*

Kindle電子書籍で安く読める、経済学および統計学の教科書

公開日: : 最終更新日:2015/06/16 Kindle, オススメ書籍

電子書籍の普及がますます加速しているが、大学や大学院で使う教科書はまだまだ電子化が遅れている。しかし電子教科書の何がすごいって、厚くて重い教科書をカバンに入れて持ち歩かなくて済むというのももちろん大きなメリットだが、価格面での安さはやはり非常に大きな利点。というわけで、紙書籍の教科書よりもぐっと安い電子書籍版の教科書は今後一気に市場が拡大するのではないだろうか。

 

text_books

 

 

統計学のおすすめ教科書

「今年続けて読みたい統計学オススメ関連書と教科書15冊」でも紹介した、統計学をゼロから学ぶ人におすすめの小島寛之『完全独習 統計学入門』。紙書籍に比べて電子書籍はずっと安い価格設定がされている。

 

続けておすすめしたいのは、初心者に向けて分かりやすく、でもきちんと体系的に解説された藪友良の『入門 実践する統計学』。こちらも電子書籍版は紙書籍と比べて遥かにお買い得。

 

 

経済学のおすすめ教科書

経済学の教科書ではなんといっても、日本の経済政策分析に特徴のある八田達夫『ミクロ経済学―市場の失敗と政府の失敗への対策』が、格安で提供されている。紙書籍なら上下巻で約8,000円もするからこそ、値下げされている電子書籍版を購入するとものすごくお得だ。

 

ミクロ経済学のテキストではもう一冊、ゲーム理論的な視点から書かれた名作『ミクロ経済学 戦略的アプローチ』も、電子書籍版の方がずっと安くなっていてオススメ。

 

 

おもしろ統計学

もちろん教科書だけでなく、一般向け書籍も数多く電子書籍の商品にリストアップされている。例えば統計学の分野なら、『ヤバい統計学』および、それと同じ著者による続刊『ナンバーセンス』。どちらの書籍も、テーマパークや大学ランキングといった身近で具体的な事例が豊富で圧倒的に面白い(参考「『ヤバい統計学』とテーマパーク優先パスの価格付け」および「『ナンバーセンス』で知る、アメリカ大学ランキングの舞台裏」)。

 

さらには、大統領選挙予測からスポーツ選手のパフォーマンス評価まで、今やデータ・サイエンティストと言ったらこの人ネイト・シルバーの大ベストセラー『シグナル&ノイズ』(参考「天才データアナリストのネイト・シルバーと2冊の絵本」)。データ分析に興味があるなら必読の一冊と言えよう。

 

そしてデータと相性がいいのがスポーツ分析だ。このスポーツ統計学という分野においてもはや歴史的名作と言ってもよいのが『マネー・ボール』である。映画化もされたので既に馴染みのある人もいるだろうが、本書が野球のみならずその後のスポーツを大きく変えた。そして、その中でもいま最もデータ活用・分析が進められているのが、サッカーである。「サッカー・データ革命の時代に読んでおくべきこの5冊」でも紹介した一冊『サッカー データ革命:ロングボールは時代遅れか』等で、ぜひデータ最前線を覗いてみて欲しい。

 

 

おもしろ経済学

経済学の一般向け書も数多く揃っている。大ベストセラーとなった『超ヤバい経済学』に加え、その著者らが執筆の背景にある考え方や視点を開陳した『0ベース思考』、さらには先日出版されたばかりの『美貌格差』に『セックスと恋愛の経済学』まで、実に豊富な電子書籍ラインナップだと言えるだろう(参考「ビジンとイケメンと生まれつき不平等の経済学」)。

 

 

行動経済学

行動経済学の名著も電子書籍版ならずっと安く買えるのも注目だろう。「文庫で学ぶ行動経済学」でも紹介した通りだが、まずはノーベル賞受賞のダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』。行動経済学の分野はいま関連書が続々と出版されているが、そもそもカーネマン等が切り拓いた分野なのだから、その著書をしっかり読んでおくのがベスト。

 

そんな行動経済学の分野でいま一般にも人気なのがダン・アリエリー。「行動経済学者ダン・アリエリーの最新TEDトーク」でも書いたように、これまでTEDトークに何度も登場し、心理テストや実験等から分かった人間のクセのある性質や性格を鋭く分析しておもしろおかしく解説する。

 

こうした行動経済学の分析手法として使われる実験を、研究室や実験室に閉じ込めておくことなく、フィールドに持ち出した結果どうなったか?それを解説するのが本書『その問題、経済学で解決できます』だ。保育園での教育効果を測るために、保育園ごと新たに造ってしまうといった発想がすごい(参考「貧困不良少年が経済学のスターになった」)。

 

 

経済格差について

世界的な話題となったピケティの『21世紀の資本』。6,000円もする紙書籍が売れに売れたのもまだ記憶に新しいが、電子書籍なら4,000円強と3割以上も安い。電子の価格破壊はものすごい。

 

『年収は「住むところ」で決まる』は、米国の詳細なデータをもとに、都市間での収入格差が広がっていることを指摘した一冊。「年収を決める “The New Geography of Jobs”」で紹介したように、同じ職業であってもどこで働くかによって年収が著しく異なるこの現状は、アメリカでも政治経済的に大きな議論となっているイシューである。

 

 

というように、Kindle電子書籍では現在、漫画や文庫だけでなく、統計学・経済学の教科書から一般書まで、じつに多種多様の書籍が揃っているの。まだ電子書籍を読んだことがないという方は、そろそろ始めてみてはいかがだろうか。

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

「貧困不良少年」が経済学のスターになった!

という東洋経済オンラインの記事。取り上げているのはハーバード大学経済学部教授のローランド・フライヤー

記事を読む

kuzushi shougi

日本将棋マネーリーグ|今年も賞金ランク首位は豊島将之竜王、藤井二冠は?

先日は毎年恒例の「欧州サッカー・マネーリーグ」が発表され、今年もスペインのFCバルセロナが収入ランキ

記事を読む

30万部突破のベストセラー『英語は3語で伝わります』他に学ぶパワフル動詞の使い方

中山裕木子著の『会話もメールも英語は3語で伝わります』を、とても興味深く読んだ。出版から2年で30万

記事を読む

【おすすめ書籍】ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす恋愛ビッグデータの残酷な現実

アメリカでベストセラーとなった一冊 "Dataclysm" がようやく翻訳出版された。これは人気出会

記事を読む

日本でいちばん売れている国語辞典『新明解』に待望の最新第8版が登場

日本でもっとも売れている国語辞典といえばなんでしょう? それはもう圧倒的に三省堂の『新明解国語辞典』

記事を読む

若き探検作家・角幡唯介の「極夜行」は最悪の旅だからこそ最高のノンフィクション

探検家・角幡唯介のノンフィクション作品を読んだことがある人も多いことだろう。NHKでも特集番組となり

記事を読む

ジョジョの奇妙な英語にまさかの続編ガァァァ|あのクールな台詞はこれで学べ

以前に「ジョジョの奇妙な冒険で英語を勉強するなんて、無駄無駄無駄無駄無駄ですか?」でご紹介した英語テ

記事を読む

2022年将棋賞金ランキング発表|藤井聡太5冠が1億円超で堂々の首位

将棋連盟から2022年の獲得賞金・対局料ベスト10が発表されましたね。毎年この時期の恒例であり、名

記事を読む

東大医学部合格者の6割が通う進学塾|受験エリートと塾歴社会

先日、雑誌AERAの特集を読んだ。「東大理III合格者の6割が所属 受験エリートの“秘密結社”」とい

記事を読む

宗教と科学の壮大な人間ドラマ|漫画『チ。―地球の運動について―』がめちゃくちゃ面白い

第1集が出版されたときから異色の傑作漫画になると思って注目してきた『チ。ー地球の運動についてー』が、

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑