ラグビー日本代表が強くなった理由|エディー・ジョーンズのコーチング
冬のスポーツ風物詩と言えば、箱根駅伝に加えて高校サッカー、そして大学ラグビーである。そんなラグビーの大学日本一を決める全国大学選手権決勝戦が先日行われ、帝京大学と東海大学という二年連続の顔合わせは、またしても帝京大学が勝利を納め、しかも大逆転勝ちで史上最多の8連覇を達成した(NHKニュース)。

そこで改めて思い返したのが、2015年のラグビー・ワールドカップである。南アフリカという圧倒的な強者を相手に、ラグビー後進国の日本がまさかのジャイアント・キリングを演じたあの一戦のことだ(参考「Number なぜ巨人・南アを日本の小兵が倒せた?ラグビーW杯の“80分間すべて奇襲”!」)。それまで過去7度開催されたワールドカップにすべて出場しながらも1勝しか挙げることができていなかった日本代表には、ある種の負け根性が蔓延していた。そんな意識を根底から変革し、「勝つチーム」として生まれ変わらせたのが、この南アフリカ戦を指揮していたエディー・ジョーンズ監督である。
僕自身それまでラグビーに対してあまり関心をもっていなかったのだが、このワールドカップを機に、とくにエディー・ジョーンズ監督その人への興味がわき、関連書をいくつか読んでみたのだが、その中でもとくに以下の『ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話』が素晴らしい内容だったのだ。そして本書の中でジョーンズ監督は、日本の大学ラグビーの問題点をいくつか指摘しつつも、その中で唯一他大学を凌駕する優れた体制で取り組んでいるのが、今回まさに前人未到の8連覇を達成した帝京大学だと述べていたのである。
ラグビー日本代表を勝利に導く名将の哲学。ラグビーワールドカップで敗北を繰り返すなど、弱かったラグビー日本代表は、なぜ世界の強豪国にも勝てるようになったのか。オーストラリア代表コーチとしてチームをワールドカップ準優勝に導いた世界的名将が組織と個人を育てるための哲学を語り尽くす!
だからこそ今、本書を思い出し読み返してみたのだが、この本の素晴らしさは、それが決してラグビーという個別スポーツの監督にとどまるものではない、ということだろう。つまり、選手ひとりひとりから最高のパフォーマンスを引き出しつつ、組織をたばね、そして勝利するという目標に向かい、監督は何をなすべきなのかについて語っており、それは駅伝だろうと、サッカーだろうと、野球だろうと、そしてもちろん、会社や大学といった組織運営にまで示唆に富む内容なのである。
本書の中で言及されている他、巻末には「指導者が読んでおくべき15冊」がまとめられているのだが、それがまた素晴らしいのである。なにしろそこには、米国メジャーリーグの球団運営を一新させた『マネー・ボール』や、現代サッカーを変革しつつある『サッカー データ革命』がリストアップされており、ジョーンズ監督が並々ならぬ関心をもって他のスポーツからノウハウを吸収しているのが伺える。加えてマーケティングを始めとするビジネス書も紹介されるなど、普通の監督とは一味も二味も違う、ジョーンズ監督ならではの感性を感じ取ることができるだろう。

ちなみに、その『マネー・ボール』も『サッカー データ革命』も、以前に「スポーツの統計学|データ・サイエンティストたちのゲーム分析」でイチオシした名著であり、ジョーンズ監督にはぜひ今後はそのラグビー版を執筆して欲しいと願っている。ジョーンズ監督が語るように、スポーツチームのマネジメントとは、サイエンスとアートの融合であり、だからこそスポーツは監督の力によってチームが大きく変わり、それゆえに見るものを驚かせ楽しませ続けるのであろう。
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