ウィンブルドン決勝ジョコビッチの優勝をデータで振り返る
さて先日の「テニス・ウィンブルドン決勝|ビッグ・データを制するのは誰だ?」にも書いたように、僕は今年のウィンブルドン決勝戦を、IBM の Slamtracker を片手にテレビ観戦していたのだが、これが実に興味深かった。何しろ二人の対戦を見ながらも、その試合データをリアルタイムで手元で確認できるのだから。
両者のファストサーブの確率だとか、アンフォーストエラーの数とか、そういったデータを実況中継でも伝えてくれるが、何しろこの Slamtracker があれば、それ以外に知りたいデータが常にアップデートされているのだから、もうこれなしに試合を見ることはないかも知れない。それくらい面白いデータ観戦ができるシステムなのである。
例えば両プレイヤーのサーブのスピードも以下の通り、各セット別に、最速・平均・最遅のデータが表示される。
両者のサーブも、もちろんファストサーブ、セカンドサーブに分けて、それぞれの確率がすぐに手元で分かる。
そしてこちらが試合全体の集計値。敗れたフェデラーの方がよい数値を出している項目も多く、その意味では接戦のようにも見えるが、実際に昨夜の試合生中継を観ていた人なら分かる通り、ジョコビッチの安定感は、フェデラーの数々の好プレイをも凌ぎ、完勝と言える内容だった。
そして、この IBM の Slamtracker の売りでもある “Kyes to the Match” は、この試合に勝つためには何が必要かを予測するものだ。過去の直接の対戦成績はもちろん、その他の試合も含めた膨大なプレイデータの蓄積がはじき出すこの分析は、どうやらまだまだ発展途上にあるようだ。というのも、今回の決勝戦を見る限り、必要項目を満たしたフェデラーはそれでもセットを取れなかったりと、予測値と結果に大きな乖離がある。
一方で、だからこそ、まだ始まったばかりのデータ・テニスの今後のポテンシャルは極めて大きいとも言えよう。次の全米オープン、そして来年のウィンブルドンが、また一段と楽しみになってきた。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
フットボールの経営学:欧州サッカー・マネーリーグ2014
以前「フットボール・マネーリーグ2013」で紹介した、"Deloitte Football Mone
-
-
ワールドカップ決勝へ|ラグビー名将エディー・ジョーンズの勝負哲学
ラグビー・ワールドカップが面白い。まったくもってニワカなんですが、ルールが分かるとラグビーってこんな
-
-
アスリートとお金|有望産業としてのプロスポーツビジネス
いよいよ東京五輪が始まり、改めて注目されるのが今後のスポーツとお金の関係だ。とくにプロスポーツビジネ
-
-
全米オープンテニス|錦織がフルセットを制して準決勝進出
日本時間早朝の全米オープンテニス生中継を観戦したみなさま、お疲れ様でした。錦織がやってくれましたね。
-
-
今年も箱根駅伝の季節がやってきた
さて、今年もまた箱根駅伝の季節がやってきた。毎回手に汗握るドラマを見せてくれるこの大学スポーツは、始
-
-
【おすすめ書籍】ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす恋愛ビッグデータの残酷な現実
アメリカでベストセラーとなった一冊 "Dataclysm" がようやく翻訳出版された。これは人気出会
-
-
メジャーリーグ新時代|アストロズ優勝が示す鮮やか過ぎるデータ革命
先日 NHK-BS で放送された「アストロズ革命~MLBデータ新時代~」がめちゃくちゃ面白かったのだ
-
-
打倒青山学院|来年の箱根駅伝をもっと面白くするこの5冊
青山学院の5連覇がかかる来年の箱根駅伝、僕もまた正月の2日間テレビの前に釘づけとなってしまうことだろ
-
-
箱根駅伝「幻の区間賞」と関東学連チーム出場の是非
来年もまた正月から箱根駅伝にくぎ付けとなってしまう、そんな人も多くいることだろう。二日間に渡るこれだ
-
-
テニス・グランドスラム優勝回数ランキング
【追記】「難敵アンディ・マレーをフルセットで倒した錦織が準決勝進出|データで見る2016年全米オープ