2016年のベストセラー書籍トップ5冊【国語辞典編】
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最終更新日:2016/12/23
オススメ書籍
先日まとめた「2016年のベストセラー書籍トップ10冊【一般書籍】」および【英語編】に続き、本ブログを通じてのベストセラー書籍【国語辞典編】を上位5点紹介しておこう。
第1位 新明解国語辞典
2016年の国語辞典編ベストセラー・トップに輝いたのが、この新明解国語辞典である。「国語辞典を選ぶならこの3冊がおすすめ」で詳しく解説したように、この新明解国語辞典の最大の特徴は、なんといってもその豊かな語釈にある。この辞書の面白さは「赤瀬川原平『新解さんの謎』と『辞書になった男』:いま日本で最も売れている「新明解国語辞典」の誕生秘話」で紹介したように、他の追随を許さない圧倒的・絶対的なものなのである。日本でいま一番売れているにはそれだけの理由がやはりあるのである。
累計売上部数2080万部!日本でいちばん売れている小型国語辞典、七年ぶりの改訂新刊!『新明解国語辞典』は1972年(昭和47年)の初版以来、語釈の充実深化に努め、もっとも信頼できる、現代日本語の意味用法を過不足なく記述した国語辞典として、圧倒的な評価を得てきました。前身の『明解国語辞典』(1943年創刊)から68年。累計販売冊数は、実に2080万部を超え、日本でもっとも多くの読者に愛用されている国語辞典です。『新明解国語』のシャープな語釈・実感あふれる用例は「辞書は、引き写しの結果ではなく、用例蒐集と思索の産物でなくてはならぬ」(初版・序文より)との考えを徹底的に貫き通しています。読者が読めばその違いが一目瞭然の語釈・用例はこの基本姿勢に貫かれ、進化を続けています。
第2位 岩波国語辞典
続くベストセラー第2位は、岩波国語辞典である。「学校で教えて欲しいおすすめ国語辞典の選び方・使い方・遊び方:複数の辞書を比較して使い分けよう」でも強調して解説したように、辞書にはそれぞれ個性がある。上記の新明解国語辞典(通称:新解さん)と、この岩波国語辞典(通称:イワコク)との間には、その語釈にずいぶんと大きな差があるのである。それを確かめるためには、例えば「右」とか「恋愛」といった言葉がそれぞれの辞書でどう定義されているのかを見比べてみるとよいだろう。そこからきっと国語辞典の個性の違いとその面白さに気づくはずだ。
二〇一〇年一一月改定の「常用漢字表」(内閣告示)に即して内容を全面的に見直し、言葉の意味の変遷、類義語との違い、用法上の注意などを細やかに解説。名詞・副詞などの実際の使い方が一目でわかるように新しい語類表示を採用。「さくさく、ざくざく、ざっくり」「ふわふわ、ふわっと、ふわり、ふんわり」…微妙な違いがすっきりわかる。大きな活字で読みやすさ抜群。
第3位 三省堂国語辞典
第3位にランクインのが、この三省堂国語辞典(通称:サンコク)である。「現代語に強い」を売り文句とするこの辞書は、だからこそ常に現代語・新語の収集に積極的であり、他の辞書にはないサンコクならではの個性と魅力となっている。そんな三省堂国語辞典の編集者である飯間浩明の『辞書を編む』は、常日頃からどんなユニークな努力をして新しい言葉を見つけるのか、そのワード・ハンティングの様子がつづられていてとても面白く興味深く読める一冊であり、合わせておすすめしたい。
生きのよい国語辞典『三国(サンコク)』の全面改訂版。カタカナ語から生活のことばまで約4千語を追加。シンプルで平易な語釈によって現代語を活写する。類書にない項目(「スイスロール」等)や最新の知見(新語・新用法の発生・普及年代を示す、「銀ぶら」の民間語源を正す)も満載。話しことばに〔話〕のラベルを新表示。知らないと困る社会常識語約3千2百を新たに選定。
第4位 例解新国語辞典
そして第4位に例解新国語辞典が登場した。中学生向けトップセラーのこの辞書は、大人向けの上記3冊の前に用意しておきたいものだ。ただし、上記3つでも充分中学生が使用できることを考えると、この例解新国語辞典の真のターゲットは、小学校高学年進級祝いから中学入学祝いまで辺りが相応しいのではないだろうか。
平成28年度より使われる教科書を調査し、大型辞典にも載っていない語句・語義を含め増補した、中学生向け国語辞典のトップセラーの最新版。詳しい語釈と表現・参考・注意・敬語・表記・方言欄で説く圧倒的な情報量で、中学受験から高校受験まで協力に支援。新常用漢字表などの国語施策に準拠。5万9千語収録。
第5位 明鏡国語辞典
第5位に明鏡国語辞典というのが個人的にはとてもうれしい。新明解や岩波・三省堂の陰に隠れているこの辞書だが、じつはものすごくエッジの効いたスバラシイ国語辞典なのである。詳しくは「明鏡国語辞典の最大の特徴は「問題な日本語」に対する答え」で書いた通り、この辞書のユニークな視点は「日本語の間違い」の注目していることである。だからこそ、調べるだけではなく、自分で正しく使えるようになるために、極めて実践的なものとなっているのだ。この辞書の編纂者・北原保雄『問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?』を合わせて読むと、この国語辞典が生まれた背景と問題意識がよく分かる。他の辞書とは大きく異なる、だからこそ意義がある、そんな素敵な辞書なのである。
現代日本の言語生活に必要な約7万項目を収録。新しい「常用漢字表」に完全対応し、付録に「常用漢字一覧」を収録。「敬語の指針」に完全対応し、敬語の5分類を導入。誤用と敬語がわかる別冊「明鏡 問題なことば索引」付き。
【改訂の主な特色】
◆言葉の使い方の解説を大幅増補
初版以来『明鏡』が力を入れてきた、言葉の適切な使い方と気をつけたい誤用についての解説を大幅に増補。
◆敬語項目を全面改訂
迷うことの多い敬語のさまざまな問題に対応できるよう、適切な使い方と誤用を徹底解説。「敬語の指針」に対応し、敬語5分類を導入。
◆別冊付録「明鏡 問題なことば索引」
引くごとに日本語の力が身につく画期的な付録、「誤用索引」「敬語索引」「気になることば索引」を新たに収録。
もっと詳しく国語辞典を知るために
というように、上記5冊の国語辞典が2016年のベストセラーとなったわけだが、もちろんこれ以外の辞書も数多く存在し、その個性を競い合っている。つまり、国語辞典とはどれも同じ、では全くないのである。だからこそ、それぞれの特色をきちんと理解し、自分にとってどれが最も相応しいのかを、積極的に選び取ってもらいたいのだ。
その際におすすめしたいのが、こちらの一冊『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』なのである。「【超おすすめ】サンキュータツオの名著『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』が待望の文庫化」でも思わず力説してしまったように、本当に素晴らしい一冊なので、国語辞典を買う前にまずは本書で楽しく面白く辞書の奥深い世界を覗いてみてはどうだろうか。
『新明解』『角川必携』『岩波』など、この世にたくさん存在する国語辞典。いったい何がどう違い、どれを選べばいいの?その悩み、すべて解決します!辞書200冊超をコレクションする、オタクで学者で芸人のサンキュータツオが、辞書の楽しみ方、選び方、つきあい方を徹底ガイド。編者や執筆者の熱い想いと深い哲学が詰まった、ユニークで愛すべき国語辞典たちの、知られざる個性と魅力をわかりやすく紹介。
最後に、上で取り上げた辞書をより詳しく、かつその他の辞書も加えて解説したのが、以下の2つのエントリである。ぜひ合わせてご参考ください。国語辞典、実におもしろいんです。
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