*

難敵アンディ・マレーをフルセットで倒した錦織が準決勝進出|データで見る全米オープンテニス

公開日: : オススメ, スポーツ, データ

思わず早朝からWOWOWで生中継を見てしまった本日の全米オープンテニス。ついに錦織がやってくれて大興奮。これまで苦手としてきた強敵アンディ・マレーをフルセットの末に撃破したこの準々決勝は、この先非常に大きな意味を持つ。次の準決勝の相手はワウリンカ、そして決勝ではジョコビッチが待ち構えていると予想されるが、ぜひとも、今年こそは、そんな強豪さえも打ち負かし、初のグランドスラム優勝を勝ち取ってほしい!

 

そんな大熱戦となった準々決勝マレー戦をデータで振り返ってみよう。もちろん利用するのはいつもの通り、IBM の SlamTracker である。この試合をWOWOWで生放送を見ていた方なら分かるだろうが、錦織が要所要所で決めたネットポイント、ここぞという好機に掴んだブレイクポイント、そして目の覚めるようなリターンエースで勝ち取ったレシーブポイント、それらがこの試合の中でもとくに印象に残ったプレイなのではないだろうか。

 

まさにそうした視聴者の感覚を裏付けているのが、以下のデータである。この試合全体のサマリーを眺めても明らかなように、ネット、ブレイク、レシーブの各指標がマレーを上回っていることが分かる。そして、とくにそれが顕著だったのが、6-1というスコアで圧倒した第4ゲーム、続いて良い流れのまま始まり7-5で競り勝った最終第5セットであった。もちろん SlamTracker からはセット別の結果をより詳細なデータとして見ることもできるので、ぜひこのシステムを使って様々な角度から結果を眺めて頂きたい。

 

nishikori-2016-usopen-qf1

 

 

さらには、サーブ/レシーブ別に両選手の指標を確認してみると、まさにそのリターンエースが錦織の大きな武器となっていたことが以下の図からも分かるだろう。とくにこれをセット別で見ると、8つのリターンエースのうち4つを第4セットで、3つを第5セットで獲得しているように、試合後半における錦織のリターンの強さが際立っていた試合だった。

 

nishikori-2016-usopen-qf2

 

 

もう一つの勝因は、錦織自身が試合後のインタビューで答えていたように、絶妙のタイミングで決めたドロップショットの数々だろう。以下の図が示すように、フォアで6つ、バックで1つ、合計7本のドロップショットが全て決まり、それがときにマレーを走らせ、ときに彼の足を止める重要なショットとなったのである。

 

nishikori-2016-usopen-qf3

 

 

というように、フルセットの死闘の末、見事に強敵を倒した錦織のプレイをデータで確認するというのは、大変おもしろい作業である。次の準決勝ワウリンカ戦でも、ぜひとも今日のような素晴らしいショットを続けてほしい。そしていよいよ見えてきたグランドスラム優勝という栄冠。もちろんそこに至る道はまだ険しいが、ぜひ輝く頂点を目指し、勝利を勝ち取って欲しいと願っている。我々はそんな錦織の挑戦と歴史的瞬間を、WOWOW での生放送で目撃し、そして SlamTracker というデータ分析ツールを用いて彼の一挙手一投足を見守ろう。あと2試合、がんばれ錦織!

 


 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

科研費に採択された研究者に絶対おすすめのクラウドサービス2選

科研費採択おめでとう さて、いよいよ4月の新学期が始まった。多くの大学では、新型コロナウィルス感染

記事を読む

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が3年ぶりのフル開催となった。じ

記事を読む

さらに充実した国語辞典を|中型の岩波『広辞苑』と三省堂『大辞林』が大幅改訂

さて、卒業・入学のシーズンがやってきた。そして、そんな季節の定番の贈り物といえば、もちろん国語辞典で

記事を読む

将棋竜王戦ランキング戦決勝|杉本八段と藤井七段の師弟対決が素晴らしかった

前回、「藤井聡太七段が先勝|現役最強棋士・渡辺棋聖とのタイトル戦」でも書いたように、いま将棋がむちゃ

記事を読む

熱い将棋の夏|初企画オールスター東西対抗戦のファン投票始まる

近年の将棋界はいろいろと攻めていると思う。藤井聡太二冠のような400年に一度のスーパースター登場に依

記事を読む

日本代表はなぜ負け続けるのか|サッカー・データ革命はどこに?

サッカー・ロシアW杯出場を賭けたアジア最終予選が始まった。と思った矢先に、対UAE戦にホームで敗れる

記事を読む

[TEDトーク]教科書になるプレゼン|吃音のミュージシャンが語る私の言葉

NHK Eテレで放送されている「スーパープレゼンテーション」をご覧になっている人も多いことだろう。そ

記事を読む

WOWOWドラマだけが圧倒的に面白い理由|視聴者こそがスポンサー

現代ビジネスの記事「真田丸、沈まぬ太陽…NHKとWOWOWだけが圧倒的に面白い理由」を大変興味深く読

記事を読む

今年買って本当に良かったモノ:暮らしを豊かにするホーム・アイテム5選

先日の「今年買って本当に良かったモノ:仕事の生産性を高めるオフィス・アイテム7選」に続いて、ホーム編

記事を読む

[NHK今夜再放送]伝説のチェスプレーヤー・ボビーフィッシャーの闘い

先日は、最強の将棋棋士・羽生善治が、チェスの元世界王者ガルリ・カスパロフとハンデ無しの勝負をして大き

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑