【応募書類受付中】NASAが宇宙飛行士を新規募集|火星に行く大チャンス
もうご存知と思うが、アメリカの National Aeronautics and Space Administration (NASA) が、新たな宇宙飛行士の募集を始めた。応募書類はアメリカ時間の12月14日から受付開始で、2月には締切られるので興味がある方は早めの応募を!
ただ、US Citizenship が必要なのである、残念!それ以外の条件はと言えば、まず年齢制限はなし。学位は Engineering, Biological Science, Physical Science, Computer Science, or Mathematics の分野を専攻。それに加え、飛行経験は必要なしとのことだが、either 3 years of professional related experience, or 1,000 hours of pilot-in-command time in jet aircraft が不可欠とのこと。というわけで、当たり前だが、経済学を勉強した日本人にはまったくもって縁のないお話なのである。ちなみに、宇宙飛行士の年収は、from $66,026 to $144,566 ということで、おおよそ 800-1,700万円くらいのようです。
しかし自分にまったく縁のない話でも、ついつい興味を持ってしまうのが、「若きテクノロジストのアメリカ」にも書いた通り、この宇宙飛行士という、そして宇宙探査に関わるという、いまも少年の心をワクワクさせる職業なのではないだろうか。
さてそんな宇宙飛行士になるのは、当然のこと競争倍率が極めて高い厳しい選考過程を勝ち抜かねばならない。今回のNASAのケースで言えば、来年2月で募集が締め切られた後は、数段階の選考試験を経て、最終的に宇宙飛行士が決まるのが 2017年5月という長丁場なのである。そのプロセスではいったいどのような体力測定や試験をしているのか、部外者のわれわれは知る由もない、わけでもないのが現代だろう。まず最初に思い浮かべる人が多いのが、宇宙飛行士を主役に据えた傑作漫画『宇宙兄弟』。その冒頭では、宇宙飛行士に選ばれるための過酷なテストの様子が細かく描写されており、「えっ、本当にこんなことやってるの?」と驚いた人も多いことだろう。
しかし『宇宙兄弟』でリアルに描かれた選考試験、本当にやってるんです。というのを教えてくれたのがこの一冊『ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験』だった。当時のNHK放送を見逃してしまったのが残念でならないが、本書はそのリアルな選考の様を正確に伝えてくれる素晴らしい一冊。今なら光文社新書50%OFFキャンペーンでお買い得。
2008年2月、日本で10年ぶりとなる宇宙飛行士の募集が、日本の宇宙研究・開発を担うJAXAによって発表された。応募総数は史上最多。そして、選抜試験自体も最難関で熾烈を極めるものとなった。本書は、この選抜試験の取材を日本で初めて許され、さらに候補者10人に絞られた最終試験では一部始終に密着することに成功した、NHKの番組スタッフによるドキュメンタリー。その10人がおかれた閉鎖環境という特殊な状況下で、彼らは何を考え、語り、行動したのかをつぶさに追ってゆく。宇宙という極限の環境において自らの命を賭け、かつ他の乗組員の命をも預かる宇宙飛行士とはどういう職業なのか。その資質と人間力に迫る。
続いておすすめしたいのが、そんなちょっと特殊な、一風変わった選考試験を通じて、いったいぜんたい候補者のどのような適性を見ているのかを、テストする側から解説した一冊である。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)に勤める職員が現したこの『宇宙飛行士の採用基準』は、宇宙飛行士が備えるべきリーダーシップ、ストレス耐性やリスクマネジメント、そして決断する力等、宇宙空間という極限の状態でプロジェクトを遂行するために必要なスキルを説明する。「Kindle電子書籍でエキサイティングに読もう、今あらためて宇宙論がおもしろい」でも紹介したものであり、なるほどと大変面白く読んだ一冊だ。
もう一冊は、今週発売予定と実にタイムリーに上梓された『宇宙飛行士という仕事』。こちらも JAXA に勤める著者が、選抜試験の事務局トップを任された経験を開陳するものとなっているようで、出版後はぜひ読んでみたいと思わせる一冊である。
そして最後に、忘れてはならないのが宇宙飛行士たちの視点である。厳しい選考試験を勝ち抜き、そして実際に宇宙へと旅立っていった飛行士たち。彼らが向こうの地で経験したことは決して宇宙空間の中だけで通じるものではなく、むしろ地球上でもそして普通の人の普通の暮らしの中でも役立つことなのかも知れない。そう思わせてくれるのが、宇宙飛行士・古川聡のこの一冊。
あらゆる極限状態におけるストレスに耐え、職務を全うする究極の職業が「宇宙飛行士」です。宇宙飛行士という職業は特殊なものかもしれませんが、そこで学んだことは「様々なストレスにどう対応するか」「目的の達成に向けて何をすべきか」「良い人間関係を作るためにはどうすればいいのか」「想定外の事態にどう対応すべきか」など、人生に共通の課題です。ぜひあなたの身の回りのことに置き換えながら、本書を読んでみてください。今は社会も想定外の連続ですが、宇宙飛行士の「心の鍛え方」は今の社会を生き抜くという困難なミッションの遂行にもきっと役立つはずです。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
岸田奈美のエッセイが好きだ
普段は見ていなくとも、12月6日の「サンデーステーション(テレビ朝日)」だけは見た方がよいかも、そう
-
-
アメリカ地方自治体の分断:富裕層による独立運動
先日のNHKクローズアップ現代を興味深く視た。「“独立”する富裕層 ~アメリカ 深まる社会の分断~」
-
-
「もっとヘンな論文」がついに登場|アカデミック・エンターテインメントの最高峰
NHK Eテレの番組「ろんぶ~ん」をご存知だろうか?ロンブー淳が司会を務める、アカデミック・エンター
-
-
現代アメリカ社会の象徴:メガチャーチの誕生と新たなコミュニティの創造
毎年クリスマスを迎えるたびに思い出すことがある。それは若い頃の甘酸っぱいデートの記憶、ではもちろんな
-
-
「お茶」が教えてくれる日々のしあわせ
10/13(土) から上映が始まった『日日是好日』。樹木希林の遺作となったこの映画、もちろん僕も見に
-
-
2015年ことしのベストセラー|電子書籍編
さて2015年も残りわずか。ということで今年も、本ブログ経由でよく読まれた本をランキングしてみよう(
-
-
箱根駅伝「幻の区間賞」と関東学連チーム出場の是非
来年もまた正月から箱根駅伝にくぎ付けとなってしまう、そんな人も多くいることだろう。二日間に渡るこれだ
-
-
アメリカ連邦最高裁判事9人<ザ・ナイン>が歴史をつくる「この国のかたち」
米連邦最高裁判事ギンズバーグの死去とその後任選びで、目前に控える米国大統領選挙がさらに混沌としてきた
-
-
TSUTAYA運営の市立図書館に続き、今度は学習塾ノウハウを公教育に導入:いま話題の佐賀県武雄市に行ってきた
佐賀県武雄市がまた新しい取り組みを始めたようだ。 (NHKニュース)佐賀県武雄市は、来年の春から公
-
-
正月の風物詩・箱根駅伝が今年もおもしろい
新年明けましておめでとうございます。新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、ステイホームの継続と静かな