誰も教えてくれない、科研費に採択されるコツを公開|研究費獲得に向けた戦略的視点
また今年も科学研究費助成事業(科研費)の締切が近づいてきた。今月から来月にかけては、日本にいる数多くの研究者が申請書の作成・修正に相当の時間をかけることになるのだろう。僕は幸いにして昨年度採択されたので、今年はその時間をかけなくてもよく大変助かっている。
ご存知の通り、この科研費申請書は、きっちりした書式が設定されており、その項目をきっちり埋めていく形で作成する。しかし、ただその要求に応えるだけでは当然採択にまでは程遠い。山と積まれた申請書の中から、自分の研究を面白いと思ってもらわねば採択には至らず、短時間で自身の研究の面白さを伝えるには、それだけの準備をしなくてはならないのである。
photo credit: bookgrl via photopin cc
そんな風に僕自身も大変苦労しながら申請書を書いていたのだが、そのときに最も参考になったのがこの一冊、その名もズバリ『科研費獲得の方法とコツ』である。僕はこの前の版から愛読しているのだが、はっきり言ってこれだけ生々しい実際の申請書を実例に、成功例と失敗例の分析、そして成功に必要な戦略的視点を解説してくれるガイドブックなぞ、これしか存在しないのだ。
本書の素晴らしさが次第に認知されるようになってきたようで、版を重ねて出版される他、毎年科研費の締切時期になると一斉に本屋から姿を消すという風物詩にまでなっている。というわけで、今年の申請を準備している人は、売切れになる前に入手しておいた方がよいと思う。これを読まずして提出するなんて、地図も持たずに冒険に出かけるようなものだから。研究者にとって絶対必携のマスト・アイテムなのである。
研究者必携の大ベストセラー! ! 申請書の書き方を中心に,科研費の応募から採択・不採択後の対応まで,気をつけるべきポイントやノウハウを徹底解説!今版では,平成29年(2017年)9月の公募から導入される新しい研究計画調書(申請書)の様式,審査のしくみ,審査方式をわかりやすく解説。「科研費改革2018で何が変わる?」,「小・中・大区分って何?」,「若手研究(A)が無くなる?」など。もちろん,これまでにご好評をいただいていた応募戦略,申請書の書き方,採択・不採択後の対応など,門外不出のノウハウも丁寧に説明しています。
そんな素晴らしい一冊を上梓した著者・児島将康氏が今年の申請書提出締切に合わせるかのように出版したのが、こちらの『科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック』である。僕自身は今年の提出がないためまだ内容は確認していないのだけれども、もはや研究者のバイブルとなった『科研費獲得の方法とコツ』の著者なわけだから、こちらも優れたハンドブックになっていると期待している。本書も今のうちに入手しておかないと、締切直前で売切れ続出となるのではないだろうか。
とりあえず申請書を書いてみたけれど…。「書き方」の疑問や悩み誤解や思い込みを解消!数多くの申請書を見てきた著者が実例78caseに珠玉のアドバイスを詰め込みました。ベストセラー「科研費獲得の方法とコツ」の実践編!
というように、日本の研究者にとって一大イベントである、科研費の申請書作成。上記2冊の著者が解説する「最新データで読み解く!科研費申請の傾向と対策」も大いに参考になるので、現在申請書をまとめている人にはぜひおすすめしておきたい。
Amazon Campaign
関連記事
-
2020年の夏は2つのバンクシー展が開催
以前に「オークション落札のバンクシー作品をシュレッダーで刻むという現代アート」と紹介したように、常に
-
Kindle電子書籍で安く読める、経済学および統計学の教科書
電子書籍の普及がますます加速しているが、大学や大学院で使う教科書はまだまだ電子化が遅れている。しかし
-
町山智浩最新作『言霊USA2016』は、シリーズ最高の現代アメリカ社会批評だ
以前に、「町山智浩『知ってても偉くないUSA語録』は秀逸な現代アメリカ社会批評」と絶賛したように、町
-
国語辞典業界最大の謎がいま明らかにされる|辞書になった男ケンボー先生と山田先生
近年まれにみるほどの傑作ノンフィクション『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』が、待望の文庫化・
-
グラデーションマップで類似英単語を効果的に使い分ける
評判のよい英単語帳を新たに買って読んでみた。そしたらこれが期待以上によかったので紹介しておきたい。そ
-
稲垣栄洋の植物論と生き物の死にざま
稲垣栄洋の植物論は大変におもしろい。例えば、『雑草はなぜそこに生えているのか』であれば、そもそも書名
-
西水美恵子著『国をつくるという仕事』が称賛する、ブータン国王のリーダーシップ
ブータン訪問記の続き。 ちょっとブータンまで行ってきた。 ブータンではみんな王室と国王と
-
将棋棋士初の栄冠|『Number MVP賞』は 藤井聡太二冠に決定
先日は以下のエントリでも書いたように、2020年は間違いなく藤井聡太の一年でもあり、将棋棋士がアスリ
-
華麗な舞台の裏にあるプロテニス選手の過酷な生活|ランキングシステムが生んだ世界的超格差社会
2018年の全豪オープンテニスがフェデラーの優勝で幕を閉じた。自身が持つ四大大会最多優勝記録を20勝
-
学会@台北と、羽田空港-松山空港の圧倒的な便利さ
先日は、Asian Meeting of the Econometric Society にて研究報