南魚沼の「雪国まいたけ」が5年ぶりに再上場|その背景で創業者はなんとカナダで再挑戦
新潟県南魚沼に本社を構える企業でもっとも有名なのが、この「雪国まいたけ」ではないだろうか? みなさんもよくスーパーで買ってますよね。関越自動車道を六日町で下りてすぐに見えるビルが本社であり、なんとこんな所にあったのね、という感想を抱くはずだ。
さてこの「雪国まいたけ」だが、創業者の圧倒的な情熱と技術で、全国でもナンバーワンのまいたけ会社となったのだが、その後の紆余曲折は、新聞等で報じられていたとおりだ。2015年にベインキャピタルがTOBを実施して非上場化するなど、こんな田舎の企業に似つかわしくないほどの株式争奪戦と経営対立が生じていたのである。
(2020/8/17 日経新聞)雪国まいたけ(新潟県南魚沼市)が9月17日にも東京証券取引所に再上場することが決まった。2015年6月の上場廃止から約5年ぶりとなる。コメ卸最大手の神明ホールディングス(神戸市)の子会社として、まいたけを中心にキノコ事業を強化する。
14日に東証から上場承認を得た。市場は1部または2部。同社株を51%保有する米投資ファンドのベインキャピタルが、保有株を売り出す。株式の一部は、現在49%の株式を保有する神明が引き受ける予定。雪国まいたけは、神明の連結子会社となる見込みだ。
雪国まいたけは00年3月に東証2部に上場。過去の不適切会計や創業家と経営陣との対立で経営が混乱し、15年にベインがTOB(株式公開買い付け)を実施し、15年6月に非上場化した。16年3月期の売上高にあたる売上収益は265億円だった。
ベインと、17年に株式を49%取得した神明のもとでキノコの生産・販売を拡大してきた。20年3月期の売上収益は345億円で、まいたけ事業が198億円を占める。同社によると、まいたけの生産量は業界首位だという。
再上場後は、国内でのシェア拡大や海外への本格輸出にも力を入れる。神明のネットワークを活用し、西日本での販路拡大に取り組むなど、連携をさらに強化していく。
このようにして、旨くて安いマイタケだけでなく、マネーがらみの話題まで各家庭に提供した「雪国まいたけ」だが、これまでの躍進と今回の経営対立について関連記事をまとめておくと以下のとおりだ。
- 風雲!きのこ三国志 ~夢のキノコで覇権を握れ~(日経スペシャル「ガイアの夜明け」)
- “信越キノコ戦争”の果て… 「雪国まいたけ」の不正経理問題(産経新聞)
- 内紛の雪国まいたけ創業者が激白「私はキノコと会話できる」(週刊ポスト)
結果的に、創業者は会社を追われる形となるのだが、その後どうしているのか、なんて想像もしていなかったよ。なにしろ既に高齢である、もう余生を過ごしていてもおかしくないではないか。それなのに!まさか!いまカナダでもう一度まいたけ事業をやっていたなんて! というか、世界のMAITAKEにしようと新たな野望を抱いていたなんて!
という、もう驚きを越えるほどの衝撃を受けたのが今日、「雪国まいたけ」が再上場した2020年9月17日だったのである。本日の週刊文春記事「再上場した「雪国まいたけ」創業者が、カナダで大復活を遂げていた!『MAITAKE』を世界の共通語に」は必読だと思う。まいたけ好きな主婦はもちろん、起業や投資に関心があるビジネスパーソンまで。そしてもちろん、人生100年時代に突入し、生涯現役という新たな人生戦略ライフシフトを考えねばならない、僕らすべてにとって。
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