった。上記の『日本の国宝を守る』が日本の伝統文化について語ったものであった一方、本書は書名が示唆するように、日本の自然景観や町並みについて、著者がやはり長年の経験と観察から提言したものである。1952年生まれの著者はイェール大学の日本学部を卒業した東洋文化研究者。京都府亀岡に居を構え日本文化の研究に従事する一方で、2010年からは景観と古民家再生のコンサルティング業務を全国で行っているという、これまたユニークな経歴なのである。

 

 

「醜悪な建築」「邪魔な工業物」「過剰な看板」などの写真を並べながら、なぜ日本の景観は破壊されるのか、貴重な観光資源を取り戻すにはどうすればいいのかなどを論じた、異色のヴィジュアル文明批評。

 

上の書籍紹介にもあるように、けっこう辛口に書かれている(苦笑)。しかしそれは長年住み続けるこの国で、なぜ自然と町並みの景観を破壊するような行為がなんの疑問もなく続けられているのか、という著者の愛情からくる叫び声なのである。とくに厳しく糾弾しているのが、景観を台無しにしている電線と看板。日本人として余りにも見慣れてしまい普段は疑問に思わないこうした風景も、本書の中で何枚も続けて突きつけられ、一方でそれがなかったらどう見えるのかというCG写真も提示されると、電線と看板の「醜悪さ」「邪悪さ」「過剰さ」を確かに感じざるを得ない。

 

credit: Hiro _R via FindCC

credit: Hiro _R via FindCC

 

 

最後に、これも読んでみようと思っているのが『外国人だけが知っている美しい日本~スイス人の私が愛する人と街と自然』である。スイス人の著者のステファン・シャウエッカーは1995年に初めて来日しその魅力の虜となって翌年カナダでインターネットの日本観光サイト「ジャパンガイド」を開設する。それが今や訪日外国人の多くが参考とする旅行ガイドサイトになっているということだ。こちらもまたユニークな経歴だといえるだろう。

 

そんな彼が書いた本書をぜひこれから読んでみて、彼らが日本のどんなところに魅力を感じるのか、さらに探ってみたいと思う。これから2020年東京オリンピックに向けて、ますます訪日外国人を増やそうというキャンペーンが相次ぐことだろう。しかし、その前に、そもそもターゲットとする外国人観光客が、日本の何を求めてやってくるのか、そういう顧客視点でのマーケティングは欠かせないだろう。その第一歩として、外国人が書いた日本論というのは、一読どころか多読に値するものではないかと思うのである。少なくとも国の観光政策としては、ゲームにアニメにアキバの「クールジャパン」以外のジャパンにも、もっと目を向けて欲しいところだ。

 

 

 

京都・美山の茅葺き民家、エキゾチック・ジャパンそのものの宮島の佇まい、その年最初の紅葉を味わえる北海道大雪山、白石川堤の一目千本桜。月間1000万PVを誇る「ジャパンガイド」の運営者として、「ビジット・ジャパン大使」として、日本を愛する一個人として語る―日本人の知らない日本の魅力。

 

credit: JapanDave via FindCC

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