*

Kindle電子書籍でわくわく読む、角川書店の初心者向け数学シリーズ

公開日: : 最終更新日:2015/06/16 Kindle, オススメ書籍

今年はますます電子書籍市場の拡大に拍車がかかりそうだ。「2018年には米国と英国で紙書籍を追い抜くか」と報道されているが、ひょっとすると日本でも予想以上に早く、紙書籍の市場に迫る日が近いのかも知れない。

 

そんな日本市場の特徴は、「電子コミックの時代がやってきた:『ナナのリテラシー』が描く漫画業界のビジネスモデル革命」に書いたように、コミックの電子化が急速に進んでいることだろう。漫画という超強力コンテンツが、電子書籍化との相性がよかったこともあり、ものすごい勢いで市場が拡大しているのは上記事内のグラフが示すとおりだ。

 

だが、漫画が一足先に軌道にのせた電子書籍ではあったが、ここ最近は一般書の参入も相次いでいる。その一つの象徴が岩波書店。どちらかというと電子化に遅れていた同社だが、「岩波書店がAmazonで電子書籍Kindle版を配信開始:おすすめは『日本人の英語』」でも紹介したように、昨年末にはいよいよ岩波書店がKindleに大量のコンテンツ配信を開始した。

 

今ではご覧のように、赤いカバーでお馴染みの岩波新書の数々から、岩波文庫の古典的名作までが、ずらりと並んでいる。

 

kindle-iwanami-shinsho

 

 

kindle-iwanami-bunko

 

 

さて、こうした岩波書店のように、電子化に消極的だった出版社もついに重い腰を上げる一方で、元々フットワークが軽かった出版社はますます電子化に力を入れているように見える。その顕著な例が、角川書店だろう。ドワンゴと経営統合し、より一層デジタルコンテンツに注力していくであろう同社だが、Kindle書籍の展開は昨年からさらに加速し、続々と新たな電子書籍を投入している。

 

kindle-kadokawa-sale-1502

 

 

そんな角川のKindle電子書籍の中で個人的におすすめしたいのが数学関連書である。具体的には、小島寛之の『数学入門』シリーズ三部作や瀬山士郎の『読む数学』シリーズ、さらには矢野健太郎から吉永良正まで、KADOKAWAには実に名作が多いのである。

 

とくに多作の小島作品の中にあっても、『無限を読みとく』はずば抜けて著者の熱量が多く、イチオシの一冊。それだけ熱い筆致となっているのは、実はこれが氏のデビュー作であるからなのだ。無限、存在、矛盾、パラドクス。そういう数学の魅力のひとつひとつを知って欲しい、そういう著者の願いが詰まりに詰まった名作となっている本書は、ぜひ数学が今までニガテだったという人にこそ読んで欲しいものだろう。まずはこの『無限を読みとく』だけでも、そんな数学の面白さを垣間見ることが出来る一冊となっているのだ。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる「作者の意図は?」といった問い

記事を読む

町山智浩『知ってても偉くないUSA語録』は秀逸な現代アメリカ社会批評

映画評論家の町山智浩をご存知だろうか?そして、彼の秀逸な現代アメリカ観察記をご存知だろうか?そんな週

記事を読む

【再掲】今年の3月14日は世紀に一度のパイの日だった

すでにご存知の通り、3月14日といえばホワイトデー、ではなくて「パイの日」と答えるのが大正解である。

記事を読む

most popular sport in the U.S. is NFL

世界で最も成功したスポーツビジネス:アメフトNFLとスーパーボウル

米国で最も盛り上がるスポーツイベントと言えば、アメフトのスーパーボウル。個人的にはいまだにアメフトの

記事を読む

国語辞典ベストセラーランキングに見る人気辞書|中学生以上は新明解、小学生はドラえもんかチャレンジか

国語辞典というのは大変におもしろい。実に個性豊かであるにも関わらず、その特徴は必ずしもきちんと伝わっ

記事を読む

chess board

米ソ冷戦に翻弄された天才チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの生涯

日曜日夜にNHK-BSで放送された「天才ボビー・フィッシャーの闘い~チェス盤上の米ソ冷戦~」をとても

記事を読む

できる研究者の英語プレゼン術|スライド作成からストーリー展開まで

以前に紹介した、ポール・シルヴィア著の『できる研究者の論文生産術』は素晴らしい一冊である。著者は20

記事を読む

岸田奈美のエッセイが好きだ

普段は見ていなくとも、12月6日の「サンデーステーション(テレビ朝日)」だけは見た方がよいかも、そう

記事を読む

行動経済学者ダン・アリエリー|お金と感情と意思決定の白熱教室

NHK『お金と感情と意思決定の白熱教室』再放送決定 先日放送されたNHK『数学ミステリー白熱教室』

記事を読む

ヒマラヤ山脈でイエティの足跡を発見|雪男は向こうからやって来た

ヒマラヤ山中で伝説の雪男「イエティ」の足跡を発見したと、インド軍が公式ツイッターに写真つきで投稿した

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑