*

君はスポーツとしての将棋をみたか?藤井聡太とナンバー大特集

公開日: : 最終更新日:2020/09/09 オススメ書籍

先日発売された総合スポーツ雑誌『Number』が大変な売れ行きとなっている。その理由はズバリ、藤井聡太である。いやぁ驚いたねぇ、まさかあのNumberに藤井聡太が、いや将棋が全面的に特集されるなんて。しかもあっという間に20万部超も売れてしまい、いまやネット書店をふくめ品切れ続出だ。こういうとき、電子書籍があって本当によかったと思うよね。

 

 

日本全国民が熱狂したとも言ってよいラグビーのワールドカップ、あのときと同じ部数が、あっとういうまに完売となってしまうというのは、それは確かに編集長だった想像してなかったはずだ。だけれども、今回の特集には、それくらい熱のこもった記事が多いのだ。藤井聡太がその中心にいるのはもちろんなのだが、それ以外にも数多くの棋士たちが登場し、将棋ってこんなにも個性的な多くの人たちが作り上げてきた芸術なんだな、ということを実感できることだろう。

 

その意味でも、将棋をまだよく知らないひと、ラグビーのときにも一気に増えた自称ニワカの人、そんな人がもっと増えたらいいと思うのだ。ラグビーも将棋も、そして発足したばかりだったあの頃のJリーグだって、にわかファンが裾野をひろげ、そして今あるサッカー人気につながったのだから。

 

だからこそ、今回の雑誌Numberは、藤井聡太という類まれな天才棋士の出現を機に、将棋界が大きく変わるきっかけともなるものかも知れないのだ。AIが台頭し人類の知性が敗れたと大騒ぎになったのは数年前のこと、対局中にAIを利用したのではという疑惑とスキャンダルにまみれたのもついこの前のことだ。だけど今、僕らはこの藤井聡太という魅せる棋士の出現に大いに沸いている。先日は次のような記事「将棋ファンがなぜ藤井聡太にこれほど熱狂するのか、将棋ファン自身がわかりやすく解説してみた」が話題となったように、将棋盤を挟んだ棋士同士・人間同士の闘いに美学を見出し、そして強くなるための探究を続ける藤井の姿に、ファンだけでなく既存棋士たちの多くも胸が熱くなったのだ。

 

そんな今だけの、今ならではの時代の空気感を見事に捉えた今回の雑誌Numberは、売れるべくして売れた一冊と言えるだろう。プロ棋士のように潔く「負けました」と認めた編集長はしかし、売れ行きに負けて勝負に勝った人物として、今後も長く記憶されることだろう。以下の目次を眺めるだけでも、将棋の熱さ、棋士のカッコよさと同時に、今回のナンバーにかける編集者たちの思いがひしと伝わるはずだ。今回の特大特集号、刮目して読むべし!!

 

本誌初の将棋特集!

藤井聡太と将棋の天才。
Wonder Athletes on the Board

[最年少二冠の輝き]
藤井聡太「天翔ける18歳」

[最年少街道は続く]
記録で辿る異次元の歩み

[東海の血脈]
板谷一門の偶然と必然

[トップ棋士縁側対談]
佐藤天彦×中村太地「藤井はピカソか、モーツァルトか」

[永世名人の慧眼]
中原誠が語る18歳の羽生と藤井

[特別エッセイ]
22時の少年――羽生と藤井が交錯した夜

[プロフェッサー解説]
天才が切り拓いた矢倉新時代

勝負師たちの肖像

[新名人の決意]
渡辺明「敗北の夜を越えて」

[失冠からの再出発]
木村一基「受け師は何度でも甦る」

[タイトル戦で振り返る]
王者たちの覇権20年史

[振り飛車への愛]
久保利明「変える勇気、変えぬ信念」

[竜王のターニングポイント]
豊島将之「仲間から遠く離れて」

[58歳の矜持]
谷川浩司「光速は終わらない」

[藤井キラーの肖像]
大橋貴洸「勝負スーツに込める志」

[将棋界が揺れた1年]
羽生を止めろ
七冠ロード大逆転秘話

[名著8選]
〝読む将〟のススメ

[偉大なる先人の足跡]
佐藤康光が語る「大名人、この一局」
大山康晴/升田幸三/中原誠/加藤一二三

[最強女流の胸のうち]
里見香奈「腹立たしいけど、好きだから」

[好きなことで、生きていく 教えてアゲアゲさん!
将棋界のYouTuber事情

[陰の演出家]
棋士を支える呉服店

[一筆入魂]
将棋と書の深い関係

[ほとばしる将棋熱]
愛棋家アスリート、3手詰め!

[疾走する晩成棋士]
佐藤和俊「不惑の青春」

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

ラグビー日本代表が強くなった理由|エディー・ジョーンズのコーチング

冬のスポーツ風物詩と言えば、箱根駅伝に加えて高校サッカー、そして大学ラグビーである。そんなラグビーの

記事を読む

ヒマラヤ山脈でイエティの足跡を発見|雪男は向こうからやって来た

ヒマラヤ山中で伝説の雪男「イエティ」の足跡を発見したと、インド軍が公式ツイッターに写真つきで投稿した

記事を読む

あの伝説の一戦「3連勝4連敗」から9年|羽生善治・永世七冠誕生

2017年12月5日、長い将棋の歴史に新たな偉業が刻まれた。羽生善治が竜王位を奪還し永世竜王となり、

記事を読む

売れっ子プロデューサー川村元気の本気の「仕事。」論

川村元気。この名前をどこで聞いたか覚えていますか?大ヒット映画『電車男』のプロデューサーとして?ベス

記事を読む

今からでも遅くない「行動経済学がわかるフェア」

「今年のノーベル経済学賞は『行動経済学』のリチャード・セイラーに」でも書いたように、2017年の受賞

記事を読む

町山智浩の『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』と、ハズレのない現代米国社会批評シリーズ

「教科書に載っていないし、知ってても全く偉くもないUSA語録」でも紹介したように、町山智浩のエッセイ

記事を読む

5月25日は「広辞苑の日」って知ってましたか?

「ことばは、自由だ。」というキャッチフレーズでも知られる、岩波書店の「広辞苑」は、国語辞典の代表格と

記事を読む

一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部の挑戦と初受験

さて今年の国公立大学受験でもう一つ大きな話題となっているのが、一橋大学がじつに72年ぶりに新設する

記事を読む

英語アカデミック・ライティングの最高傑作シリーズに翻訳が登場|レター・メール執筆ノウハウ

英語アカデミック・ライティングのおすすめ参考書は、これまで以下のようにいくつもの良書とそれぞれの特徴

記事を読む

ジョジョの奇妙な英語にまさかの続編ガァァァ|あのクールな台詞はこれで学べ

以前に「ジョジョの奇妙な冒険で英語を勉強するなんて、無駄無駄無駄無駄無駄ですか?」でご紹介した英語テ

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑