*

『科研費獲得の方法とコツ』は、科研費申請予定の研究者必携の一冊

公開日: : 最終更新日:2021/04/02 オススメ書籍, 研究・論文

研究者にとっての秋は、科学研究費助成事業(科研費)の締切が迫る時期でもある。今年は11月10日が最終提出期限ということで、学内締切はそれよりもっと早くに設定されているはずだ。

 

実験費用がかさむ自然科学分野の研究者ほどではないにしても、経済学および社会科学全般の研究者にとっても、科研費が獲得できるかどうかというのは、その後数年間の研究を大きく左右する重要事項である。「科研費採択のお知らせ届く」で書いたように、僕自身は昨年応募した申請が幸いにも採択されたことで、研究体制を整えて現在順調に研究を進めることができている。とくに昨年は着任一年目だったということもあり、PCやプリンタやスキャナを始めとする各種機器をイチから揃えなくてはならないという点で、この科研費には大いに助けられた。

 

それ以外にも、学会出張費や論文投稿費それに書籍購入等々、何かと費用がかかるものであり、これで科研費がなかったら研究体制や規模を大幅に縮小して臨まねばならなかっただろうと思うのである。

 

medium_2388310523photo credit: bookgrl via photopin cc

 

さて、そんな科研費申請にあたって、昨年大いに参考になったのがこちらの書籍『科研費獲得の方法とコツ』だ。科研費獲得に向け、申請書をいかに「戦略的に書く」べきかについて解説した素晴らしいガイドブックであり、今年応募する予定であるならば、絶対に読んでおくべき内容だと思う。採択された成功例のみならず、不採択となった失敗例までを公開しているからこそ、何がダメだったのかという議論に迫力が伴う。自分が書いた申請書を読み返す際に、大いに参考になる視点でまとめられている。

 

そして、もう一つ参考になるのが、「科研費申請書類の書き方のコツ」というウェブサイト。研究費申請支援に長年関わってきた大学職員の方が運営されており、非常に細かいアドバイスが続く。複数の大学で数多の研究者の申請書を見てきたからこそ、どんな申請書が採択され、どんなものが不採択となっているのか、というリアルな情報が蓄積されているのである。そんな経験をもとにしているからこそ、このウェブサイトに記載されているポイントを、僕自身何度も読み返して、昨年は申請書を推敲した。

 

上記のガイドブックとウェブサイトは、科研費申請にあたっての全体戦略から、各種の細かい tips まで、役立つ情報が満載だ。今年申請する予定があるならば、とくに初めての応募となるのであれば、隅から隅まで目を通しておきたい内容だと思う。僕自身、昨年の初めての申請で採択されたのは、そのかなりの要因をこれらのガイドから学んで申請書に反映させていったことにあると、今も非常に感謝しているのである。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

ビル・ゲイツが2013年のNo.1書籍に選んだ『コンテナ物語』

ビル・ゲイツ氏が選ぶ「2013年に読んだ記憶に残る7冊の本」が昨年末何かと話題となったが、その中でイ

記事を読む

辺境ライター高野秀行の原点『ワセダ三畳青春記』の「野々村荘」こそ日本最後の秘境

「高野秀行はセンス抜群の海外放浪ノンフィクション作家」にも詳しく書いたように、辺境ライターこと高野秀

記事を読む

プレゼンを準備する前に繰り返し読みたいおすすめの一冊『TED TALKS』

話題の一冊『TED TALKS』を読んだ。ご存知いまや圧倒的なプレゼンスを獲得したTEDカンファレン

記事を読む

2016年のベストセラー書籍トップ10冊

2016年も残すところあとわずか。それでは今年も本ブログを通じてのベストセラー書籍を上位10点紹介し

記事を読む

英語辞書の決定版|オックスフォード現代英英辞典に最新第10版が登場

オックスフォード現代英英辞典の最新第10版が出版されたのでさっそく購入。これはもう、英語辞書の決定版

記事を読む

今年の卒業・入学のお祝いに|おすすめの国語辞典・人気ランキング

今年もまた3月の卒業式、そして4月の入学式が近づいて来た。昨年はコロナによりことごとく中止となってし

記事を読む

【おすすめ英語テキスト】英語を英語で理解する、上級英単語集が半額以下のセール

現在実施中の、Amazon Kindle【40%OFF以上】高額書籍フェア には、ちょっとお値段が高

記事を読む

英語アカデミック・ライティングの最高傑作シリーズに翻訳が登場|レター・メール執筆ノウハウ

英語アカデミック・ライティングのおすすめ参考書は、これまで以下のようにいくつもの良書とそれぞれの特徴

記事を読む

kuzushi shougi

最年少プロ棋士・藤井聡太とAI将棋の時代|人工知能が切り拓く新たな地平

ついにストップした藤井聡太四段の連勝記録。しかし、史上最年少でプロ棋士となってから、これまで29連勝

記事を読む

欧州サッカー「データ革命」|スポーツを科学する最前線ドイツからの現地レポート

先日書いた「錦織圭の全豪オープンテニスをデータ観戦しながら応援しよう|IBMのSLAMTRACKER

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑