おすすめKindleコミック『ナナのリテラシー』に待望の第2巻が登場!漫画家・鈴木みそはキンドル界のスーパースター
公開日:
:
最終更新日:2014/12/07
オススメ漫画
鈴木みそという名前の漫画家が一体全体どれくらい知られているのか、コミックに詳しくない僕には未だよく分からない。少なくとも1年前の僕にとっては「は、ダレソレ?」であった。それなのに、今や彼の最新作が発売されるのを心待ちにしちゃうなんてね。
これも全てAmazonキンドルのせいなんです。「Amazonキンドルが広げたコミック市場:ふだん漫画を読まない僕が鈴木みそにハマった」でも述懐したように、なぜか買ってみた作品があの『限界集落(ギリギリ)温泉』であり、一気にそのストーリーに引きこまれてしまったのだ。その売上は脅威といってもよく、鈴木みそ本人が『電子書籍で1000万円儲かる方法』まで出版してしまうほど、売れに売れたのである。
ついこの前までは「今度こそ本当の電子書籍元年か?」と、まだ懐疑的な見方が強かったにも関わらず、その後一年足らずで今や「電子書籍でこれだけ儲かる」という作家が登場したのである。もちろん、鈴木みそは電子漫画界のスーパースターであり、それ以外の漫画家の売上はまだまだ微々たるものかも知れない。それでも、これだけの短期間で大変化した電子書籍業界をあらためて面白く感じるのである。
photo credit: LoKan Sardari via photopin cc
そんな大変革の中、従来の出版社は生き残れるのか、その戦略とは何か。そして一方の漫画家はこの変化を脅威ではなく機会としてどう捉えるべきなのか。その視点とは。そういった実に生々しいストーリーを、女子高生の目からポップに仕上げたのか本作『ナナのリテラシー』だ。めちゃくちゃ面白かったのは言うまでもない。
電子書籍の未来がここに! 職場体験のため怪しげな事務所の門を叩いた女子高生・許斐七海。 突然目に飛び込んだ半裸の「天才ITコンサルタント」のもと、彼女は新時代のビジネスの真髄を知る! 『限界集落(ギリギリ)温泉』電子版をAmazonのKindleで個人出版し、空前の大ヒット! 電子書籍業界の最重要パーソンとなった著者最新作。第1弾は自身の経験をもとにした電書編!!
その待望の第2巻がようやく発売されたのです!いやぁ待ったなあ~。こんなに漫画の発売を首を長くして待ったのなんて、たぶん『ドラゴンボール』以来じゃないかな(笑)。そんな第2巻は舞台をゲーム業界に移し、やはりここでも大変革の最中、旧来のプログラマと新世代のプログラマのすれ違いと葛藤を抉り出す!ソッコーで読んでしまった上、早くも続刊の発売を心待ちにしているわけなのである。
ところで、最初に「たまたま」鈴木みその作品にはまってしまったと書いたけど、よくよく考えると決してそんなことはなく、きちんとAmazonにノセられて買っちゃってるんだよね。ご存じの通りKindle普及にちからを入れるAmazonは、いまものすごい勢いでキャンペーンを展開している。「Kindle日替わりセール」や、「Kindle月替わりセール」では、ハードカバーも含めた多種多様な書籍が半額以下といったセール価格で販売されている。
漫画に関しては、何と言っても「期間限定 無料お試しキャンペーン」がスゴイ。大量の漫画が続々と無料で登場し、それを機会にはまってしまって思わず有料版まで買ってしまうというのは、「この漫画(の売り方と売れ方)がすごい:『幽麗塔』」で書いた通りだ。そして今回の『ナナのリテラシー』もまた、僕がそうやってはまってしまった作品のうちの一つなのである。面白い作品を創る漫画家の実力と、Amazonの売り方のエグさ(笑)による、見事なコンビネーションだと感服せざるをえまい。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
真理探究に命を懸けて|科学と宗教を描いた異色漫画ついに完結
これまで何度もイチオシしてきたこの漫画『チ。―地球の運動について―』が、ついに最新第8集において、堂
-
-
中世キリスト教世界の絶対真理「天動説」に挑んだ意欲的漫画『チ。―地球の運動について』が面白い
『鬼滅の刃』で全国盛り上がっているところ申し訳ないんだけど、ものすごい新作漫画が登場しましたね。それ
-
-
Kindle電子書籍で手軽に読めるこの漫画がすごい:思わずハマったコミック12選
「電子コミックの時代がやってきた」でも紹介したように、日本ではとくに電子コミックが現在の市場を牽引し
-
-
いまこそ本当の宇宙兄弟を目指す|13年ぶりの宇宙飛行士選抜試験いよいよ始まる
大ヒット漫画『宇宙兄弟』を挙げるまでもなく、僕らはみな子供の頃から宇宙が大好きだった。そして、あの頃
-
-
おすすめKindleコミック『乙嫁語り』は2014年のマンガ大賞受賞作
2008年に始まったマンガ大賞。ご存知でしょうか?過去には錚々たる作品がノミネートされ受賞しているこ
-
-
キリスト教と天動説|中世のタブーに挑んだ異端の漫画が面白い
以前にも紹介したいま最も注目すべき漫画『チ。―地球の運動について―』、その最新第4集がついに発売され
-
-
中央アジアを舞台とした傑作漫画『乙嫁語り』|最新刊の精緻な描写が素晴らしい
待望の『乙嫁語り』の最新第10巻が発売された。さっそく読んだのだが、これまた素晴らしい生活描写と風景
-
-
大学受験間近|なぜ東京藝大は東大よりも難関なのか?
今年も受験シーズンの真っただ中となった。 国公立大入試の2次試験の出願もしめ切れらたところで、全国
-
-
国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?
僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる「作者の意図は?」といった問い
-
-
NHK「浦沢直樹の漫勉」がおもしろい|シーズン1『ゴルゴ13』さいとう・たかを編
先日「NHK「浦沢直樹の漫勉」がおもしろい|シーズン1「東村アキコ」編」で書いたように、現代の人気漫