錦織圭の全豪オープンテニスをデータ観戦しながら応援しよう|IBMのSLAMTRACKERが面白い
現代において、スポーツ選手がデータ活用するのはもはや当たり前と言えよう。そしてそれはもちろん監督やコーチにもより当てはまることである。それと同時に、ファンにとってもまた、データとにらめっこしながら試合を楽しむという新しいスポーツ・エンタテインメントが生まれつつあるのだ。
その代表例がサッカーだろう。名作『マネー・ボール』でリアルに描かれたようにベースボールでいち早くデータ利用が進められてきたことと比べると、より世界的なサッカーでは残念ながらその活用が著しく遅れていた。それが今ようやく『サッカー・データ革命』で描写されるような「革命的利用」が始まったのである。サッカーがこうした新たな時代を迎えていることについては、以下でも詳述しているので合わせてご参考頂きたい。

さて、そんなサッカーに負けず劣らず、いま急速にデータ利用が進められているのがテニスであり、その主役となっているのがIBMなのだ。ビジネス書『IBMを強くした「アナリティクス」 ビッグデータ31の実践例』で紹介されているように、ここ数年のIBMはアナリティクスに注力してきた。そんな技術を使ったサービスが、テニスの四大大会で提供されている SLAMTRACKER というソフトウェアである。これは試合展開に合わせてライブでデータ更新していく優れたものであり、テレビ観戦しながら一つ一つのプレイと現在までのパフォーマンスを細かく数値で確認することができるのだ。
しかも、そればかりか、試合で勝つためにはそれぞれの選手がどのようなゴールを設定する必要があるのかを予測までしているのである。僕はもうこのソフトウェアを知って以来、テニスの見方が大きく変わってしまい、いままでよりも遥かにエキサイティングに面白く試合観戦ができるようになったのは、以下でも述べたとおりである。
- グランドスラム初優勝を目指す錦織圭の全仏オープンテニスを、SlamTracker でデータ分析しながら応援しよう
- 錦織の全仏オープンテニス敗戦を、SlamTracker のデータで振り返る
- テニス・ウィンブルドン決勝|ビッグ・データを制するのは誰だ?
- ウィンブルドン決勝ジョコビッチの優勝をデータで振り返る
というわけで、それではさっそく、この SLAMTRACKER でまとめられた、錦織圭の2016年全豪オープン初戦の結果を振り返ってみよう。ご存知の通り、世界ランク7位の錦織が、同34位のコールシュライバーを6-4、6-3、6-3のストレートで破った一戦である。下の画面では、サーブの平均時速、最速スピード、および最後のサーブスピードが表示されている。もちろん、サーブ速度以外の指標でも両者を比較することが可能だ。

続いて下の画面では、試合データの概観として主要な数値がまとめられている。これを見ると、エースの数およびファーストサーブの確率は、相手のコールシュライバーが錦織を上回っていることが一目瞭然である。加えて、相手よりは少なかったとは言え、錦織もダブルフォールトを3つ、アンフォースト・エラーを21も記録するなど、決して楽な試合ではなかったことを伺わせる。

それでも錦織がストレート勝ちを収めることができたのは、上のデータで示されるように、ファーストサーブおよびセカンドサーブからでもきちんとポイントを獲得していったことと、レシーブでも相手を上回る確率でポイントを積み重ね、そしてブレイクポイントを相手に一つも許さず、一方で自身は50%の確度でブレイクしたことが大きな要因と言えるだろう。
ちなみにこの SLAMTRACKER の事前予想は、両者がそれぞれ勝つための要因を以下のように3つずつ抽出し、それらのゴールがどの程度達成されたのかを示している。とくに錦織においては、「ファーストサーブから73%以上のポイントを撮ること」が勝利のための条件の一つとされており、それは3ゲームすべてで達成していることを表している。

というように、結果だけを見れば「ブレーク許さず3-0快勝」(日刊スポーツ)と書きたくもなるだろうが、よくよくデータを見てみれば、相手が錦織を上回るパフォーマンスを示す場面も多々あり、決して錦織がコールシュライバーを圧倒するような試合ではなかったと言えるだろう。テニスの試合を観ながら、そしてデータを見ながら、自分なりの分析や解釈を加えていく、そんな楽しみ方もあるのだと教えてくれるのが、このIBMの SLAMTRACKER なのである。ぜひ錦織の次の試合は、タブレットを片手にこれらの数字を追いかけながら観戦・応援してみてはどうだろうか?テニスの楽しみ方が広がること間違いない、なのである。
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