『科研費獲得の方法とコツ』は、科研費申請予定の研究者必携の一冊
研究者にとっての秋は、科学研究費助成事業(科研費)の締切が迫る時期でもある。今年は11月10日が最終提出期限ということで、学内締切はそれよりもっと早くに設定されているはずだ。
実験費用がかさむ自然科学分野の研究者ほどではないにしても、経済学および社会科学全般の研究者にとっても、科研費が獲得できるかどうかというのは、その後数年間の研究を大きく左右する重要事項である。「科研費採択のお知らせ届く」で書いたように、僕自身は昨年応募した申請が幸いにも採択されたことで、研究体制を整えて現在順調に研究を進めることができている。とくに昨年は着任一年目だったということもあり、PCやプリンタやスキャナを始めとする各種機器をイチから揃えなくてはならないという点で、この科研費には大いに助けられた。
- Evernote と連携した富士通 ScanSnap(スキャンスナップ)がスゴイ:保存すべき紙資料が激減した
- マイクロソフト製ワイヤレス・キーボード Sculpt Ergonomic がスゴイ:手首が疲れないデザイン
それ以外にも、学会出張費や論文投稿費それに書籍購入等々、何かと費用がかかるものであり、これで科研費がなかったら研究体制や規模を大幅に縮小して臨まねばならなかっただろうと思うのである。
photo credit: bookgrl via photopin cc
さて、そんな科研費申請にあたって、昨年大いに参考になったのがこちらの書籍『科研費獲得の方法とコツ』だ。科研費獲得に向け、申請書をいかに「戦略的に書く」べきかについて解説した素晴らしいガイドブックであり、今年応募する予定であるならば、絶対に読んでおくべき内容だと思う。採択された成功例のみならず、不採択となった失敗例までを公開しているからこそ、何がダメだったのかという議論に迫力が伴う。自分が書いた申請書を読み返す際に、大いに参考になる視点でまとめられている。
そして、もう一つ参考になるのが、「科研費申請書類の書き方のコツ」というウェブサイト。研究費申請支援に長年関わってきた大学職員の方が運営されており、非常に細かいアドバイスが続く。複数の大学で数多の研究者の申請書を見てきたからこそ、どんな申請書が採択され、どんなものが不採択となっているのか、というリアルな情報が蓄積されているのである。そんな経験をもとにしているからこそ、このウェブサイトに記載されているポイントを、僕自身何度も読み返して、昨年は申請書を推敲した。
上記のガイドブックとウェブサイトは、科研費申請にあたっての全体戦略から、各種の細かい tips まで、役立つ情報が満載だ。今年申請する予定があるならば、とくに初めての応募となるのであれば、隅から隅まで目を通しておきたい内容だと思う。僕自身、昨年の初めての申請で採択されたのは、そのかなりの要因をこれらのガイドから学んで申請書に反映させていったことにあると、今も非常に感謝しているのである。
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