おすすめ漫画『乙嫁語り』最新巻と中央アジアの遊牧民たち
漫画『乙嫁語り』の最新第7巻が登場!これは以前に「おすすめKindleコミック『乙嫁語り』は2014年のマンガ大賞受賞作」でも書いたように、中央アジアの遊牧民を主役に据えたストーリー。その秀逸な着眼点と、ユニークな物語、そして精緻な描写が築きあげる漫画の世界観が実に素晴らしいのである。いまイチオシのコミックと言えるだろう。
ただ、中央アジアって一体どこ?という方には、作者がマンガ大賞受賞メッセージ に寄せた以下のイラストが参考になるだろう。具体的には、カザフスタン、キリギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタンの5ヶ国を指すことが多い。余り馴染みのないこれらの国だが、サッカー日本代表がワールドカップ予選でカザフやウズベクと戦った際などで、メディアで見聞きしたことを思い出す人も多いのではないだろうか。
さて本学では、「あらためて国際大学(IUJ)の紹介:留学生の出身国」でも紹介したように、実はこれら中央アジアの国々からの政府派遣留学生が結構な数を占めているのである。そんな彼らにこの漫画『乙嫁語り』の絵を見てもらったところ、かなり忠実に再現しているというコメントだったのも、以前に紹介したとおりだ。
彼らの現代の暮らしはもちろん漫画とは全く異なるモダンな都市型のものである。それでもなお、この地域で遊牧という暮らし方が長年続けられてきたこと、そして彼ら自身がその末裔であるということに、とても印象深いものを感じるのだ。
日本においても過去に何度かのシルクロード・ブームがあったが、この中央アジア一体は、その東西交易で栄えた数多くのオアシス都市を有し繁栄したわりには、日本人にはまだ馴染みが薄い地域と言わざるをえない。しかし、この地の歴史と地理を学ぶたびに、これほどまでに魅力あふれた地域なのかと思うのもまた事実なのである。そんな風に僕が感じるようになった最初のきっかけが、この漫画『乙嫁語り』であり、そしてそれを後押ししたのが本学の留学生から学んだ彼の地の文化や伝統なのである。中央アジアにぜひとも行ってみたいと思う。

credit: Iman Fattah via FindCC
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