日本将棋マネーリーグ|今年も賞金ランク首位は豊島将之竜王、藤井二冠は?
先日は毎年恒例の「欧州サッカー・マネーリーグ」が発表され、今年もスペインのFCバルセロナが収入ランキングで首位を飾ったところだ。それと同様に、この時期恒例のもう一つのランキングが、日本のプロ将棋棋士の賞金ランクだ。
その結果は、以下のとおり、豊島竜王が連続で首位、かつ昨年から大幅アップで1億円を越えた。注目の若き天才18歳の藤井二冠も当然のごとくジャンプアップして、昨年から2倍以上となる4,500万円超で堂々の第4位につけた。
(朝日新聞)日本将棋連盟は5日、2020年の獲得賞金・対局料のランキングを発表した。豊島将之竜王(30)=叡王と合わせ二冠=が1億645万円で、2年連続2回目の1位になった。昨夏にタイトルを二つ獲得した高校生棋士の藤井聡太二冠(18)=王位・棋聖=は4554万円で4位となった。2108万円で9位だった19年から2倍以上に増やし、一気に順位を上げた。
①豊島将之竜王 1億645万円(7157万円〈1〉)
②渡辺 明名人 8043万円(6514万円〈3〉)
③永瀬拓矢王座 4621万円(4678万円〈4〉)
④藤井聡太二冠 4554万円(2108万円〈9〉)
⑤広瀬章人八段 3241万円(6984万円〈2〉)
⑥羽生善治九段 2491万円(3999万円〈5〉)
⑦久保利明九段 2421万円(2178万円〈8〉)
⑧木村一基九段 2338万円(3209万円〈7〉)
⑨丸山忠久九段 1926万円(1017万円〈24〉)
⑩千田翔太七段 1692万円(1080万円〈21〉)
※カッコ内は2019年の獲得額と順位
さて、日本のプロ棋士のトップの賞金が1億円、これだけの活躍を見せる藤井2冠でも5,000万円に満たない金額を果たしてどう捉えるか?個人的には、以前にも「初タイトル目指す藤井聡太七段の連勝と、将棋棋士の獲得賞金・対局料」で書いたように、圧倒的に少ない金額だと感じている。
小学生の頃から天才棋士と呼ばれてきた子供たち。そんな彼らが集う奨励会。そしてプロへの最後の関門・三段リーグを突破してようやく最初の一歩を踏み出すことができる。その長い道のりの途中では、数多くの少年たちがくすぶり、学歴も職歴もない青年となり、そして年齢制限で奨励会を後にせざるを得ないことも多々ある。
そんなことを、天才プロ棋士・藤井聡太のいまの活躍を見ながら、そして彼の元同僚であり今も奨励会三段リーグで生き残りをかけて日々命を削るような戦いを続ける若者たちに思いを馳せざるを得ない。そんな奨励会の過酷な生活は、大崎善生の『将棋の子』に詳しく、将棋の世界に挑む全国の天才少年たちのことをもう少し詳しく知ってもらうためにも、ぜひこの名著はもっと多くの人に読んでもらいたいと願っている。
それと同時に、現在これだけ注目を集める将棋というプロの世界で、最高の頭脳を持つ限られた棋士たちが、もっと多くの収入を得られるような、今の10倍の賞金を獲得できるような、そんなビジネスモデルへと大きく転換していくことを願ってやまない。
奨励会……。そこは将棋の天才少年たちがプロ棋士を目指して、しのぎを削る“トラの穴”だ。しかし大多数はわずか一手の差で、青春のすべてをかけた夢が叶わず退会していく。途方もない挫折の先に待ちかまえている厳しく非情な生活を、優しく温かく見守る感動の1冊。
未来の名人を夢見る天才少年達が熾烈な競争を繰り広げる奨励会。青春のすべてをかけた彼らの代償とは何か。彼らの戦いはなぜこんなにもせつなく胸に迫ってくるのだろう―ベストセラー『聖の青春』著者が放つ感動のドラマ!!夢と挫折の奨励会物語。
第23回講談社ノンフィクション賞受賞作。
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