国民栄誉賞受賞|将棋永世7冠羽生善治と囲碁7冠井山裕太
公開日:
:
ニュース
将棋と囲碁という伝統ある世界において、大きなニュースとなったのが、長い将棋の歴史の中で初の永世7冠を達成した羽生善治と、こちらも長い長い歴史がある囲碁で初めて7冠独占を2回も成し遂げた井山裕太の偉業だろう。そんな二人に国民栄誉賞が授与されたことに、何ら異論はないだろう。
僕自身、将棋も囲碁も、見るのも好きだし指すのも好きであり、とくにこの二人からはずっと目が離せないでいた。以前にも「あの伝説の一戦「3連勝4連敗」から9年|羽生善治・永世七冠誕生」と書いたように、羽生の勝負はいつも魅力的だ。そしてまた若き囲碁棋士・井山裕太についても、「囲碁タイトル7冠同時制覇|井山裕太と師匠・石井邦生が創りだした盤上の宇宙・独創の一手」で書いたように、実にユニークな方法で鍛えられてきたと感嘆するばかりだ。
photo credit: Ken Reppart via photopin cc
そんな二人が国民栄誉賞という大きな賞を受け、今後ますます将棋界・囲碁界が盛り上がってくることを期待したい。とくに将棋界では、AI将棋の圧倒的な進化と、一方では藤井聡太のような若き天才が現れ、実に話題も豊富で華やかだ。一方の囲碁界では、将棋よりもずっと世界的なゲームであり裾野の広さを特長とする一方で、日本人棋士がなかなか世界レベルで勝てない状況が続いている。そしてもちろん、囲碁界でもAIの発展はすさまじく日進月歩で進化し続けている。
そんな魅力的な将棋と囲碁の世界を、これまた実にエキサイティングな時代に楽しめることを喜びたいし、ぜひ今後とも応援し続けたいと個人的に思っているところだ。ちなみに、羽生善治のこれまでの圧倒的な活躍を振り返るならば、この『羽生善治 闘う頭脳』が最高に素晴らしい一冊だ。
また、羽生本人による名著が多い中、まずは一冊選ぶならこの『決断力』がいいだろう。羽生が何を考え、何を思い、どう決断してきたのか、その思考回路を解説する本書はじつに興味深く、将棋ファンはもちろん、そうでない人にとっても大変参考になる一冊だ。天才と呼ばれ続けたその人の頭脳を垣間見ることができる、貴重な機会となるはずだ。
また、今の将棋界における最大のトピック人工知能について知るならばこの一冊が素晴らしい。なにしろ現在最高の人工知能であるポナンザの開発者が自らその過程を語っているのである、これが面白くないはずないのだ。出版されたすぐに読んだけど、めちゃくちゃ興奮する一冊としてぜひ強くおすすめします。
若き囲碁棋士・井山裕太には確かに羽生善治ほどの著書はまだない。しかし昨年出版されたばかりの本人による著書『勝ちきる頭脳』では彼の考えを知ることができるし、またとくにおすすめしたいのが、井山の師匠・石井邦生による一冊だ。先にも述べたように、大変ユニークな育て方をしたのがこの石井であり、だからこそ今の井山があるのかと思うと、伸び伸びとした囲碁を指すよう自由に育てた背景にあらためて思いを強くするのである。天才が生まれるその裏には、当然その天才を育てる名師匠がいるわけであり、そんな二人の絆を感じることができる名著としてこちらもおすすめしたい。
Amazon Campaign
関連記事
-
なぜ日本の新幹線は世界最高なのか?定刻発車と参勤交代
"Why Japan's high-speed trains are so good" というEco
-
藤井聡太七段が先勝|現役最強棋士・渡辺棋聖とのタイトル戦
さあ、いよいよ「将棋史に残る決戦」が始まりましたね。そう、弱冠17歳の若き天才棋士・藤井聡太七段。す
-
ゲイツ財団と世界の貧困に関する3つの誤解
今年もビル&メリンダ・ゲイツ財団の年次書簡が発表される時期がやってきた。「ビル・ゲイツからの手紙と
-
【速報ニュース】電子書籍読み放題 Kindle Unlimited ついにサービス開始|さっそく利用してみた
米国では数年前から始まっていた Kindle Unlimited がいよいよ日本でもサービス開始とな
-
最強のトイレがアメリカに上陸。一方の日本では「トイレとうんち」展が大人気
僕はトイレに並々ならぬ関心を持っている。本当に。だから、国連が「11月19日は世界トイレの日」と定め
-
ニューヨーク・タイムズが選ぶ、2021年版「愛すべき世界の52か所」
ニューヨーク・タイムズ紙による、年始の恒例特集 "52 Places to Go" だが、コロナ禍に
-
2022年将棋賞金ランキング発表|藤井聡太5冠が1億円超で堂々の首位
将棋連盟から2022年の獲得賞金・対局料ベスト10が発表されましたね。毎年この時期の恒例であり、名
-
パーソナルゲノム時代の医療:米国の予防的手術
本日の Kindle 日替わりセールに『遺伝子医療革命 ―ゲノム科学がわたしたちを変える』が登場。紙
-
廃棄カツ横流し事件でよみがえる『震える牛』と食品・外食産業への不信
先日からニュースで大きく報道されている冷凍カツの横流し事件(NHKニュース「カツ横流しで業者 廃棄食
-
The 2015 Daily chart Advent calendar by The Economist
Economist 誌が毎年行っている恒例の "Daily chart Advent calenda