英語論文の書き方:よりモダンでクリアな英作文テキスト3選
「英文ライティングここから始める」で書いたように、そこで紹介したテキスト4冊は英文ライティングのためのマストアイテムと言っていい。ただ、ベストセラーでありロングセラーである反面、どうしてもテキストの書きぶりに古臭さは否めない。また、基本的な英文ルールとスタイルを列挙したものであり、あれはNG、これもNGと、読んでいて窮屈さを感じるのも事実である。
だからこそ、これら4冊の次に読むテキストとして僕がオススメしているのが、今回紹介するよりモダンな英作文参考書の3冊である。
photo credit: Keith Williamson via photopin cc
1冊目のオススメテキストは、何と言っても、Ben Yagoda の “How to Not Write Bad: The Most Common Writing Problems and the Best Ways to Avoid Them” だ。「Ben Yagoda の英語ライティング新刊 “How to Not Write Bad”」で詳しく書いたが、Yagoda 自身も、実際に Strunk and White の “The Elements of Style” そして William Zinsser “On Writing Well” が、英作文テキストのチャンピオンだと認める。
だけれども、上記のこのクラシックな2冊では現実的には使い勝手が悪いのだよ、というのが、彼が新著 “How to Not Write Bad” を上梓した一番の理由だ。曰く、我々はどうやっても bad に書いてしまうものだ。だったらそれを前提とし、出来るだけそうならないように書くにはどうすればいいのかと問うほうが、実際的に重要な問題である、という指摘だ。writing well という目標はあまりにもハードルが高く、だからこそ、how to not write bad という、一捻りしたアプローチを自著で展開するのである。読みやすくて役に立つイチオシの一冊。Kindle版が安くておすすめ。
2冊目に紹介したいのが、Bell の “Clean, Well-Lighted Sentences: A Guide to Avoiding the Most Common Errors in Grammar and Punctuation” だ。これも以前に「アカデミックライティング: “Clean, Well-Lighted Sentences”」でオススメしたように、とても使える一冊。サブタイトルが示唆しているように、英語ネイティブでも間違えやすい英文法が、豊富な具体例を使って解説されていくので、非常に実践的で自分が書いた文章にすぐに応用することができる。as if と as though 等、”Confusing Pairs” をどのように使い分けるべきなのか、という説明も多いに参考になる。英文を書くならば手元において常に確認したい、そういう一冊である。
3冊目は、経済学専攻に限ってのオススメとなるが、McCloskey の “Economical Writing” だ。「How to write clear English」でも紹介したが、大変にシニカルにコミカルに、経済学者の論文の書き方について綴っている。これを読んだ人はその書きぶりがきっと好きになるだろうね、という一冊。Chris Blattman は本書がベストと評価している。
以上が、英文ライティングの必読テキスト4選に続く、よりモダンでクリアなお勧めテキスト3選である。その他日本語の英作文テキスト等は、「英文ライティングおすすめ参考書」にて紹介リストアップしている。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
科研費に応募する2|申請書作成に向けてどんな情報を参考にするか?
申請書作成に向けて 今年の科研費に応募しようと考えたとき、とくに初めて申請書を書くとなった場合、ま
-
-
ジョジョの奇妙な冒険で英語を勉強するなんて、無駄無駄無駄無駄無駄ですか?
いや、決してそんなことはない、という一冊が登場。昨年出版されたことに気づいて以来、ものすごく気になっ
-
-
「もっとヘンな論文」がついに登場|アカデミック・エンターテインメントの最高峰
NHK Eテレの番組「ろんぶ~ん」をご存知だろうか?ロンブー淳が司会を務める、アカデミック・エンター
-
-
『科研費獲得の方法とコツ』は、科研費申請予定の研究者必携の一冊
研究者にとっての秋は、科学研究費助成事業(科研費)の締切が迫る時期でもある。今年は11月10日が最終
-
-
日本語で書かれたおすすめテキスト『発信型英語スーパーレベルライティング』が待望のKindle版で登場
なんと、植田一三の『発信型英語スーパーレベルライティング』が、Kindle版で登場しているではありま
-
-
日本人の9割が間違えちゃう英語表現と英語常識
以前にも紹介したキャサリン・A・クラフト著『日本人の9割が間違える英語表現100』は、面白く読めるエ
-
-
イメージを掴んで使い分けろ|英語の難所・前置詞を攻略する
以前にも「効果抜群おすすめ英単語超学習法|語源から理解して飛躍的に語彙を広げる」で激推しした、『英単
-
-
【おすすめ英語テキスト】英語を英語で理解する、上級英単語集が半額以下のセール
現在実施中の、Amazon Kindle【40%OFF以上】高額書籍フェア には、ちょっとお値段が高
-
-
今年度から科研費の締切が早まる|公募スケジュールの前倒しに注意
現在、科学研究費助成事業(科研費)の主な種目については、前年の9月に公募を開始し、翌年4月1日付けで
-
-
できる研究者の論文執筆術:Write It Up
前回「できる研究者の論文生産術:How to Write a Lot」で紹介したように、英語ライティ