米国一番人気アメリカン・フットボールの経営学:戦力均衡のリーグ運営
アメリカで最も人気のあるスポーツと言えば、アメフト(NFL)がナンバーワンなのである。野球(MLB)・バスケ(NBA)・アイスホッケー(NHL)を加えて、一般的に四大スポーツと呼ばれることも多いが、アメフトはそのなかでもぶっちぎりのトップ人気なのだ。

そんなアメフトのナンバーワン・チームを選ぶのが、先日行われたスーパーボウルである。ペイトリオッツとシーホークスが対峙した今年の試合は、終盤までもつれる大熱戦となったこともあって、スーパーボウル史上最高の49.7%という視聴率を叩きだした。今年はいつも以上に多くのアメリカ人が、テレビの前のソファに陣取って、ピザやチキンウィングを片手に、バドワイザーかペプシをもう片手に、この試合に熱い声援を送ったことだろう。
そんな全米が固唾を呑んで注視する化物コンテンツだからこそ、毎年場外で話題になるのがそのテレビCMの高額ぶりだ。と同時に、どの企業のCMがインパクトがあったのか、そのクオリティの議論が盛んになされるのも毎年この時期の風物詩となっている。
そんなテレビ周りの話もおもしろいには面白いのだけれども、僕が個人的に興味をもっているのが、アメフト(NFL)のリーグ運営手法である。なにしろNFLは世界で最も成功したスポーツリーグと賞賛されているのだから。具体的には、「レベニューシェアリング」、「サラリーキャップ」、「ウェーバー制ドラフト」という3つのシステムを中心にすえ、各チームの戦力均衡を図っている。
この戦力均衡というのがリーグ運営にとっては絶対に欠かせない考えとなる。つまり、チーム運営であればそのチームが勝つことを考えるだけでいい。しかし、多数のチームをまとめたリーグを運営するためには、どのチームにとっても勝つチャンスがあり、もっと言えばどのチームのファンにとっても応援する甲斐がある、そんなチームを揃えることが、リーグ繁栄の条件となってくるのだ。
だからNFLでは、例えば資金力豊富なチームが有力選手をかき集めないような仕組みが、そして新人獲得に対しても強豪チームが後回しとなるような仕掛けが用意されており、それによって各チームの戦力に差が付き過ぎないような配慮がされているのである。「世界で最も成功したスポーツビジネス:アメフトNFLとスーパーボウル」に詳しく書いたように、実に様々なシステムが用意され、その結果として極めて健全なリーグ運営となっているということだ。
翻って日本のスポーツ業界を振り返ってみれば、ちょっと前には野球のセ・パ両リーグを1リーグに統合するという話が急に持ち上がったり、サッカーJリーグではそのスケジュールが通年だったり前後期だったり安定しない。さらにはバスケットに至っては、2つのリーグがこれまで別々に運営されてきた結果、国際試合への出場停止というペナルティを受けている。そんなゴタゴタのないリーグ運営と、その結果としてのエキサイティングな試合をファンは待っているのである。その意味でも、今年のスーパーボウルとNFLのリーグ運営に学べることも多いと思うのである。個人的にはアメフトのルールと試合の面白さがまだよく分からんのだけれども。
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