*

グランドスラム初優勝を目指す錦織圭のテニスをデータ観戦しよう

公開日: : 最終更新日:2017/07/03 オススメ, スポーツ

さあ、いよいよ注目の一戦が始まるぞ。2017年の全豪オープンテニス4回戦で、錦織圭がロジャー・フェデラーと対戦する大一番。グランドスラム初優勝を目指す錦織にとって必ず倒さなくてはならない相手フェデラーは、幼い頃からのあこがれの存在でもある。しかし今や世界ランキングでは錦織の方が上をいく。フェデラーを倒し、世代交代をはっきりとさせ、そして彼に引退を決意させるくらいの心づもりで戦うのではないだろうか。それくらい目が離せない大勝負なのである。

 

wowow-tennis-australia-2017

 

 

さて、そんな名勝負の予感がするこの一戦をより面白く観戦するためのツールが、IBM が開発したデータ分析ソフトウェア SlamTracker なのである。以前に次のようにおすすめしたものでもあり、既に利用している人も多いことだろう。

 

これは本当にすぐれもののツールなので、これからはテレビで試合観戦しながら、手元の iPad でデータをそのつど確認する、という楽しみ方がより広まっていくことだろう。さてそれでは、この SlamTracker を使って、これまでの錦織とフェデラーの勝ち上がり方を振り返ってみよう。まずは以下の一覧に、両者の3回戦までの成績がまとめられているので、ざっとご覧頂きたい。

 

nishikori-federer

 

 

この数字だけを見ても、フェデラーの好調さがうかがえる。例えば、初戦でフルセットにもつれこんだ錦織が、これまで合計108ゲームを戦ってきたのに対し、フェデラーはそれより10%少ない99ゲームで勝ち上がってきた。年齢からくる衰えをカバーするかのような、体力を温存する理想的なゲーム運びができていることを裏付けている。

 

それよりも注目すべきなのは、ウィナーの本数だ。錦織よりも10%少ないゲーム数にも関わらず、ウィナーは錦織よりも10%多いのだ。さらにエースの数は、錦織の18に対し44と圧倒しており、これまでのフェデラーの戦いぶりを観戦した人なら分かるように、まさに絶好調といった様子なのである。それが顕著だったのが、フェデラーの3回戦、第10シードのベルディハをたった1時間半で破った一戦だろう。以下のようにスポーツ各局各誌が絶賛したように、その圧倒的に美しい強さは、まさにフェデラーの全盛期を髣髴させるものだったのである。

 

米放送局「ESPN」電子版は「往年のフェデラーが戻ってきた、そして以前よりも良化した」と、フェデラーが見せた圧巻の戦いぶりを称賛。ベルディハ戦で見せたハーフボレーやバックハンドを「クラシカル」と表現し、「昔ながらの、猫のような素早さだった」と膝の手術から復活した35歳のプレーを称えている。

 

 

そんな完全復活したフェデラーに対し、錦織にとっては何が武器となるのだろうか?上の一覧表を見る限り、すぐには見当たらない。何しろ数字が上回っているように見える指標も、単純に錦織の方が戦ってきたゲーム数が多いことによるものだったりするのだから。そんななかにあっても、ファースト・サーブの確率と、リターンゲームを取った本数は、割合からみても錦織がフェデラーを上回っている。

 

実際にマイケル・チャンコーチも、対フェデラー戦を前に「まずはいい第1サーブを入れること」と語っており、そのサーブの出来が注目される。加えて、チャンコーチが「圭の特長の1つはリターンのよさ。いいリターンからポイントを取ってブレイクにつなげたい」とコメントするように、錦織が得意とするリターンゲームの成否が勝負の行方を左右することが予想される。そしてもう一つ(もしくは最大)の見どころとして、フェデラーの強烈な片手バックハンドと、錦織の負けず劣らず正確な両手バックハンドのラリーからも目が離せない。いずれにしろ両者にとって今後のキャリアを左右する大一番となることは間違いない。絶対に見逃せない一戦が、いま始まる。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

puma

スポーツの統計学|データ・サイエンティストたちのゲーム分析

スポーツ界に広がるデータ革命 これまで何度か書いてきたように、スポーツとデータというのはとても相性

記事を読む

日本のクラフトビール革命|ヤッホーブルーイング自慢のIPA「インドの青鬼」がクセになるほど美味い!

日本でも始まったクラフトビール革命 この夏、日本ではますますクラフトビールを飲む人が増えているよう

記事を読む

データで考える|史上最高の女子テニスプレイヤーは誰だ?

「データで考える|史上最高の男子テニスプレイヤーは誰だ?」で紹介したように、Financial Ti

記事を読む

六本木ウィスキーヒルズに行ってきた。

昨年末、六本木ヒルズで開催されたイベント「Whisky Hills」に行ってきた。なにしろ「マッサン

記事を読む

新潟を代表する日本酒・朝日酒造「久保田」の萬寿/翠寿/紅寿/千寿をとことん味わう

ご存じのように、新潟は日本を代表する酒の産地であり、米と水の美味さが相まって「端麗辛口」と呼ばれる味

記事を読む

科研費およびその他の研究費管理には、クラウド会計がびっくりするほど超便利

さて先日は、今年度の科研費採択プロジェクトが通達された。経済学をはじめとする社会科学系の分野でもそれ

記事を読む

錦織圭の全豪オープンテニス準々決勝|対ジョコビッチ戦の敗戦をデータで振り返る

先日「錦織圭の全豪オープンテニスをデータ観戦しながら応援しよう|IBMのSLAMTRACKERが面白

記事を読む

欧州サッカー「データ革命」|スポーツを科学する最前線ドイツからの現地レポート

先日書いた「錦織圭の全豪オープンテニスをデータ観戦しながら応援しよう|IBMのSLAMTRACKER

記事を読む

Evernote と連携した富士通 ScanSnap(スキャンスナップ)がスゴイ:保存すべき紙資料が激減した

昨年着任して以来、少しずつ研究室の設備を充実させてきたのだが、その中でのベスト・アイテムが、最近購入

記事を読む

データとマネジメントとストラテジー|ドイツ・サッカー復活の道のり

昨年のサッカー・ワールドカップ。開催国ブラジルを7-1という大差で沈め、決勝でも強豪アルゼンチンを倒

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

2017年のベストセラー書籍トップ25冊

2017年も残すところあとわずか。それでは今年も本ブログを通じてのベス

Amazon.com の勢いが止まらない|サイバーマンデーで過去最高売上を記録

株価上昇が続くアメリカ経済の中でも、Amazon.com の勢いはひと

あの伝説の一戦「3連勝4連敗」から9年|羽生善治・永世七冠誕生

2017年12月5日、長い将棋の歴史に新たな偉業が刻まれた。羽生善治が

【Kindleセール】おすすめ高価格ノンフィクションが半額キャンペーン

現在実施中の 【50%OFF】日経BP社キャンペーンでは、経済書からサ

スコット・ジュレク『EAT & RUN』は、世界各地を走り尽くし、食べ尽くし、そして語り尽くした名著

ベストセラー『EAT & RUN 100マイルを走る僕の旅』は

人はなぜ走るのか?を問う『Born to Run~走るために生まれた』は、米国ランナーのバイブル

米国で異例のベストセラーとなり、何度目かのランニング・ブームを引き起こ

japanese igo
囲碁タイトル7冠同時制覇|井山裕太と師匠・石井邦生が創りだした盤上の宇宙・独創の一手

すごいな、井山裕太。大きなニュースとなったことで、囲碁ファン以外にも伝

ゾクゾクするほどコワい人間のココロ|「怖い絵展」にもう行きましたか?

アートファン待望の「怖い絵展」が、いよいよ上野の森美術館で始まった。既

PAGE TOP ↑