*

TSUTAYA運営の市立図書館に続き、今度は学習塾ノウハウを公教育に導入:いま話題の佐賀県武雄市に行ってきた

公開日: : 最終更新日:2014/04/24 ニュース, 日本

佐賀県武雄市がまた新しい取り組みを始めたようだ。

(NHKニュース)佐賀県武雄市は、来年の春から公立の小学校に民間の学習塾の指導法を取り入れ、官民一体で授業に取り組むと発表しました。文部科学省によりますと、官民一体で公立学校の授業に取り組むのは初めてとみられます。(中略)記者会見で武雄市の樋渡啓祐市長は、「公教育の優れたシステムに民間のノウハウを大胆に取り入れ、子どもたちがワクワクドキドキして楽しく学べる新しい公教育を作りたい」と話していました。

 

この佐賀県武雄市とはもちろん、TSUTAYAに運営委託した市立図書館のオープンで賛否両論の話題と議論を巻き起こした、あの武雄市のことである。いずれ見に行かねばなるまいと思っていたので、先日ちょっと行ってきた。

 

2014-03-26 17.25.26

 

近刊『つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み』の中では、武雄市立図書館を始め全国の公立図書館の新しい取り組みが紹介されている。東京都内であればJR武蔵境駅前にある武蔵野プレイスが、その丸っこい建物デザインや併設されたカフェでよく知られているところだ。そんな全国の中にあっても色々な意味でいま最も注目を集めているのが、ここ武雄市の図書館だろう。とりあえず、スタバ入ってます。佐賀県内5店舗目かつ最大の店舗

 

2014-03-26 17.25.44

 

2013年4月に全面改装オープンしてちょうど一年の、きれいな外観。すでに各方面で報道されているように、内部にはTSUTAYAが販売する書籍と、図書館で貸し出す本が、その境界をそれほど意識しないように並んでいるものだから、一瞬どれが売り物でどれが借り物なのか分からなくなりそうなくらいだ。

 

ちなみに図書館内部は撮影禁止となっているため、残念ながら館内風景はお伝え出来ませぬ。入ってすぐの一番目立つ平台には、『図書館が街を創る。 「武雄市図書館」という挑戦』を始めとする関連書が並べられている。全国からの視察も多いようであり、こうした書籍の売上も意外にあるのかも知れない。

 

2014-03-26 17.26.58

 

外から撮ったスタバ。高校生から子育て主婦そして高齢の方々まで客層は幅広く、結構混んでいた。図書館で借りた本はもちろん、TSUTAYAで買った書籍や買う前の品定めの雑誌なども持ち込み可能であり、それゆえに長居する客が多そうだ。

 

2014-03-26 17.28.08

 

スタバにはテラス席も併設されており、これからの季節には屋外読書も気持ちいだろう。

 

2014-03-26 17.28.21

 

図書館内部は代官山蔦屋書店を想起させるが、それもそのはず、何しろ武雄市長がその企画コンセプトと実現した施設(『代官山 オトナTSUTAYA計画』が詳しい)に衝撃を受け、TSUTAYAへの運営委託を決めたのだから。確かに僕も以前に代官山店を訪れた時には、そういう衝撃を受けたと記憶している。しかし、そのTSUTAYAに図書館運営を委託するという形で佐賀県まで誘致するというのは、やはり突き抜けた発想というしかあるまい。

 

図書館を中心とした街づくりとして、今後何をどう実現していくのか。そして、この市立図書館が出来たことによって市民の読書習慣はどのように変わりつつあるのか。そういう問いに答えが出るのはもう少し先になるのだろうが、この新しい試みはとくに他の地方自治体にとっては特に注目すべきものであるように思う。

 

ちなみに、武雄市のお隣・伊万里市の市立図書館も、全国有数の先進的図書館として知られており(『つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み』で詳しく紹介されている)、「伊万里市民図書館」というように「市民」の名が冠されているのが特徴である。佐賀に行く機会は決して多くない人が大半だろう。それでもそんな佐賀を訪れるチャンスがあるならば、ぜひ図書館まで足を運んでみてはどうだろうか。いま全国で注目を集める市立図書館がこの地方に二つもあるなんて、驚くこと間違いないだろう。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

The 2015 Daily chart Advent calendar by The Economist

Economist 誌が毎年行っている恒例の "Daily chart Advent calenda

記事を読む

japanese dictionaries 1

三省堂『辞書を編む人』が、今年の新語を募集中

時を経て社会は変容し、そして言葉も変遷する。いつの時代もワカモノの言葉づかいに口喧しい人はいるが、し

記事を読む

football coach economics

サッカー監督の経済学:シメオネ率いるアトレチコ・マドリードの躍進

スポーツ選手の成績は数字に如実に表れる。野球の野手なら打率や本塁打数、投手なら奪三振数や防御率といっ

記事を読む

dinner table

サンフランシスコ発の口コミ情報サイト「Yelp」が日本上陸

米国の口コミ情報サイト「Yelp」(イェルプ)が日本でサービスを開始したというニュース(日経新聞)。

記事を読む

食肉偽装とWOWOW連続ドラマW『震える牛』のリアル

中国の工場で発生した期限切れ鶏肉の事件だが、これは別に、同工場もしくは同国の衛生管理技術の水準が低か

記事を読む

playground in a rural area

アメリカと日本と国際養子縁組

先日のTBSの番組「女児はなぜアメリカへ行ったのか?国際養子縁組を考える」を観た。 豊かな社会とは

記事を読む

論文捏造はなぜ繰り返されるのか?科学者の楽園と、背信の科学者たち

先週は、小保方晴子氏の論文「学位取り消しに当たらず」(NHK)との報道が新たな議論を引き起こしている

記事を読む

日本経済学会@同志社大学に行ってきた

先週末は日本経済学会の春季大会で報告してきた。会場は京都の同志社大学ということで、初めてここを訪れた

記事を読む

valentine chocolate

バレンタインの統計学と経済学

モテの諸兄にとってはウキウキの、非モテの諸氏にとってもドキドキの、バレンタインデーが今年もやってきま

記事を読む

NHK戦争特番:日本とアメリカとその狭間で

毎年夏が来る度にテレビ各局、新聞各誌が特集する太平洋戦争と終戦。その中でも個人的に強烈に印象に残って

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

【Kindleセール】高野秀行の傑作ノンフィクション|ミャンマー秘境探検記

本日の Kindle日替りセールに、あの高野秀行の『ミャンマーの柳生一

【Kindleセール】世にも奇妙な論文|知的研究と至高のエンターテインメント

以前に「ヘンな論文を書き続ける動機と勇気」でも紹介した、学者芸人サンキ

長岡の花火大会が今年も素晴らしかった|来年はぜひお越しください

日本三大花火のひとつに数えられる新潟県長岡市の大花火大会。僕は今年も、

【Kindle特大セール】世界トップレベル・プロゲーマーの思考と情熱

現在実施されている【50%ポイント還元】 Kindle本夏のセール が

これは経費で落ちません|経理部が見つめる人間模様

NHKで現在放送中のドラマ「これは経費で落ちません!」が面白い。多部未

歌舞伎町ホストの帝王・ローランドの言葉にみる至極真面目なプロ意識

現代ホスト界における圧倒的カリスマ、歌舞伎町の夜の帝王、そしてこの世に

Kindle半額セール|『実行力』に学ぶ組織と人材のマネジメント

始まったばかりのKindle本夏のセールが、50%ポイント還元と超お買

組織を動かす実行力|結果を出す仕組みの作り方

新刊『実行力』を興味深く読んだ。本書は、ご存知橋下徹が、これまで大阪府

PAGE TOP ↑