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おすすめKindleコミック『幽麗塔』(原作は『幽霊塔』):この漫画の売り方と売れ方がすごい

公開日: : 最終更新日:2014/12/17 オススメ漫画

これまで漫画を読むこともそれほど多くなかった僕だが、「Amazonキンドルが広げたコミック市場:ふだん漫画を読まない僕が鈴木みそにハマった」でも書いたように、Amazonキンドルのせいで、思わずおもいっきりKindleコミックにはまってしまったのである。

 

そんな僕がいまイチオシのマンガがこの『幽麗塔』だ。「医龍」の作者としても知られる乃木坂太郎によるこの一作は、スリリングでスピーディな展開で読ませる珠玉の作品だ。今ならポイント30%還元セール中だ。僕なんか思わず、第1巻から最新刊まで一気読みしてしまったくらいなのである。知らなかったなあ、こんなに面白い漫画があったなんて。

 

時は昭和29年、舞台は神戸。ニートの天野は、幽霊塔と呼ばれる時計塔で、白い何者かに襲われ死の寸前、謎の美青年・テツオに救われる。テツオは曰く「幽霊塔の財宝探しを手伝えば、金も名誉も手に入る」しかしテツオの正体は、男を装う女であり、その名も偽名であった・・・。

 

すでにご存知の方も多いだろうが、漫画自体はめちゃくちゃ面白く、物語はいよいよ佳境。続きが気になって仕方がない珠玉のミステリーだ。それと同時に、この漫画の売り方と売れ方が大変に興味深かったので、以下に報告しておきたい。

 

まずはKindleコミックの売れ筋ランキングだ。本作品の無料お試し版がリリースされて間もない頃のものだが、下図の右側「無料Top100」の上位3作品が、なんとすべて『幽麗塔』で独占されているのだ。まあ、ここまではそれほど不思議ではないかも知れない。期間限定とはいえ、なにしろ第3巻までが全部無料だったんですから。ちなみに第4位には、先日「現在Kindle版が無料の佐藤秀峰『漫画貧乏』を再読:漫画業界そして電子書籍の革命家」でも紹介した『漫画貧乏』がランクインしている。

 

kindle-comic-ranking
より興味深いのが、上図の左側「有料Top100」のランキングだ。なんとなんと上位4作品が、『幽麗塔』の続編である4-7巻で、こちらの有料Kindleランキングまでもが独占されているのである!もちろんこの背景には、無料試し読みでハマってしまい、続きが気になって思わず続きの有料版をポチってしまった僕やその他大勢のカスタマーがいるわけである。(実際にAmazonのカスタマーレビュー欄でも、今回の無料試し読みをきっかけにハマったというコメントがいくつも見られる。)それとともに、続編4巻以降の有料版が現在30%のポイント還元セールを実施中というのも見逃せないだろう。

 

そういう一連の施策(主にプライシング)によってこれだけのカスタマーを惹きつけているのが、個人的には大変に興味深いのだ。しかも僕のようなコミックのライトユーザーであり、乃木坂太郎という原作者の名前すら知らなかった人を、有料版を買わせるまで持っていくこの素晴らしきマーケティング!漫画を読んで大満足したからぜんぜん文句なんてないんだけれども、その鮮やかな手腕に思わず唸ってしまったのである。

 

いまものすごく(ビジネス面での)研究が進んでいるのが、このKindleコミック(もっと広く言えば電子書籍)の売り方だろう。その先駆者の一人が鈴木みそであり、彼の大ヒット作『限界集落(ギリギリ)温泉』、そしてそのビジネス的成功の背景を生々しく描いた傑作『ナナのリテラシー』であるのは、僕自身が「鈴木みそにハマった」経験で紹介したとおりだ。

 

さらに、今回の『幽麗塔』ではもう一つ興味深いことがあった。それはなんと、漫画『幽麗塔』の原作である『幽霊塔』までもがランキング1位に躍り出ているところだ。以下は(コミックではなく)Kindle本のベストセラーだが、右側「無料Top100」の最上位に『幽霊塔』が輝いているのが見て取れる。

 

kindle-yureitou

 

つまり数多くのカスタマーが、次のようなステップでこの『幽麗塔』(および原作『幽霊塔』)の世界へとのめり込んでいっているのである。

  1. Kindleコミック無料キャンペーンで試し読み
  2. 思わずハマって有料コミックを購入
  3. さらにハマって原作を読む(←僕はいまココ)

 

コンテンツが素晴らしいからこそ、ここまで読者を惹きつけて離さないわけなのだが、それを後押しするプライシングやキャンペーン自体も極めて効果的だったと言える。電子書籍・コミックをどう売るかというのはまだまだ実験段階であり、これからも数多くの漫画家や出版社が試行錯誤を重ねていくだろう。

 

僕は漫画のライトユーザーではあるが、しかしながらそんなライトな読者をも獲得する力が電子書籍にはある。ますます加速するこの電子化の流れと、そのなかでどういう売り方が確立されていくのか、どんな予想もしない売れ方が見られるのか、これからも興味深くウォッチしていきたい。それにしても、この『幽麗塔』マジで面白かったわ。

 

 

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