稀代の絵師・伊藤若冲の作品群が日本に里帰り
ここ数年、日本美術がもの凄いブームと言ってよいほどの盛り上がりを見せているのはご存知の通りだ。そしてその人気を牽引してきたのが、江戸時代の奇想の絵師・伊藤若冲である。僕も若冲展には何度も足を運んでいるのだが、毎回大行列を経験し、あらためてその人気ぶりを実感するのである。
そんな若冲美術の収集家と知られるエツコ&ジョー・プライス夫妻のコレクションを、出光美術館が購入したと発表した(日本経済新聞)。一部とは約190点もの数であり、その中にはあの鳥獣花木図屏風も含まれており、これは同美術館にとって素晴らしいラインナップとなったことと思う。2020年から公開される特別展が今から楽しみで仕方ない。
それにしても、1960年代に初来日して以降、江戸絵画を収集してきたプライス氏だが、その当時は殆どの日本人が自分たちの国にある美術作品の芸術的価値に気づけていなかった。その中で唯一とも言えるべき存在だったのが辻惟雄であり、近年の若冲再発見・再評価と爆発的ブームは、彼の名著『奇想の系譜』によるところが極めて大きい。
いずれにしろ、今回の出光美術館の若冲作品購入を機に、また大きな注目が集まることだろう。来年の展覧会にはまた長い長い行列が出来ることだろうが、それはこの作品群が日本に里帰りしてきたというグッドニュースならではだと納得し、喜んで並ぼうではないか。
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